2006年07月06日

踊いクワディサー節

踊いクワディサー節
'うどぅいくふぁでぃさーぶし
'udui kuhwadisaa bushi

(古典女踊り)

うちならし ならし 四ツ竹わならち 今日や御座出じて あしぶうりしや
'うちならしならし ゆちだきわならち きゆや'うざ'んじてぃ'あしぶ'うりしゃ
'uchinarashi narashi yuchidaki wa narachi kiyu ya 'uza 'Njiti 'ashibu 'urisha
うち鳴らせ 鳴らせ 四ツ竹は鳴らして 今日は御座敷に出て遊んで嬉しいことよ



(古典)

こはでさのお月まどまどど照ゆる よそ目まどはかて 忍でいまうれ
くふぁでぃさぬ'うつぃち まどぅまどぅどぅてぃゆる ゆすみまどぅはかてぃ しぬでぃ'いもり
kuhwadisa nu 'utsuchi madumadu du tiyuru yusumi maduhakati shinudi 'imoori
クワディサの(葉の間から)お月は隙間隙間に照る 他人の目の隙間を見はかって忍んでいらしてください

解説
(語句)
・クファディサー 広葉落葉樹。葉がおおきく美ら海水族館にも庭に植えてあったが、辞書によると墓の庭に植える、人の鳴き声を聴いて成長するんだとか。 
踊いクワディサー節
先日久高島で見たクファディサー
・うちならし 鳴らせ 命令形
「ならして」という訳がよくあるが、連用形(。。して)なら「ならち」である。「鳴らせ」の「se」が三母音化で「si」となったもの。
・わ は
普通は「や」である。ヤマトグチとの関わりを感じさせる。
・うざ お座敷
「'uza」には①内閣、政府②お座敷 部屋の敬語 普通もっともよい客間をさす

・つぃち 月
月の発音は、首里語では「つぃち」、平民は「ちち」。
微妙に違う。古典では正確な発音が求められる。
・まどぅまどぅ 隙間すきま
暇暇に、暇を見て、という意味もある。
・ゆすみ 他所の目 他人の目
かなさんど
・はかてぃ (み)はからって 
<はかゆん 計る

(コメント)
古典女踊りで有名な「四つ竹」、その曲は「踊りクワディサー節」。
ゆったりとした曲調、沖縄音階もたっぷり。
しかし、歌詞を見ても「どうしてクワディサーなのか?」わからない

それは古典の中に「こはでさ」=クワディサをモチーフにした琉歌があるからなのだ。
通い婚を誘う歌に、クワディサーの葉の様子がひっかけられている。
月の光が葉の隙間から漏れて見えるように、人の目を盗んでいらっしゃい。

その曲に、「踊りクファディサー節」の歌詞があとからつけられたのだろう。

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Posted by たる一 at 23:31│Comments(2)あ行
この記事へのコメント
ぼくもじつは不思議に思っていたんですよ。
踊りの地方をしたときは「四ツ竹」としてやりました。これは分かる。
あとで分かったんですけど、「踊こはでさ節」の本歌にクワディーサーがかかわっていたんですね。分かりにくいなあ。
Posted by コロリ at 2007年03月17日 20:32
コロリさん
おひさしぶりです。
八重山民謡の道がんばっておられますか。

クファディサの木は見るからに物悲しい。
エイサーではおなじみの屋慶名にあるクファディサも立派です。
Posted by せき ひろし(たるー) at 2007年03月18日 16:48
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