2006年02月10日
取納奉行節
取納奉行節
しゅぬぶじょーぶし
shunubujoo bushi
語句・しゅぬぶじょー 租税に関する取り締まり役人 (参考)収納座 租税に関する事務をする役所
一、いぐましゅる取納奉行何時がめんせが頭の達 今日や浜比嘉からお越し召せん(はーりぬおーやっさー)(囃しは以下略)
'いぐましゅるしゅぬぶじょー'いちがめんせがかしらぬちゃー きゆやばまふぃじゃから'うくしみせーん
'igumashuru shunubujoo 'ichiya meeNsega kashiranuchaa kiyu ya bama hwijakara 'ukushimiseeN
○意気込む取納奉行は何時いらっしゃるのか頭達 今日は浜比嘉からお越し召される
語句・いぐましゅる 意気込む <いぐましゅん 意気込んで企てる。
二、津堅バンタに登て浜の先みりばまこと取納奉行やお越し召せん
ちきんばんたにぬぶてぃばまぬさちみりばまくとぅしゅぬぶじょー'うくしみせん
chikiNbaNta ni nubuti bamanu sachi miriba makutu shunubujoo ya 'ukushi miseeN
○津堅の崖に登って浜の先を見たら本当に取納奉行がお越し召される
三、津堅浜に着きたりば取納奉行のみせぶんに今日や美童取て呉りよ津堅の頭の達
ちきんばまにちきたりばしゅぬぶじょーぬみせぶんにきゆやみやらびとぅてぃくぃりよーちきんぬかしらぬちゃー
chikiNbama ni chikitariba shunubujoo nu misebuN ni kiyuya miyarabi tutikwiri yoo chikiN nu kashira nu chaa
○津堅浜に着くと取納奉行がおっしゃることには今日は娘を取ってくれよ 津堅の頭達よ
語句・みせぶん 言う分には。 <みせーん 言うの敬語。 +ぶん 分
四、取納奉行の美童や誰がなゆが我ん頼ま 津堅神村祝女殿内のちぶぬぎカマドー小
しゅぬぶじょーのみやらびやたーがなゆがわんたぬま ちきんかんむらぬんどぅんちぬちぶぬぎかまどーぐわ
shunubujoo nu miyarabi ya taaga nayuga waNtanuma chikiN kaNmura nuNduNchi nu chibinugi kamadoogwaa
○取納奉行のお相手の娘に誰がなるか 私が頼もう 津堅神村祝女御殿の「壷抜ぎカマドー」(名前)に
五、あふぃな取納奉行の御前に寄せりゆし 胴衣も下袴も無らんものただ行きなゆみ
'あふぃなしゅぬぶじょーぬ'うめーにゆしりゆし どぅじん かかぬんねーらんむんただ'いちなゆみ
'ahwina shunubujoo nu 'umeeni yushiriyushi dujiN kakanuN neeraNmuN tada'ichinayumi
○あれほどの取納奉行の御前に近寄るのに下着も下袴も無い者がそのまま行かれるか
語句・ゆしりゆし 寄ること ゆしりゆん+し(・・ということ)。 ・どぅじぬんかかぬん どぅじん+N(も)下着も。 どぅじん 「肌着の上に着る短い下着 じゅばんに似たもの」 かかん 「女が腰から下に着る着物」
六、胴衣借らさは行ちゅみ下袴借らさは行ちゅみ根殿内のぱーぱーやあい持ちでもの
どぅじんからさば'いちゅみ かかんからさば'いちゅみにーどぅんちぬぱーぱーや'あいむちでむぬ
dujiN karasaba 'ichumi kakaN karasaba 'ichumi niiduNchi nu paapaa ya 'aimuchidemunu
○下着を貸せば行くか 下袴を貸せば行くか 根御殿(神官の家)のおばあさんは物持ちなのだから
語句・からさわ から(借りる)さ(する)わ(ば) 借りるならば ・ぱーぱー 平民の祖母、老女の敬称 おばあさん
七、応やっさんしゆしど銭金や儲けゆる んぱどんぱどすしや尻ど打たりんど
