2006年04月18日

金武節

金武節
ちんぶし
chiN bushi


春の山川に散り浮かぶ桜 すくい集めてど里やまちゅる
はるぬやまかわにちり'うかぶさくら すくい'あちみてぃどぅ さとぅやまちゅる
haru nu yamakawa ni chiri'ukabu sakura sukui 'achimiti du satu ya machuru
春の山川に散り浮かぶ桜 掬い集めて彼を待つよ


(古典)
・こばや金武こばに 竹や安富祖竹 やねや瀬良垣に はりや恩納
くばやちんくばにだきや'あふすだき やにやしらかちに はりやうぅんな
kuba ya chiNkuba ni daki ya 'ahusudaki yani ya shirakachi ni hari ya wuNna
クバは金武クバに 竹は安富祖竹 屋根(骨組み)は瀬良垣に 張りは恩納が良い


・こばの葉どやすがもてなしのよたしや あつさすだましゆる玉のうちわ
くばぬふぁどぅやしが むてぃなしぬゆたしゃ'あちさ すだましゅるたまぬ'うちわ
kuba nu hwa du yashiga mutinashi nu yutasha 'achisa sudamashuru tama nu 'uchiwa
クバの葉であるが もてなしにとても良い 暑さを涼しくする玉の(ように貴重な)うちわ




解説
(語句)
・すくい 掬い
<すくゆん 掬う 救う
・どぅ さとぅや まちゅる 彼を待っているよ
強調助詞「どぅ」は 「集めて」を強調し また 係り結びの法則から文末の動詞「まちゅん」を連体形にしている。訳すときに直訳なら「集めてこそ待つ」になるが、より自然な「集めて 待つよ」とした。
・すだましゅる 涼しくする
<すだましゅん 


(コメント)
最初のは舞踊曲につかわれる歌詞。古典女踊りの始めにつかわれ、チラシに白瀬走川節。
古典で歌われる場合は後半の歌詞で、おそらくこちらが本歌に近いと思われる。
古典解説本には「金武を出発して安富祖、瀬良垣、恩納にいたるまでの道中をクバ笠作りの順序にたくして歌ったものと思われる」とあるが別の機会に検討してみたい。

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Posted by たる一 at 18:20│Comments(4)た行
この記事へのコメント
暑さ涼ましゅる
です。( ̄ー+ ̄)
Posted by ふーちゃん at 2006年04月20日 08:05
ふーちゃんさん
野村流工工四上巻P16には
この歌詞「あつさすだましゅる」とあります。
それは?
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年04月20日 18:20
「暑(あつぃ)さ   涼(すぃだ)ましゅる」
意味:暑いときでも  涼しい思いをさせてくれる

舞踊の作田節〜早作田節(女団扇踊)にも似たような歌詞があります。

「誰(た)がすぃもてなちゃが 手(てぃ)になりし扇(おぢ)や 
 暑(あつぃ)さ涼(すぃだ)ましゅる たゆゐなとぅすぃ」
意味:みんなが使い慣れている扇は一体誰が発明したんだろう?
        どんな暑い日でもこれで涼むことが出来るからほんと頼りになる
        (有り難や、有り難や)。

「夏(なつぃ)ぬ日(ふぃ)ん秋(あち)ぬ 情(なさき)かゆわしゅる
 手(てぃ)になりし扇(おぢ)ぬ風(かじ)ぬ涼(すぃだ)しゃ」
意味:夏の暑い日でも まるで秋のような爽涼の(風)情を通わせて
        手に持ち慣れた扇の風はとても涼しくて気持ちイイ
Posted by ふーちゃん at 2006年04月20日 21:22
ふーちゃんさん
ご指摘ありがとうございます。
「すだましゅる」は琉球語辞典では「しだましゅん」(涼しくする)で載っておりました。訂正しておきます。
Posted by せきひろし at 2006年04月21日 08:15
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