2009年03月13日
九年母木節 2
九年母木節
くぬぶんぎぶし
kunubuNgu bushi
語句・くぬぶんぎ 意味については「九年母木節」参照。
(歌詞 「ジルー」参考。 歌三線 嘉手苅林昌 筆者聞き取り)
一、九年母木ぬ下をてぃ(ヨ スーリ) 布巻ちゅる女 あっちぇーひゃー あんし美らさぬ ひゃー 今帰仁御神ぬ妹ぬぐとぅさ
くぬぶんぎぬしちゃうてぃぬぬまちゅるうぃなぐ 'あっちぇーひゃー 'あんしちゅらさぬひゃー なきじんぬ'うかみぬ'うっとぅぬぐとぅさ
kunubuNgi nu shicha uti nunu machuru winagu 'acchehyaa 'aNshi churasanu hyaa nakijiN 'ukami nu 'uttu nu gutu sa
○九年母木の下で布巻いている女 なんとまあ あんなに美人だ!今帰仁御神の妹のようだね!
語句・あっちぇーひゃー 辞書にはないが感嘆語であろう。「あきよ」「あきさみよ」と同じ。・なきじんうかみ 「九年母木節」参照。
二、カミジャー島をてや(ヨ スーリ)したたかあまちゃる あんまくやしが やがいひゃー ありねー惚りゆらや
かみじゃーしまうてぃや したたか'あまちゃる'あんまくやしが やがいひゃー 'ありねーふりゆらや
kamijaa shima uti shitataka 'amacharu 'aNmaku yashiga yagai hyaa 'arinee huriyura
○カミジャー(名前)村ではよ 非常に暴れている、きかん坊であるが お前はあの女に惚れるだろうね
語句・カミジャー「kamizjuu 【亀千代】士族の男子(または女子)名。〔平民ではkamizjaa〕」(琉)。つまり平民の名前。ここでは男子名。 ・したたか 「したたか。ひどく。非常に」(琉)。 ・あまちゃる <あまちゅん。あばれる。・あんまく 暴れん坊。
三、いえーカミジャーひーあぬ女に(ヨ スーリ)惚りらん男や奥武山ぬ(スーリ)ヒグどぅやんてぃんど ・・・・
'えーかみじゃーひー 'あぬうぃなぐに ふりらんうぃきがや 'おーむやまぬふぃぐどぅやんてぃんど
'ee kamijaa hii 'anu winagu ni huriraN wikiga ya 'oomuyama nu hwigu du yaNtiN doo
○おい カミジャーよ あの女に惚れない男は奥武山のヘゴしかいないぞ
四、恋ぬ手始みや(ヨ スーリ)意地どぅかなみ んでぃちあるむん ちゃーならわん でぃ先じしかきてぃんだ 一番初みや 我んからしかきら
くいぬてぃはじみや'いじどぅかなみ んでぃち'あるむん ちゃーならわん でぃまじしかきんだ 'いちばんはじみや わんからしかきら
kui nu tihajimi ya 'iji du kanami Ndichi 'arumuN chaa narawaN di maji shikaki Nda 'ichibaN hajimi ya waN kara shikakira
○恋の手始めは勇気が大事っていうじゃないか どうなろうとも さあまず仕掛けてみよう 一番初めは俺から仕掛けよう
語句・いじ 「勇気。意地。意気地。元気。」「怒り。怒気」(沖)。 ここでは勇気。・かなみ 「交際上のかなめとなる点。すなわち挨拶。また交際上のかんどころ」(沖)。つまり直訳すれば「勇気が挨拶」となる。ここでは軽く「勇気が大事」くらいにしておく。・んでぃち ・・と云って。<んでぃ ・・と。+いち 云って。・ちゃーならわん 如何になろうとも。 <ちゃー 如何に。+ならわ なると。+ん も。・でぃ さあ。・しかきんだ <しかきゆん 仕掛ける。+ んだ どれ。
五、初みてぃどやしが(スーリ) 年幾ちなゆが(スーリ)十七、八やらや 我んね三十
はじみてぃどぅやしが とぅし'いくちなゆが じゅうしちはちやゆら わんねさんじゅー
hajimiti du yashiga tushi 'ikuchi nayuga juushichi hachi yayura waNne sanjuu
