2006年07月16日

無情の唄

無情の唄
むじょうぬ'うた
mujoo nu 'uta


一(女)あきよ思里や 知らん他島に暮らさらん暮らししちょらとぅみば 浮世無情なむん
'あきよ'うみさとぅや しらんゆすじまにくらさらんくらししちょらとぅみば 'うちゆむじょーなむん
'akiyo 'umisatu ya shiraN yusujima ni kurasaraN kurashi sichoratumiba 'uchiyu mujoo na muN
○ 嗚呼!貴方は知らない他の村に、ままならぬ暮しをしていると思えば浮世は無情なものだ


二(男)無蔵や故郷に我身や渡海ひざみ ままならん恋路 思いの苦りさ浮世無情なむん
んぞやふるさとぅにわみやとぅけふぃざみ ままならんくいじ'うむいぬぐりさ'うちゆむじょーなむん
Nzo ya furusatu ni wami ya tukehwizami mamanaraN kuiji 'umui nu gurisa 'uchiyu mujoo na muN
貴女は故郷に 私は海を隔てていてままならない恋路 思いの苦しさ 浮世は無情なものだ。


三(女)鳥やちょん飛ばぬ 渡海ゆひざみとてぃ あきよくぬ思い仇がなゆら浮世無情なむん
とぅいやちょんとぅばん とぅけやふぃざみとてぃ 'あきよくぬ'うむい'あだがなゆら 'うちゆむじょーなむん
tui ya choN tubaN tukeyu hwijamitoti 'akiyo kunu 'umui 'adaganayura 'uchiyu mujoonamuN
鳥さえも飛ばない海を隔てていて 嗚呼!この思いが徒になるか?浮世は無情なもの


四(男)いちゃがなてぃ行ちゅら 我身や旅宿に朝夕袖濡らち暮らす辛さ浮世無情なもの
'いちゃがなてぃ'いちゅら わみやたびやどぅに'あさゆすでぃぬらちくらすちらさ 'うちゆむじょーなむん
'ichaganati'ichura wamiya tabiyadu ni 'asayu sudi nurachi kurasu chirasa uchiyu mujoonamuN
どうしても行くのだろうか 私は旅宿に朝夕袖を濡らし(泣いて)暮らす辛さよ。浮世は無情なもの


五(女)泣ちん泣かりらん 思出する毎に一人照る月に向かて泣ちゅさ 浮世無情なむん
なちんなかりらん'うびじゃするぐとぅにふぃちゅいてぃるちちにんかてぃなちゅさ 'うちゆむじょーなむん
nachiN nakariraN 'ubijasurugutuni fichui tiru chichi ni Nkati nachusa 'uchiyu mujoona muN
泣いても泣かれない 思い出す度に一人照る月に向かって泣くよ 浮世は無情なもの

解説
(語句)

・あきよ 
女性が驚き悲しみをあらわす「あき」に「よ」がついたもの。
辞書には「あら」と訳してある。ここでは「嗚呼!」と訳した。
・暮さらん暮し ままならぬ暮し と訳しておく。
・とぅみば と思えば
短縮形。

・とぅけふざみ 海を隔てて

・ちょん ・・でさえ
・あだが あだに

・いちゃがなてぃ どうなっても
・いちゅら 行くのか?

(コメント)
「トウガレ節」と同じ「チコンキーふくばる」から。
作詞作曲 普久原朝喜。
夫婦である京子さんと歌っている。

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Posted by たる一 at 15:04│Comments(1)ま行
この記事へのコメント
この原曲をもとに、『PW無情』という隠れ唄があるそうで。。。

そちらを調べていたら、また此処にたどり着きました。

唄三線、島唄の感情と奥行きの深さ、興味深く研究しております。

折しも昨日、三線の日の読谷会場でも、神谷幸一さんが唄ってたのを聴いて、

感動した一曲です。
Posted by Yugafu at 2011年03月05日 19:27
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