2009年03月06日
サイサイ節 (沖永良部民謡)
サイサイ節
さいさいぶし
saisaibushi
語句・さい 沖永良部方言で「酒」。sake→(三母音化)saki→(kの脱落)sai という変化だろうと推測する。沖永良部島も「琉球語方言」の圏内。行政区では沖縄県奄美地方に属しているが、方言も民謡も沖縄本島の影響が濃い。
一、(サイサイサイ サイ持ち来う 飲でぃ遊ば)今日の福らしや(すーり)物に立てららん
(サイサイサイ サイ持ち来う 飲でぃ遊ば)何時む今日ぬ如に(すーり)あらち あらちたぼり
(さいさいさい さいむちくー ぬでぃ'あしば)きゆぬふくらしゃや(すーり)むぬにたてぃららん
(さいさいさい さいむちくー ぬでぃ'あしば)'いちむひゅぬぐとぅに(すーり)'あらち 'あらちたぼり
sai sai sai sai muchi kuu nudi 'ashiba kiyu nu hukurasya ya (suuri)munu ni tatiraraN
sai sai sai sai muchi kuu nudi 'ashiba 'ichimu hyu nu gutu ni (suuri) 'arachi arachitabori
○(酒 酒 酒 酒持って来い 飲んで遊ぼう)今日の嬉しさは物にたとえができない 何時も今日の如くあらせてください
語句・ふくらしゃ 嬉しさ。歓び。<沖縄語の「ふくらしゃん」 嬉しい。・むぬにたてぃららん なにものにも例えられない。 (参考)「今日ぬ誇らしゃや物に譬ららん」(きゆぬふくらしゃやむぬにたとぅららん)。・いちむ いつも。 「む」は沖縄語の「ん」に相当。 ・ひゅ 今日。 kiyuの「k」が弱まって「h」。・あらち あらちたぼり 「あらち」が繰りかえされるのは琉歌特有の最後の句が8文字より少なく(6文字)になるためだが、この歌では2文字ではなく3文字が繰り返される。
※以下囃子、繰り返しは略す。
二、はにまさぬ御酒 我一人飲まりゆみ 親(はな)しゃある友達と共てぬまな
はにまさぬ'うざき わちゅいぬまりゆみ はなしゃ'あるどぅしとぅゆようてぬまな
hanimasa nu 'uzaki wachui numariyumi hanasha 'aru dushi tu yuyoute numana
○このように美味しいお酒私一人で飲めるか(飲めない) 愛しい友と寄り集まって飲みたい
語句・はに 後述の前田綾子さんの唄では「其(が)に」となっている。沖縄語の「かに」(かように)の「ka」が強く変化して「ga」に、弱くなると「ha」となったものだろう。・はなしゃ 「かなしゃん」(愛しい)の「ka」が弱くなったもの。前田綾子さんでは「かなしゃ」。・ゆようて 寄り集まって <ゆゆん 寄る。+居ん(活用語尾) 居る。
三、酒とムリハクや 身ぬ薬でむぬ 如何なギグやてむ 満ちておいしら
さきとぅむりはくや みぬくすいでむぬ 'いかなぎぐやてぃん みちてぃおいしら
saki tu murihaku ya mi nu kusui demunu 'ikana gigu yatiN michiti oisira
○酒と諸白(地酒の一種)は身の薬であるから どんな下戸であっても満足して召し上がってください
語句・むりはく または「むるはく」。「諸白」(標準語で『もろはく』)とは「麹米と掛け米の両方に精白米を使う酒の製法、またはそれによってできた酒」のことで、いわゆる清酒の事。 ・ぎぐ 下戸(げこ)。geko→(三母音化) giku。 「ku」が連濁の影響を受けて「gu」になったものと見られる。
四、酒飲でむ八十 飲まだなむ八十 酒飲でぬ八十ましやあらみ
さきぬでぃむはちじゅー ぬまだなむはちじゅー さきぬでぃはちじゅーましや'あらみ
saki nudim hachijuu numadanam hachijuu saki nudi hachijuu mashi ya 'arami
○酒飲んで八十歳(まで生きる) 酒飲まないで八十歳 (ならば)酒飲んで八十歳(になるのが)ましではないか?