○はじめまして!年は幾つになるの?十七、八だろうか?私は三十
語句・はじみてぃどぅやしが 直訳では「初めてなのであるが」。初めて会った目下への挨拶言葉。
六、やれー何やが やなふーじゃー小や(ヨ スーリ) うまうてぃ やーてーふぃーてーしーねー(スーリ)仕事んならん ・・・・ (・・・は聞き取り不能)
やれーぬーやが やなふーじゃーぐゎや んまうてぃ やーてーふぃーてーしーねー しぐとぅんならん
yaree nuuyaga yana huujaa gwa ya 'Nma uti yaateehwiitee shiinee shigutuN naraN
○そうだから何なの?いやな感じの人だわ そこにいて ああだこうだいわれたら仕事にならないわ
語句 ・やれー そうだから。 <や<やん そう。 +れー<り+ば ・やな嫌な。・ふーじゃー かんじの人。「ふーじ」は「風習。流儀;風采、様子」(琉)。ここでは「様子」。「やな」がついて、さらに人格化する「aa」がついて「嫌な感じの人」 ・んま そこ。・やーてーふぃーてー 「ああだ、こうだ」(「よーてーふぃーてー」ともいうようだ。このへんは「新宮古節」参照。)
七、ゆむふーじやねらん(ヨ スーリ)汝やあんしどぅ しかきーくゎいるい (スーリ)我がどぅなゆる
ゆむふーじやねらん 'やーや'あんしどぅ しかきーくゎるい わーがどぅなゆる
yumu huuji ya neraN 'yaa ya 'aNshi du shikakii kuwa ru i waa ga du nayuru
○変な人じゃない お前があんなふうに仕掛けやがるからだぞ 俺がやるよ
語句・ゆむ 変な。嫌な。・くわるい ・・しやがるからだよ おい。<くわゆん 接尾語で「・・しやがる」+る=どぅ +い おい。
八、初みてぃやアバ小(ヨ スーリ)汝や 我妻なてぃとらし(ヨ スーリ)しぐ合点やらや
はじみてぃや'あばぐゎ 'やーや わんとぅじなてぃとぅらっし しぐがってぃんやらや
hajimiti ya 'abagwa 'yaa ya waNtuji natiturasshi shigu gattiN yaraya
○はじめまして ねえさん お前、俺の妻になってくれ すぐ承知するよね?
語句・とぅらっし <とぅらしゅん 「与える。・・(して)やる。・・(して)おくれよ」(琉)。・しぐ すぐ。・がってぃん 承諾する。
九、云ちん聞かん やなふじゃー小(ヨ スーリ)うまうてぃ じゃーひぇー てぃーひぇーしーくゎってぃ (スーリ)仕事んならん
'いちんちかん やなふーじーぐゎ 'んまうてぃ じゃーひぇー てぃーひぇー しーくゎってぃ しぐとぅんならん
'ichiN chikaN yana huujiigwa 'Nma uti jaahyee tiihyee shiikuwatti shigutuN naraN
○云っても聞かん嫌な感じの人 そこにいて なんじゃかんじゃと云いやがって 仕事にもならん!
語句・じゃーひぇー てぃーひぇー 辞書にはないが上の「やーてーふぃーてー」と同類語だろう。
くぬぶんぎぶし
kunubuNgu bushi
語句・くぬぶんぎ 意味については「九年母木節」参照。
(歌詞 「ジルー」参考。 歌三線 嘉手苅林昌 筆者聞き取り)
一、九年母木ぬ下をてぃ(ヨ スーリ) 布巻ちゅる女 あっちぇーひゃー あんし美らさぬ ひゃー 今帰仁御神ぬ妹ぬぐとぅさ
くぬぶんぎぬしちゃうてぃぬぬまちゅるうぃなぐ 'あっちぇーひゃー 'あんしちゅらさぬひゃー なきじんぬ'うかみぬ'うっとぅぬぐとぅさ
kunubuNgi nu shicha uti nunu machuru winagu 'acchehyaa 'aNshi churasanu hyaa nakijiN 'ukami nu 'uttu nu gutu sa
○九年母木の下で布巻いている女 なんとまあ あんなに美人だ!今帰仁御神の妹のようだね!
