2010年10月02日

これまでの曲の一覧や凡例

過去の曲の一覧は左の
   カテゴリーの「曲名リスト」をごらんください。

参考にしている辞書などと、それの表示方法は以下の通り。
                      
○沖縄語辞典   国立国語研究所 【沖辞】 
○琉球語辞典   半田一郎    【琉辞】
○石垣方言辞典   宮城信勇    【石辞】 
○琉歌大成    清水彰     【琉大】

このブログの読み方の注意とお願いなどが書いてあります。

一部、題名に唄者の名前を入れるようにしました。
宮古根などの場合、いままでは「宮古根 2」などとしていましたが、
その唄者に独特な歌詞や、その並べ方があるからです。


このブログでの唄の訳は「直訳」です。

広島の方言研究家 胤森弘さんの「教え」を踏まえてです。
いきなりの意訳には単なる想像や誤りが多すぎるからです。
これは本やCDのライナーノーツなどでもよくあります。

たとえば 「てぃんさぐの花」で
天の群星や読めば読まりしが親の寄せ事や読みもならん」と書いてあっても
まず、どう発音するのか、唄に馴染みがないヤマトンチュ(大和人)にはさっぱりです。

ある本では、振り仮名がうってあっても、
「天」を「ん」とか、「染めて」は「すみ」となにげなく書いてあるものに出会います。
沖縄の方なら、それぞれ「てぃん」「すみてぃ」と読めるのでよいのですが、
大和人は、そのたびに混乱するのです。

さらには三母音ということを知った後で、「残とんな」(はいさいおじさん)を「ぬくとぅんな」と読むと
作者の意図はすこし変わってしまいます。
「ぬくとんな」(ぬくとーんな 残っているか)という連母音(oo ee)があることを知らないと、混乱に拍車をかけます。

ついでに、たとえば「音」は「うとぅ」と振り仮名があっても、沖縄口の発音では「う」の前に
「声門破裂音」(発音のところで「'」の記号であらわされているところ。)が来ることで、歌詞の意味が「声」を通じて相手に伝わります。
それで同じ「夫」(うとぅ)と区別できるわけです。

(例) 音 うとぅ 'utu
    夫 うとぅ utu 

(この「夫」は旧かなで「ヲト」と書かれることもあります。)

意味の問題となると、さらに深刻だということはいうまでもないでしょう。

こういうことを、丁寧にクリアして、ひとつの唄を学ぶ、ということを胤森弘さんから教えていただきました。

しかし、胤森弘さんの訳に対しては、いろいろな意見がありました。

直訳ではわかりにくい。
唄うときに気持ちが入らない。

唄を志すものにとっては、直訳で、心に響かない訳というものは、とても困るものです。
私にもそういうご意見がときどき寄せられます。

しかし、まず、文法や専門家が検討した辞書を背景にしつつ
まず、それをパズルのように組み立ててみる、という一見「遠回り」をすることが必要だと、
胤森さんの著作を見て私は思いました。

けっして、その唄にまつわる知識や、前後の関係だけで、想像力だけに依存した「意訳」は
かならず、落とし穴にはまります。

私自身「意訳」をしていないわけではありません。
語句(単語)自体の意味は、前後の文章のなかで、その意味が決定されます。

また時代により、使われ方、意味しているものが変化する場合もあります。

そうしたものを加味して「意訳」することも少なくありません。

しかし、最初から、そういう「状況証拠」を調べることなく、
現代の私たちの生活実感や知識や想像などから、一挙に「意訳」することは
まったく別の内容になってしまう危険性もあります。



「直訳ではがまんできない!」という方へ。

意訳は各自ご自由に。それも歌の楽しみのひとつです。

歌は「誰か」のためではなく、歌いたい「あなた」のためにあるものです。

その唄の意味の理解がたとえ間違っていたとしても、

それはそれで「悪い」ことでもなんでもなく、その歌があなたのものになるための第一歩だと思います。

ここで「意訳」をさけて「直訳」にこだわっているのは、けっしてそれが「正しい訳」だからではなく

私にとって、その歌の意味にすこしでも近づける道だと信じているからです。

もしかしたら、その歌を作った方の意図とは違っているかもしれません。

それでも遠回りをしてでも、その歌の意味を考え悩むことは意味があることだと思います。


下記のような順番で書いてあります。

歌詞(発音のまま書いたもの、古いカナ表示(「たばうれ」など)、当て字がしてあるもの、
いろいろな書き方があるのでこのまま読んでも歌になりません)

ひらがな(このまま歌えば歌えるように変換してあります。)

アルファベット表記(発音記号が使われています。「'」は声門破裂音。沖縄本島に特有で、
声門に息を溜めて、それを出しながら音を発する。
小学校で「あ・い・う・え・お」を習ったとき「っあっいっうっ・・・」って言ってませんでした?その感覚に似てます。
また、発音部で下線があるものは「中舌母音」です。奄美、八重山・宮古民謡に特有。)