おーやっさんしゆしどぅじんかにやもーきゆる んぱどぅんぱどぅすしやちびどぅ'うたりんどー
ooyassaN siyushidu jiNkani ya mookiyuru Npadu Npadu sushiya chibidu 'utariNdoo
○応じやすいものこそ金儲けができる いやいやするものは尻をぶたれるぞ
語句・おおやっさん おお=応じる やっさん=安い
八、根殿内のぱーぱーや美童の頭 道引きそうてど御宿んかいそうて行ちゅる
にーどぅんちぬぱーぱーや みやらびぬかしら みちふぃちそーてぃどぅ'うやどぅんかいそーてぃ'いちゅる
niiduNchi nu paapaaya miyarabi nu kashira michihwichi sootidu 'uyaduNkai sooti 'ichuru
○根御殿のばあさんは娘の頭(となり)道引き同伴して御宿に連れて行くのだ
語句・そーてぃどぅ そーゆん(つれる 同伴する)+どぅ(強調) 同伴していくのいだ。
九、御宿から戻り五人美童はい行逢て 言語れやしちよて嬉しや召せさ
'うやどぅからむどぅいぐにんみやらびはい'いちゃてぃ 'いかたれーやしちょてぃ'うりしゃ召せさ
'uyadu kara mudui guniNmiyarabi hai 'icati 'ikataree ya shicooti 'urishamiseeN
○御宿から戻り五人の娘は出会い 男女の語らいをしていて(奉行は)お喜び召されるよ
語句・いかたれー 男女の契り、語らい ・うりしゃみせーん 喜び召される 敬語なので主語は奉行だろう。
十、収納奉行の御情や匂い鬢付き香しや物 おれゆか他にも紙包ぬん数々あいびんど
しゅぬぶじょーぬ'うなさきやにうぃびんじきかばしゃむん 'うりやかふかにん かびじちぬんかじかじあいびんどー
shunubujoo nu 'unasaki ya niwibiNjiki kabashamuN 'uriyaka hukaniN kabijichinuN kajikaji 'aibiiN doo
○収納奉行の気持ちの贈り物は匂い髪付けの香り高いもの それより他にも紙包みなど数々ありました
語句・うなさき 気持ちの贈り物。 ・やかふか より他。
十一、御役人衆の志情や 持ちかけ手布に指輪 わたかれ役人取い持ちやる詮も立たぬ
'うやくにんしゅぬしなさきや むちかきてぃさじに'いーびなぎ わたかりやくにん とぅいむっちゃるしぬんたたん
'uyakuniNshu nu shinasaki ya muchikakitisaji ni 'iibinagi watakari yakuniN tuimuccharu shinuN tataN
○御役人たちの贈り物は 持ち掛け手ぬぐいに指輪 腹枯(貧乏)役人は取り持っても甲斐もない
語句・いびなぎ 指輪 いびがね→いびねが(「が」「ね」が入れ替わったもの) ・むっちゃる 持っても。 <むち むちゅん 持つ。 +や +どぅ (る) →むちやどぅ→ むっちゃる ・わたかり <わた 腹。 +かり 枯れ →腹のへこんだ。「役人」について「下級役人」。・しぬん 甲斐も。 <しん 甲斐。効能。+ん →融合して「しぬん」。(「わん+ん」→「わぬん」と同じ)
しゅぬぶじょーぶし
shunubujoo bushi
語句・しゅぬぶじょー 租税に関する取り締まり役人 (参考)収納座 租税に関する事務をする役所
一、いぐましゅる取納奉行何時がめんせが頭の達 今日や浜比嘉からお越し召せん(はーりぬおーやっさー)(囃しは以下略)
'いぐましゅるしゅぬぶじょー'いちがめんせがかしらぬちゃー きゆやばまふぃじゃから'うくしみせーん
'igumashuru shunubujoo 'ichiya meeNsega kashiranuchaa kiyu ya bama hwijakara 'ukushimiseeN