語句・ぬでぃむ <ぬでぃ 飲んで。+む ん。強調。・ぬまだなむ 沖縄語で「飲まんでぃん」に相当。詳しい活用は不明。・あらみ 沖縄語での「あらに」(ないか?ないだろうか。)に相当。
五、白髪年寄りや床ぬ前に飾てぃ産し子歌しみてぃ又孫踊い
しらぎとぅしゆりや とぅくぬめにかじゃてぃ なしぐゎ'うたしみてぃひまがうどぅい
shiragi tushiyuri ya tuku nu me ni kajati nashigwa 'uta shimiti himaga udui
○白髪のお年寄りは床の前に飾って わが子歌わせて孫を踊らせる
語句・ひまぐ 沖縄語の「んまが」に相当。
(前田綾子さんのCDから)
※上掲歌詞にないもの、相違するものをあげる。
一、酒む飲み里前 遊女む招び里前 二、三十ぬ頃に死にや如何しゆが
さきむぬみさとぅめ ずりむゆびさとぅめ にさんじゅーぬくるに しにやちゃしゆが
saki mu numi satume zuri mu yubi satume nisaNjyu nu kuru ni shini ya chashiyuga
○酒も飲みなさいあなた 遊女も呼びなさいあなた (でも)二、三十の頃に死んだらどうしますか?
語句・む 「ん」に相当。・ずり 「じゅり」に相当。
二、其に旨さぬ御酒 我一人飲まりゆみ 親愛しゃ有ぬ友達とぅ居寄てぃ飲もや
がにまさぬ'うざき わふぃちゅいぬまりゆみ かなしゃあぬどぅしとぅ いよてぃぬもや
gani masanu 'usagi wahwichui numariyumi kanasha a nu dushi tu 'iyoti numo ya
○こんなに美味しいお酒 私一人で飲まれないでしょう 大好きな友達と集まって飲もうよ
語句・がに かような。上掲の「はに」に相当。沖縄語の「かに」。・まさぬ CDライナーノツには「んまさぬ」とあるがCDを聞き取ると「まさぬ」と聞える。沖縄語の「まーさん」。
さいさいぶし
saisaibushi
語句・さい 沖永良部方言で「酒」。sake→(三母音化)saki→(kの脱落)sai という変化だろうと推測する。沖永良部島も「琉球語方言」の圏内。行政区では沖縄県奄美地方に属しているが、方言も民謡も沖縄本島の影響が濃い。
一、(サイサイサイ サイ持ち来う 飲でぃ遊ば)今日の福らしや(すーり)物に立てららん
(サイサイサイ サイ持ち来う 飲でぃ遊ば)何時む今日ぬ如に(すーり)あらち あらちたぼり
(さいさいさい さいむちくー ぬでぃ'あしば)きゆぬふくらしゃや(すーり)むぬにたてぃららん
(さいさいさい さいむちくー ぬでぃ'あしば)'いちむひゅぬぐとぅに(すーり)'あらち 'あらちたぼり
sai sai sai sai muchi kuu nudi 'ashiba kiyu nu hukurasya ya (suuri)munu ni tatiraraN
sai sai sai sai muchi kuu nudi 'ashiba 'ichimu hyu nu gutu ni (suuri) 'arachi arachitabori
○(酒 酒 酒 酒持って来い 飲んで遊ぼう)今日の嬉しさは物にたとえができない 何時も今日の如くあらせてください
語句・ふくらしゃ 嬉しさ。歓び。<沖縄語の「ふくらしゃん」 嬉しい。・むぬにたてぃららん なにものにも例えられない。 (参考)「今日ぬ誇らしゃや物に譬ららん」(きゆぬふくらしゃやむぬにたとぅららん)。・いちむ いつも。 「む」は沖縄語の「ん」に相当。 ・ひゅ 今日。 kiyuの「k」が弱まって「h」。・あらち あらちたぼり 「あらち」が繰りかえされるのは琉歌特有の最後の句が8文字より少なく(6文字)になるためだが、この歌では2文字ではなく3文字が繰り返される。