意味(直訳) 上に書いたとおりです。


解説については(語句)(コメント)があります。
興味のある方は読んでみてください。
気が付かれたことや質問ご意見はどうぞ書き込んでください。

私は方言の専門家や研究家ではありません。

間違いもたまにあります。いや少なくないかもしれません。

鵜呑みは避けて、ひとつの参考として読んでください。

そして、間違いなどあればどうぞご遠慮なくコメントしてください。



同じカテゴリー(諸注意)の記事

Posted by たる一 at 05:03│Comments(22)諸注意
この記事へのコメント
はじめまして、私もティーダブログを使わせていただいてます。

三線を始めて1年を過ぎました。
調べきれない歌詞の解説があったのでとても参考になりました。
今後も拝見させていただきますのでどうぞよろしくお願いします。

(お気に入りさせていただきます)
Posted by チルー at 2007年02月02日 00:54
チルーさん
はじめまして!
はい、ご参考になさってご自分なりの訳を
試みてください。
歌は、作った人と歌う人との
時代の間のキャッチボールだと思っています。

これからもよろしく!
Posted by たるー at 2007年02月02日 18:36
はじめまして、きじむなーと申します。
私も三線を始めて1年がたちました。
唄の意味がわからないので覚えが悪く、感情をこめて唄うことができず、勉強の仕方もわからず、消化不良でした…(T-T)。
(辞書があるんですね、驚きました。)
そんな時、お友達に「勉強しれっ!」と、こちらを教えもらい、やって参りました。
感激しました!!!
より一層、三線のお稽古が楽しくなりそです、はりきっています\(^-^)/、ありがとうございます!!!
Posted by きじむなー at 2007年02月13日 12:42
きじむなーさん
三線の道、これから長いですから
ゆっくりすすめてください。
はい、辞書があります。
辞書があっても、その使い方が大事です。
毎日使い込むと、「武器」にも「薬」にも
なります。
「毒」にも?そうです。鵜呑みはまずいです。
がんばってくださいね。
Posted by たるー at 2007年02月13日 23:28
はじめまして!
いつも、いざというときの歌詞検索に使わせていただいております。
ビーチパーリーでも、急に三線を弾いている人の横でもとても助かっています。
これからもますますの発展充実をお祈りいたします!
Posted by BONIN at 2007年03月03日 01:26
BONINさん
コメントありがとうございます。

ビーチパーリーで活用していただいてますか!
それは嬉しい。
携帯からも見られるので、便利ではありますね。
海辺でどのような歌を歌われているのでしょうね。
また教えてください。

今後ともよろしくおねがいします。
Posted by せき ひろし(たるー) at 2007年03月04日 06:49
たるーさん、こんばんは

私も三線を買ったのが半年ぐらい前です、入門用の1セット○○円でした

その中に教本も入っているのでそれを見て日々歌三線の練習をしてますが

随所に意味の不明な所があり歌詩が覚えにくく悩んでいましたが良いページ

を見つけたと思っています。

今後ちょこちょこと訪問させていただきますのでよろしくお願いします。

(一昨日の日曜日に当県の沖縄県人会の集まりがありましたので見に行っ

てきましたが、良い三線はいい音がしますね、買替えたくなりました)
Posted by 海ブドウ at 2007年05月01日 20:19
海ブドウさん
おや、広島の方ですか?

三線を買われて、毎日が楽しいでしょうね。
いい音を聞くとイイものがほしくなりますよね。

三線は最初にある程度のものを買うのを勧めています。
「いや、弾けるかどうかわからないから」
そういう方が多いのですが
安いとトラブルが多い三線も多く途中であきらめたり
また買いなおされる方が多いからです。

今日はフラワーフェスティバルでエイサーのパレードがあります。
それに沖縄県人会が三日間沖縄料理のブースを出します。
泡盛、ゴーヤーチャンプルーなどおいしいものがたくさんです。

どうぞおこしください。
Posted by せきひろし(たるー) at 2007年05月03日 07:18
たるーさん、はじめまして
「ひろろ」といいます。

来年、趣味でやっている合唱で沖縄民謡を歌うことになったので、意味が
わからない沖縄の方言を調べるググッていたら、たるーさんのブログが
HITしました。
たるーさんの解説は丁寧に書かれているのでとても勉強になります。
今回は調べ事でこのブログを見させていただいてますが、いろいろ
調べているうちに、沖縄の言葉の温かさを感じました。これからもちょく
ちょく覗かせていただこうと思いますので宜しくお願いいたします。
ちなみに私は広島出身(現在京都在住)です。
Posted by ひろろ at 2007年11月19日 22:00
ひろろさん
コメントありがとう。