○意気込む取納奉行は何時いらっしゃるのか頭達 今日は浜比嘉からお越し召される
語句・いぐましゅる 意気込む <いぐましゅん 意気込んで企てる。
二、津堅バンタに登て浜の先みりばまこと取納奉行やお越し召せん
ちきんばんたにぬぶてぃばまぬさちみりばまくとぅしゅぬぶじょー'うくしみせん
chikiNbaNta ni nubuti bamanu sachi miriba makutu shunubujoo ya 'ukushi miseeN
○津堅の崖に登って浜の先を見たら本当に取納奉行がお越し召される
三、津堅浜に着きたりば取納奉行のみせぶんに今日や美童取て呉りよ津堅の頭の達
ちきんばまにちきたりばしゅぬぶじょーぬみせぶんにきゆやみやらびとぅてぃくぃりよーちきんぬかしらぬちゃー
chikiNbama ni chikitariba shunubujoo nu misebuN ni kiyuya miyarabi tutikwiri yoo chikiN nu kashira nu chaa
○津堅浜に着くと取納奉行がおっしゃることには今日は娘を取ってくれよ 津堅の頭達よ
語句・みせぶん 言う分には。 <みせーん 言うの敬語。 +ぶん 分
四、取納奉行の美童や誰がなゆが我ん頼ま 津堅神村祝女殿内のちぶぬぎカマドー小
しゅぬぶじょーのみやらびやたーがなゆがわんたぬま ちきんかんむらぬんどぅんちぬちぶぬぎかまどーぐわ
shunubujoo nu miyarabi ya taaga nayuga waNtanuma chikiN kaNmura nuNduNchi nu chibinugi kamadoogwaa
○取納奉行のお相手の娘に誰がなるか 私が頼もう 津堅神村祝女御殿の「壷抜ぎカマドー」(名前)に
五、あふぃな取納奉行の御前に寄せりゆし 胴衣も下袴も無らんものただ行きなゆみ
'あふぃなしゅぬぶじょーぬ'うめーにゆしりゆし どぅじん かかぬんねーらんむんただ'いちなゆみ
'ahwina shunubujoo nu 'umeeni yushiriyushi dujiN kakanuN neeraNmuN tada'ichinayumi
○あれほどの取納奉行の御前に近寄るのに下着も下袴も無い者がそのまま行かれるか
語句・ゆしりゆし 寄ること ゆしりゆん+し(・・ということ)。 ・どぅじぬんかかぬん どぅじん+N(も)下着も。 どぅじん 「肌着の上に着る短い下着 じゅばんに似たもの」 かかん 「女が腰から下に着る着物」
六、胴衣借らさは行ちゅみ下袴借らさは行ちゅみ根殿内のぱーぱーやあい持ちでもの
どぅじんからさば'いちゅみ かかんからさば'いちゅみにーどぅんちぬぱーぱーや'あいむちでむぬ
dujiN karasaba 'ichumi kakaN karasaba 'ichumi niiduNchi nu paapaa ya 'aimuchidemunu
○下着を貸せば行くか 下袴を貸せば行くか 根御殿(神官の家)のおばあさんは物持ちなのだから
語句・からさわ から(借りる)さ(する)わ(ば) 借りるならば ・ぱーぱー 平民の祖母、老女の敬称 おばあさん
七、応やっさんしゆしど銭金や儲けゆる んぱどんぱどすしや尻ど打たりんど
おーやっさんしゆしどぅじんかにやもーきゆる んぱどぅんぱどぅすしやちびどぅ'うたりんどー
ooyassaN siyushidu jiNkani ya mookiyuru Npadu Npadu sushiya chibidu 'utariNdoo
○応じやすいものこそ金儲けができる いやいやするものは尻をぶたれるぞ
語句・おおやっさん おお=応じる やっさん=安い
八、根殿内のぱーぱーや美童の頭 道引きそうてど御宿んかいそうて行ちゅる
にーどぅんちぬぱーぱーや みやらびぬかしら みちふぃちそーてぃどぅ'うやどぅんかいそーてぃ'いちゅる