※以下囃子、繰り返しは略す。
二、はにまさぬ御酒 我一人飲まりゆみ 親(はな)しゃある友達と共てぬまな
はにまさぬ'うざき わちゅいぬまりゆみ はなしゃ'あるどぅしとぅゆようてぬまな
hanimasa nu 'uzaki wachui numariyumi hanasha 'aru dushi tu yuyoute numana
○このように美味しいお酒私一人で飲めるか(飲めない) 愛しい友と寄り集まって飲みたい
語句・はに 後述の前田綾子さんの唄では「其(が)に」となっている。沖縄語の「かに」(かように)の「ka」が強く変化して「ga」に、弱くなると「ha」となったものだろう。・はなしゃ 「かなしゃん」(愛しい)の「ka」が弱くなったもの。前田綾子さんでは「かなしゃ」。・ゆようて 寄り集まって <ゆゆん 寄る。+居ん(活用語尾) 居る。
三、酒とムリハクや 身ぬ薬でむぬ 如何なギグやてむ 満ちておいしら
さきとぅむりはくや みぬくすいでむぬ 'いかなぎぐやてぃん みちてぃおいしら
saki tu murihaku ya mi nu kusui demunu 'ikana gigu yatiN michiti oisira
○酒と諸白(地酒の一種)は身の薬であるから どんな下戸であっても満足して召し上がってください
語句・むりはく または「むるはく」。「諸白」(標準語で『もろはく』)とは「麹米と掛け米の両方に精白米を使う酒の製法、またはそれによってできた酒」のことで、いわゆる清酒の事。 ・ぎぐ 下戸(げこ)。geko→(三母音化) giku。 「ku」が連濁の影響を受けて「gu」になったものと見られる。
四、酒飲でむ八十 飲まだなむ八十 酒飲でぬ八十ましやあらみ
さきぬでぃむはちじゅー ぬまだなむはちじゅー さきぬでぃはちじゅーましや'あらみ
saki nudim hachijuu numadanam hachijuu saki nudi hachijuu mashi ya 'arami
○酒飲んで八十歳(まで生きる) 酒飲まないで八十歳 (ならば)酒飲んで八十歳(になるのが)ましではないか?
語句・ぬでぃむ <ぬでぃ 飲んで。+む ん。強調。・ぬまだなむ 沖縄語で「飲まんでぃん」に相当。詳しい活用は不明。・あらみ 沖縄語での「あらに」(ないか?ないだろうか。)に相当。
五、白髪年寄りや床ぬ前に飾てぃ産し子歌しみてぃ又孫踊い
しらぎとぅしゆりや とぅくぬめにかじゃてぃ なしぐゎ'うたしみてぃひまがうどぅい
shiragi tushiyuri ya tuku nu me ni kajati nashigwa 'uta shimiti himaga udui
○白髪のお年寄りは床の前に飾って わが子歌わせて孫を踊らせる
語句・ひまぐ 沖縄語の「んまが」に相当。
(前田綾子さんのCDから)
※上掲歌詞にないもの、相違するものをあげる。
一、酒む飲み里前 遊女む招び里前 二、三十ぬ頃に死にや如何しゆが
さきむぬみさとぅめ ずりむゆびさとぅめ にさんじゅーぬくるに しにやちゃしゆが
saki mu numi satume zuri mu yubi satume nisaNjyu nu kuru ni shini ya chashiyuga
○酒も飲みなさいあなた 遊女も呼びなさいあなた (でも)二、三十の頃に死んだらどうしますか?