このブログで伝えたいことは
沖縄民謡のなかに流れる「人のぬくもり」かもしれません。

それはどこにもあるし、沖縄に限らず。
しかし、いま、どこにも見当たらなりつつあります。

気づいたことがありましたらどうぞ書き込んでください。

広島出身ならなおさら。
Posted by せきひろし(たるー) at 2007年11月21日 23:23
はじめまして!!
しん☆ゆうといいます!!
沖縄の離島でエイサーの地謡して2年やってます(^-^)
…といってもまだ高校2年で民謡やエイサー曲の歌の意味など分からないコトだらけなので参考にさせてもらってます♪
歌い手が歌の意味を理解しなきゃ相手にも伝わらないですからね(^_^;)
これからも、いろいろな民謡曲を楽しみにしてます☆
Posted by しん☆ゆう at 2008年03月17日 23:12
はじめまして!!
しん☆ゆうといいます!!
沖縄の離島でエイサーの地謡して2年やってます(^-^)
…といってもまだ高校2年で民謡やエイサー曲の歌の意味など分からないコトだらけなので参考にさせてもらってます♪
歌い手が歌の意味を理解しなきゃ相手にも伝わらないですからね(^_^;)
これからも、いろいろな民謡曲を楽しみにしてます☆
Posted by しん☆ゆう at 2008年03月17日 23:12
しん☆ゆうさん
コメントありがとうございます。
エイサーの地謡、私もやらせてもらって八年になります。舞踊の地謡も楽しいですよ。お若いですからたくさん歌を覚えて頑張ってくださいね。
私も頑張りますね。
Posted by たるー at 2008年03月19日 08:53
是非、松田弘一さんのゴルフ節紹介して下さい。
Posted by ナナコビッチ at 2008年06月29日 13:09
ナナコビッチさん
コメントありがとうございます。
>是非、松田弘一さんのゴルフ節紹介して下さい。

ゴルフ節、歌詞、捜してみましょうね。どこかにありますか?
Posted by たるー(せきひろし) at 2008年07月02日 08:46
初めまして、検索していたら見つけました。
すごいです。
私は沖縄出身ですが、こんなに沢山の唄も知らないしまずこんな大変な作業をしようとも考えつきませんでした。
すごく感激しました。
これからもどうぞ頑張って続けて下さいね。(サンシンも)
Posted by hal-3 at 2008年10月14日 22:55
hal-3さん
はじめまして、コメントありがとうございます。

沖縄の方は民謡が好きで大切にはされているけれど、あまり意味などにこだわる人は多くないですね。

もしかしたらあと何十年かで意味がわかる人は激減するかも、という危機感も聞きます。

私も沖縄民謡にかかわらせてもらっている以上、非力ながら何かの役にたてたらという気持ちもありつつ、好きな唄を好きな時間に調べていきたいと思っています。

今後ともよろしく!
hal-3さんもウタサンシン頑張ってくださいね。
Posted by たるー(せきひろし) at 2008年10月15日 06:56
黄金産小の解説が知りたく探していますが、なかなか見りません。
是非、教えていただけないでしょうか?
お願いします。
Posted by みや at 2009年01月18日 12:23
みやさん
はじめまして。

黄金産小、ありました。調べてみましょう。

できたら、知りたい動機なども教えていただけたらうれしいです。
Posted by たるー(せきひろし) at 2009年01月21日 11:02
早速調べていただいてありがとうございました。
すごく助かりました。
たまたま見つけたサイトでしたが、こんなに詳しく又、分かりやすく紹介してくれてることに驚きました。
素晴らしい!!!
方言って難しいですよね。
これなら、理解できます。
ありがとうございました(^0^)
Posted by みや at 2009年01月22日 11:57
私の手元に資料があり
私の能力の範囲内であれば
リクエストにはなるだけ応じています。

歌詞も、メールで送ってもらったり
すれば、できる場合もあります。

そのとき、できたら
「どうして、この曲が知りたいか」
という大事な部分を教えていただけたら
嬉しいのです。

翻訳マシーンではありませんし、
間違いもあります。

いろいろなかたに教えてもらいながら
今後も続けていきたいと思います。

沖縄の唄情け心の深さに触れるために。
Posted by たるー at 2009年01月24日 11:01
お久しぶりです、多いに賛同です。
ただ、「歌言葉に使われる言葉」と「実際に会話で使われる方言」とは異なる事も「たるーさん」の言葉で書いていただけると更に充実したブログとなるかと思います。「直訳」には学問としても入口として重要ですが、やはり最低限必要な説明はして置かないと、「勘違い」が「更なる勘違い」を呼びますので、いわゆる「歌言葉としての方言」と「方言会話に使われる方言」との違いを明文化すると良いかと思う次第です。
Posted by 山内朝喜 at 2012年04月19日 03:55
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