語句・あっちぇーひゃー 辞書にはないが感嘆語であろう。「あきよ」「あきさみよ」と同じ。・なきじんうかみ 「九年母木節」参照。
二、カミジャー島をてや(ヨ スーリ)したたかあまちゃる あんまくやしが やがいひゃー ありねー惚りゆらや
かみじゃーしまうてぃや したたか'あまちゃる'あんまくやしが やがいひゃー 'ありねーふりゆらや
kamijaa shima uti shitataka 'amacharu 'aNmaku yashiga yagai hyaa 'arinee huriyura
○カミジャー(名前)村ではよ 非常に暴れている、きかん坊であるが お前はあの女に惚れるだろうね
語句・カミジャー「kamizjuu 【亀千代】士族の男子(または女子)名。〔平民ではkamizjaa〕」(琉)。つまり平民の名前。ここでは男子名。 ・したたか 「したたか。ひどく。非常に」(琉)。 ・あまちゃる <あまちゅん。あばれる。・あんまく 暴れん坊。
三、いえーカミジャーひーあぬ女に(ヨ スーリ)惚りらん男や奥武山ぬ(スーリ)ヒグどぅやんてぃんど ・・・・
'えーかみじゃーひー 'あぬうぃなぐに ふりらんうぃきがや 'おーむやまぬふぃぐどぅやんてぃんど
'ee kamijaa hii 'anu winagu ni huriraN wikiga ya 'oomuyama nu hwigu du yaNtiN doo
○おい カミジャーよ あの女に惚れない男は奥武山のヘゴしかいないぞ
四、恋ぬ手始みや(ヨ スーリ)意地どぅかなみ んでぃちあるむん ちゃーならわん でぃ先じしかきてぃんだ 一番初みや 我んからしかきら
くいぬてぃはじみや'いじどぅかなみ んでぃち'あるむん ちゃーならわん でぃまじしかきんだ 'いちばんはじみや わんからしかきら
kui nu tihajimi ya 'iji du kanami Ndichi 'arumuN chaa narawaN di maji shikaki Nda 'ichibaN hajimi ya waN kara shikakira
○恋の手始めは勇気が大事っていうじゃないか どうなろうとも さあまず仕掛けてみよう 一番初めは俺から仕掛けよう
語句・いじ 「勇気。意地。意気地。元気。」「怒り。怒気」(沖)。 ここでは勇気。・かなみ 「交際上のかなめとなる点。すなわち挨拶。また交際上のかんどころ」(沖)。つまり直訳すれば「勇気が挨拶」となる。ここでは軽く「勇気が大事」くらいにしておく。・んでぃち ・・と云って。<んでぃ ・・と。+いち 云って。・ちゃーならわん 如何になろうとも。 <ちゃー 如何に。+ならわ なると。+ん も。・でぃ さあ。・しかきんだ <しかきゆん 仕掛ける。+ んだ どれ。
五、初みてぃどやしが(スーリ) 年幾ちなゆが(スーリ)十七、八やらや 我んね三十
はじみてぃどぅやしが とぅし'いくちなゆが じゅうしちはちやゆら わんねさんじゅー
hajimiti du yashiga tushi 'ikuchi nayuga juushichi hachi yayura waNne sanjuu
○はじめまして!年は幾つになるの?十七、八だろうか?私は三十
語句・はじみてぃどぅやしが 直訳では「初めてなのであるが」。初めて会った目下への挨拶言葉。
六、やれー何やが やなふーじゃー小や(ヨ スーリ) うまうてぃ やーてーふぃーてーしーねー(スーリ)仕事んならん ・・・・ (・・・は聞き取り不能)
やれーぬーやが やなふーじゃーぐゎや んまうてぃ やーてーふぃーてーしーねー しぐとぅんならん
yaree nuuyaga yana huujaa gwa ya 'Nma uti yaateehwiitee shiinee shigutuN naraN
○そうだから何なの?いやな感じの人だわ そこにいて ああだこうだいわれたら仕事にならないわ
語句 ・やれー そうだから。 <や<やん そう。 +れー<り+ば ・やな嫌な。・ふーじゃー かんじの人。「ふーじ」は「風習。流儀;風采、様子」(琉)。ここでは「様子」。「やな」がついて、さらに人格化する「aa」がついて「嫌な感じの人」 ・んま そこ。・やーてーふぃーてー 「ああだ、こうだ」(「よーてーふぃーてー」ともいうようだ。このへんは「新宮古節」参照。)
七、ゆむふーじやねらん(ヨ スーリ)汝やあんしどぅ しかきーくゎいるい (スーリ)我がどぅなゆる
ゆむふーじやねらん 'やーや'あんしどぅ しかきーくゎるい わーがどぅなゆる
yumu huuji ya neraN 'yaa ya 'aNshi du shikakii kuwa ru i waa ga du nayuru
○変な人じゃない お前があんなふうに仕掛けやがるからだぞ 俺がやるよ
語句・ゆむ 変な。嫌な。・くわるい ・・しやがるからだよ おい。<くわゆん 接尾語で「・・しやがる」+る=どぅ +い おい。
八、初みてぃやアバ小(ヨ スーリ)汝や 我妻なてぃとらし(ヨ スーリ)しぐ合点やらや
はじみてぃや'あばぐゎ 'やーや わんとぅじなてぃとぅらっし しぐがってぃんやらや
hajimiti ya 'abagwa 'yaa ya waNtuji natiturasshi shigu gattiN yaraya
○はじめまして ねえさん お前、俺の妻になってくれ すぐ承知するよね?