niiduNchi nu paapaaya miyarabi nu kashira michihwichi sootidu 'uyaduNkai sooti 'ichuru
○根御殿のばあさんは娘の頭(となり)道引き同伴して御宿に連れて行くのだ
語句・そーてぃどぅ そーゆん(つれる 同伴する)+どぅ(強調) 同伴していくのいだ。
九、御宿から戻り五人美童はい行逢て 言語れやしちよて嬉しや召せさ
'うやどぅからむどぅいぐにんみやらびはい'いちゃてぃ 'いかたれーやしちょてぃ'うりしゃ召せさ
'uyadu kara mudui guniNmiyarabi hai 'icati 'ikataree ya shicooti 'urishamiseeN
○御宿から戻り五人の娘は出会い 男女の語らいをしていて(奉行は)お喜び召されるよ
語句・いかたれー 男女の契り、語らい ・うりしゃみせーん 喜び召される 敬語なので主語は奉行だろう。
十、収納奉行の御情や匂い鬢付き香しや物 おれゆか他にも紙包ぬん数々あいびんど
しゅぬぶじょーぬ'うなさきやにうぃびんじきかばしゃむん 'うりやかふかにん かびじちぬんかじかじあいびんどー
shunubujoo nu 'unasaki ya niwibiNjiki kabashamuN 'uriyaka hukaniN kabijichinuN kajikaji 'aibiiN doo
○収納奉行の気持ちの贈り物は匂い髪付けの香り高いもの それより他にも紙包みなど数々ありました
語句・うなさき 気持ちの贈り物。 ・やかふか より他。
十一、御役人衆の志情や 持ちかけ手布に指輪 わたかれ役人取い持ちやる詮も立たぬ
'うやくにんしゅぬしなさきや むちかきてぃさじに'いーびなぎ わたかりやくにん とぅいむっちゃるしぬんたたん
'uyakuniNshu nu shinasaki ya muchikakitisaji ni 'iibinagi watakari yakuniN tuimuccharu shinuN tataN
○御役人たちの贈り物は 持ち掛け手ぬぐいに指輪 腹枯(貧乏)役人は取り持っても甲斐もない
語句・いびなぎ 指輪 いびがね→いびねが(「が」「ね」が入れ替わったもの) ・むっちゃる 持っても。 <むち むちゅん 持つ。 +や +どぅ (る) →むちやどぅ→ むっちゃる ・わたかり <わた 腹。 +かり 枯れ →腹のへこんだ。「役人」について「下級役人」。・しぬん 甲斐も。 <しん 甲斐。効能。+ん →融合して「しぬん」。(「わん+ん」→「わぬん」と同じ)
民謡の中にはいろいろな情景を歌ったものがあり、民衆と役人の関係もこうして歌に残る。
今日でこそ役人の既得権ウンヌンと言われるが、当時もやはり役人が権力をふりかざして特権で甘い汁をすうことには民衆の反発があり、それはその役人がしたことを記録し、歌にすることでもあったようだ。
その地域のボスたちが自分たちの権益を守るために未婚の娘たちをさしだし、奉行、役人たちと「合コン」をさせる。もちろん娘達はいくらかの報酬ももらう。そういう構図はよくあったのだろ。
今日でこそ役人の既得権ウンヌンと言われるが、当時もやはり役人が権力をふりかざして特権で甘い汁をすうことには民衆の反発があり、それはその役人がしたことを記録し、歌にすることでもあったようだ。
その地域のボスたちが自分たちの権益を守るために未婚の娘たちをさしだし、奉行、役人たちと「合コン」をさせる。もちろん娘達はいくらかの報酬ももらう。そういう構図はよくあったのだろ。
Posted by たる一 at 19:00│Comments(1)
│さ行
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Posted by せきひろし(たるー) at 2006年07月13日 16:24
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