2005年11月13日

遊びションガネー

遊びションガネー
'あしび しょんがねー
'asibi shoNganee
(語句)・あしび・'ashibi あしび 唄三線を楽しむこと・しょんがねー大和で流行した歌の囃子言葉「ションガイナ」が語源ともいう説があるが不明。


一、面影のでんし たたなうち呉りば(サーサー ションガネスリションガネ)
うむかじぬでんし たたな'うちくぃりば
'umukazi nu deNsi tatana 'uchikwiriba
面影さえ立たないでくれたら
(語句)・うむかじ 面影 心に浮かぶ姿 〜ぬたちゅん 〜が浮かぶ・でんし 〜さえ すら・たたな<たちゅん 立つ の否定形 あとの「呉りば」に続く接続形・うちあとの「呉り」に掛かって、強める。「うち晴りてぃ」(安波節)・くぃりば呉れたら


(saa saa shoNganee suri shoNganee)
(さーさー しょんがねー すり しょんがねー)


忘りゆる暇ん あゆらやしが ヨンナ
わしりゆる ひまん 'あゆらやしが (よーんな)
washiriyuru himaN 'ayurayashiga (yooNna)
忘れられる暇も あるのだろうけれども 
(語句)・わしりゆる忘れられる ・も ・あゆらやしが<あゆん(ある)+ら(推量)+やしが ・・・だけれど 「あるのだろうけれども、忘れる暇もない」という反語表現。


ニ、遊び面影や まりまりど立ちゅる
'あしび'うむかじ や まりまり どぅ たちゅる
'ashibi 'umukazi ya marimari du tachuru
遊ぶ(人の)面影は 稀(まれ)に立つだけだ
(語句)・まりまり 稀(まり)の畳語(強調するために重ねる表現方法) 「までぃまでぃ」と歌う場合もある。(「R」と「D」の入れ替わり)・まりまりどぅたちゅる直訳すると「稀稀にこそ立つ」だが「稀に立つだけだ」と表現を強調した。


里が面影や 朝ん夕(さ)ん
さとぅが 'うむかじ や 'あさん ゆさん
satu ga 'umukazi ya 'asaN yusaN
貴方の面影は 一日中(浮かぶ)
(語句)・さとぅ女性から見た恋人の呼び方 貴方(あなた) ・の ・あさんゆさん一日中。「あさゆさ」(一日中)から来ている。
 「夕」は発音では「ゆー」yuu だが、詩的許容のため「ゆ」。yuuゆーは夕方ではなく「夜」。夕方は yuukaagiゆーかーぎ(夜の影)'iriee'いりえー yusaNdiゆさんでぃ。

【直訳】

一、面影さえ立たないでくれたら忘れられる暇もあるのだろうけれども 

二、遊ぶ(人の)面影は稀(まれ)に立つだけだ、貴方の面影は一日中(浮かぶ)

【注意点】

琉歌では、下句が二文字足りないので、歌詞を二文字重ねる歌い方が一般的(例えば、「安波節」では下句末尾の「どぅくる」を「どぅく・どぅくる」と歌う)だが、この曲は囃子言葉「ヨーンナ」を末尾に挿入して文字数を補っている。

この時「ヨーンナ」は、あくまで二文字の補足であるから三文字「ヨ」、「ン」、「ナ」ではなく「ヨ」と「ナ」二文字であり「ン」は「ナ」の発音の前に来る予備的な鼻音である、という意見がある。

【いくつもあるションガネ系の歌】

さて ションガネーというような名前のつく唄は琉球列島にはいくつもある。

「島うた紀行」(仲宗根幸市)によると

宮古民謡の多良間シュンカニ。
八重山民謡では 有名な与那国ションカネー。どぅなんスンカニ。
西表には船浮ションガネ。
沖縄の伊平屋島の古謡 ションガネ節もある。
伊平屋島のションガネ節は、三線ではなく鼓で歌うウシデーク。