語句・とぅらっし <とぅらしゅん 「与える。・・(して)やる。・・(して)おくれよ」(琉)。・しぐ すぐ。・がってぃん 承諾する。
九、云ちん聞かん やなふじゃー小(ヨ スーリ)うまうてぃ じゃーひぇー てぃーひぇーしーくゎってぃ (スーリ)仕事んならん
'いちんちかん やなふーじーぐゎ 'んまうてぃ じゃーひぇー てぃーひぇー しーくゎってぃ しぐとぅんならん
'ichiN chikaN yana huujiigwa 'Nma uti jaahyee tiihyee shiikuwatti shigutuN naraN
○云っても聞かん嫌な感じの人 そこにいて なんじゃかんじゃと云いやがって 仕事にもならん!
語句・じゃーひぇー てぃーひぇー 辞書にはないが上の「やーてーふぃーてー」と同類語だろう。
前に「九年母木節」をとりあげたが、その実戦版、嘉手苅林昌氏の歌から。
ライナーノーツに書いてある歌詞と、実際に歌われている歌詞は微妙に違う。
もちろん大意に変わりはないのだが。
こういうところで、CDをもとに歌の練習をしようとするものにとっては頭をかかえる時がある。
個人的な話だが、このブログをはじめた頃は「聞き取り」などまったできなかった。
いろいろな曲を知り、言葉を調べ、歌の「海」を漂ううちに
すこしずつ「耳」ができてきていることを感じる。
それにしても、林昌さんが、上の「・・・」のところでつぶやいている歌詞だけは
聞き取れない。
先日の「九年母木節」にくらべ、美しい女性をナンパする男性たちのやりとりが
具体的で面白く歌われている。
女性の対応も、あっけない。
林昌さんはこういう歌が得意だったとよく話には聞く。
そして歌詞にあわせて三線の手もよくかわる。
歌詞をまったく暗記しているというより
物語を語りながら三線をあわせているようにも聞える。
実に聞きごたえのある一曲。
ライナーノーツに書いてある歌詞と、実際に歌われている歌詞は微妙に違う。
もちろん大意に変わりはないのだが。
こういうところで、CDをもとに歌の練習をしようとするものにとっては頭をかかえる時がある。
個人的な話だが、このブログをはじめた頃は「聞き取り」などまったできなかった。
いろいろな曲を知り、言葉を調べ、歌の「海」を漂ううちに
すこしずつ「耳」ができてきていることを感じる。
それにしても、林昌さんが、上の「・・・」のところでつぶやいている歌詞だけは
聞き取れない。
先日の「九年母木節」にくらべ、美しい女性をナンパする男性たちのやりとりが
具体的で面白く歌われている。
女性の対応も、あっけない。
林昌さんはこういう歌が得意だったとよく話には聞く。
そして歌詞にあわせて三線の手もよくかわる。
歌詞をまったく暗記しているというより
物語を語りながら三線をあわせているようにも聞える。
実に聞きごたえのある一曲。
Posted by たる一 at 16:39│Comments(0)
│か行
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