2014年02月26日

黒島節 3

黒島節
くるしまぶし
kurushima bushi
黒島の歌

(歌詞は「安冨祖流地謡工工四 第一巻」を参考にした)


一、沈や伽羅灯す(スーリ)御座敷に出てぃ(ヨ スーリ)御座敷に出てぃ(スーリ)踊る我が袖ぬ(スーリ)匂いぬしゅらしゅらさ(ヨ スーリ)匂いぬしゅらしゅらさ(ヨ)
じんやちゃらとぅぶす(すーり)うざしちにんじてぃ(よ すーり)うざしちにんじてぃ(すーり)うどぅるわがすでぃぬ(すーり)にうぃぬしゅらしゅらさ(よ すーり)にうぃぬしゅらしゅらさ(よ)
jiN ya chara tubusu (suuri)'uzashichi ni 'Njiti (yoo suuri)'uzashichi ni 'Njiti (suuri)'uduru waga sudi nu (suuri)niwii nu shurashurasa (yoo suuri)niwii shurashurasa (yoo)
沈香や伽羅を焚いて、御座敷に出て踊ると私の袖がとても良い香りが立っている
語句・じんやちゃら 沈香や伽羅。沈香とは(じんこう)と読み、
東南アジアに生息するジンチョウゲ科ジンコウ木が「風雨や病気・害虫などによって自分の木部を侵されたとき、その防御策としてダメージ部の内部に樹脂を分泌、蓄積したものを乾燥させ、木部を削り取ったもの」(Wikipedia 「沈香」より)で、伽羅とはその中で品質の良いもの、高価なものをそう呼ぶ。・とぅぶす ともす。<とぅぶゆん ともる。の、とぅぶ+しゅん (する)→ともす。・しゅらしゅらさ <しゅらさん。しゅらしゃん。かわいらしい。愛しい。「〜さ」と体言止めにして「とても〜ことよ!」と感嘆表現。「しゅら・しゅらさ」と畳語(重ねて繰り返す表現法)になっているのは琉歌(八、八、八、六文字)で構成された歌が一番が上句(八、八)、二番が下句(八、六)となった時に、二番の文字数を補うために繰り返すことがある(例;安波節。二番で「どぅくる」→「どぅく、どぅくる」と歌う。)。


二、かねる御座敷に(スーリ)御側寄てぃ拝でぃ(ヨ スーリ)御側寄てぃ拝でぃ(ヨ )我胴やりば我胴い(スーリ)摘でぃどぅ見やび見やびる(ヨ スーリ)摘でぃどぅ見やび見やびる(ヨ)
かねるうざしちに(すーり)うすばゆてぃうがでぃ(よ すーり)うすばゆてぃうがでぃ(よ)わどぅやりばわどぅい(すーり)ちでぃどぅみやびみやびる(よ すーり)ちでぃどぅみやびみやびる(よ)
kaneeru 'uzashichi ni (suuri)'usuba yuti ugadi (yoo suuri)'usuba yuti ugadi (yoo)wadu yariba wadu i (suuri)chidi du miyabi miyabiru (yoo suuri)chidi du miyabi miyabiru (yoo)
こんな御座敷に来て貴方の御側にお寄りして 私は本当に私なのか、とつねってみるほどです
語句・かねる <かねる。こんな。このような。(「あねる」は、あんな。あのような。)・うがでぃ <うがぬん。「①(神仏を)拝む。②お会いする。お目にかかる。」「③見る('NNzun)の敬語」「④「貴人と・・・する」という意の敬語。?wiicee〜。お会いする。拝顔する。」【沖縄語辞典】とあるうち、ここでは単純に②ではなく④であろう。「寄てぃうがでぃ」を「寄って、お会いする」と訳すのはおかしい。「(貴方様に)お寄りして」と訳すのが妥当だろう。・わどぅやりばわどぅい <わどぅ。我が身。+やりば。であれば。+わどぅ(前掲)+い。疑問。〜なのか? 直訳すると「我が身であれば我が身か?」→「我が身は我が身なのか?」自分が自分なのかと疑うほどとまどうという意味。・ちでぃどぅみやびる つねってみるばかりです。<ちでぃ<ちぬん。つねる。+どぅ 強調。+みやびる。 みるばかりです。(参考;「孝行之巻」玉城朝薫作。「かにやる百果報や 夢やちやうも見だぬ わどやればわどゐ つでど見やべる」このような大きな幸福は夢にも見ない。我が身が我が身かとつねってみるばかりでございます。)【沖縄語辞典】


琉球舞踊の祝儀舞踊の一つ「松竹梅」の中にある「黒島節」をとりあげた。

この曲がいつ頃だれがつくったのかは不明だが、今まで取り上げた「黒島節」とは明らかに歌詞と曲が違う。

この踊りを創作したのは玉城盛重(たまぐすくせいじゅう)。
「明治元年(1868~1945) 首里赤平生まれ。17歳で芝居に入り、後に名優となる。最後の御冠船踊りをつとめた師匠たちから組踊や舞踊を習い、古典の正統的な継承者であると同時に、雑踊りの創作に多くの功績を残した。作品には、「花風」「むんじゅる」「加那ヨー」「あやぐ」「松竹梅」などがある。」(Weblio 玉城盛重

そして「松竹梅」は当初(揚竹田節、東里節、赤田花風節、黒島節、下原節、浮島節)だったが、後に「鶴亀」を加えて(揚竹田節、東里節、赤田花風節、鶴亀節、夜雨節、浮島節)の構成となり、鶴亀節と夜雨節が加わり、代わりに黒島節と下原節は消えている。

「松竹梅」、「松竹梅鶴亀」ともに今でも踊りつづけられている人気舞踊である。










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Posted by たる一 at 09:53│Comments(0)か行沖縄本島
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