みやまくすやまに ちゅいなちゅるとぅいや
○深山底山に 一人鳴く鳥は

ササ ションガネ クヌ ションガネ

なちゅるくいやあしが ふぁだやみらん
○鳴く声はあるが 肌は見えない
ササ ションガネ クヌ ションガネ
(「島うた紀行」より 訳はたるー)

歌詞は類似したところはないが囃子の
ササ、ションガネ クヌションガネ
の部分がよく似ている。

奄美には しゅんかね節。
「いまれ流行のしゅんかね節は私が歌いこなしてあげますから、どうぞあなたは三線をもっていらっしゃい。私が唄をつけてあげますから」(島うた紀行)という意味の歌詞。

一説にによると、津軽ジョンガラ 北陸地方にあるジョンガラ踊りも
同じ系統だという。(そうではないという意見もある。)

【ションガネの意味】

当時、大和で流行した「ションガイナ」を囃子言葉に持つ言葉に影響されたという説がある。

「ションガイナ」とは、これまた不明で、「そうだね」と相槌を打つ言葉ではないか、といわれている。

他方「しょうがない」というあきらめの気持ちとする説もある。

ちなみに「しょうがない」にあたる沖縄語(首里語)はsyooN tataNしょーんたたん。ションガネーではない。


囃子言葉は、語感が面白いのと歌のリズムにピッタリはまるので、本体の歌詞よりはそのまま残ることが多いといわれる。
しかし、ここでみたように、当日の庶民の気持ちを載せて気ままに歌われ伝わった民謡の囃子言葉を調べて特定するのは困難だ。


同じカテゴリー(あ行)の記事
アカバンタ
アカバンタ(2022-09-21 09:31)

浅地紺地
浅地紺地(2020-05-17 10:49)

御年日ぬ唄
御年日ぬ唄(2020-05-10 12:56)

親心
親心(2020-02-05 09:08)

恩納ナビー
恩納ナビー(2019-07-10 07:34)


Posted by たる一 at 12:01│Comments(2)あ行
この記事へのコメント
たるーさん
こんにちは
毎日楽しみに覗いています
八重山うたでも、まだションガネーがありますのでお知らせしますね

新城島(あらぐすくじま、別名パナリ島)の「前ぬ渡(まいぬとぅ)節)」は
沖縄本島の遊びションガネーとそっくりです
唄持ちは同じ、メロディーもほとんど同じです
歌詞の内容は対岸の新城島では米が作れないので西表島へ渡り米作りに行く安全と役人の離島航海の安全を詠ったものです
八重山うた1番の難曲「越城(くいぐすぃく)節」のチラシとしてよく歌われます

いまひとつはションガネーでは無いのですが語感の似ている「ションカニ」という言葉を題にした「ションカニ小(ぐゎ)」
テンポの良い早弾きの明るいメロディーで
「竹富島で生まれたシュンク踊がションカニの始まり
竹富近海に浮かぶ六反船の様子など」を詠っています
Posted by コバ at 2005年11月13日 17:08
コバさん、コメントありがとうございます。
コバさんのブログも楽しみながら読ませていただいています。

「前ぬ渡(まいぬとぅ)節」

さっそく、工工四を手許の八重山古典音楽安室流保存会(これしか手持ちがありません)の工工四全巻で調べました。
まことに!これは、「遊びションカネー」とそっくりですね。

囃子は
 スリ ションカネ スリ ショライ

面白いと思ったのは、歌持ちはほぼ同じ。工工四は若干違いますが、囃子のところの節はそっくり。
やはり囃子は変化が少ない部分という定説はここでもあてはまるようですね。

「ションカニ小」のほうは手許の資料では見つけることができませんでした。紹介ありがとうございます。
ちなみに越城節(くいぐすぃくぶし)非常に難しそうな曲ですね。

また、なにかお気づきの点やご意見がありましたらかきこんでください。



Posted by たるー at 2005年11月13日 20:23
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。