語句・む 「ん」に相当。・ずり 「じゅり」に相当。
二、其に旨さぬ御酒 我一人飲まりゆみ 親愛しゃ有ぬ友達とぅ居寄てぃ飲もや
がにまさぬ'うざき わふぃちゅいぬまりゆみ かなしゃあぬどぅしとぅ いよてぃぬもや
gani masanu 'usagi wahwichui numariyumi kanasha a nu dushi tu 'iyoti numo ya
○こんなに美味しいお酒 私一人で飲まれないでしょう 大好きな友達と集まって飲もうよ
語句・がに かような。上掲の「はに」に相当。沖縄語の「かに」。・まさぬ CDライナーノツには「んまさぬ」とあるがCDを聞き取ると「まさぬ」と聞える。沖縄語の「まーさん」。
先日、ある場所で沖永良部島出身の友人長田富安氏がこれを歌ってくれて、
ひさしぶりに生のこの歌を聴いた。
前置きはこうである。
「自分の島で、昔からおじいたちが歌っていた歌があるが、昔はなんとも思わなかった。
それがあるコンサートである歌者によって『とてもすばらしい歌だ』と紹介されていた。
だんだん、わたしもそう思うようになってきた。」と。
彼の味がある声で歌ってくれた「さいさい節」が忘れられなくて、歌詞を集めた。
昔、友人が送ってくれた「沖永良部民謡 工工四」(城村秀治著)を参考にしつつ
「前田綾子沖永良部民謡集 なちかしゃぬ島唄」というCDを聴きながら。
沖永良部島の方言は、上述のように琉球語方言に属する。
行政区では鹿児島県に属しているが、昔の名残で沖縄文化の影響も強く
沖縄音階をたくさん含んだ民謡が多い。
この「さいさい節」も沖縄音階がふんだんに使われている。
歌詞も琉歌の影響を受けている。
サンパチロクの歌詞が多い。
にもかかわらず、囃子言葉の「サイサイサイ・・」は一種独特である。
「さい」とは上述のように「酒」saki の「k」が脱落したものだろう。
「はにまさぬ」と「がにまさぬ」や、「はなしゃある」「かなしゃある」などのように
微妙に歌者によって発音のブレがあるが、方言の変化と受け止める。
発音の強弱で「かに」(沖縄方言で『かように』の意味)が弱くすれば「はに」となり
強めれば「がに」になるように。
それにしても「酒飲んで八十・・・」の歌詞に、対抗するような「酒む飲み里目・・・」の歌詞が
面白い。
酒は薬にも毒にもなる。
ひさしぶりに生のこの歌を聴いた。
前置きはこうである。
「自分の島で、昔からおじいたちが歌っていた歌があるが、昔はなんとも思わなかった。
それがあるコンサートである歌者によって『とてもすばらしい歌だ』と紹介されていた。
だんだん、わたしもそう思うようになってきた。」と。
彼の味がある声で歌ってくれた「さいさい節」が忘れられなくて、歌詞を集めた。
昔、友人が送ってくれた「沖永良部民謡 工工四」(城村秀治著)を参考にしつつ
「前田綾子沖永良部民謡集 なちかしゃぬ島唄」というCDを聴きながら。
沖永良部島の方言は、上述のように琉球語方言に属する。
行政区では鹿児島県に属しているが、昔の名残で沖縄文化の影響も強く
沖縄音階をたくさん含んだ民謡が多い。
この「さいさい節」も沖縄音階がふんだんに使われている。
歌詞も琉歌の影響を受けている。
サンパチロクの歌詞が多い。
にもかかわらず、囃子言葉の「サイサイサイ・・」は一種独特である。
「さい」とは上述のように「酒」saki の「k」が脱落したものだろう。
「はにまさぬ」と「がにまさぬ」や、「はなしゃある」「かなしゃある」などのように
微妙に歌者によって発音のブレがあるが、方言の変化と受け止める。
発音の強弱で「かに」(沖縄方言で『かように』の意味)が弱くすれば「はに」となり
強めれば「がに」になるように。
それにしても「酒飲んで八十・・・」の歌詞に、対抗するような「酒む飲み里目・・・」の歌詞が
面白い。
酒は薬にも毒にもなる。
Posted by たる一 at 12:40│Comments(5)
│さ行
この記事へのコメント
こんにちは。
かつての沖永良部島の焼酎は、米を原料としたものだったでしょうか。そうであるならば、酒は泡盛のように洗米はするけれども精米はしないもの、諸白は精米した米を使ったものとは考えられないでしょうか。
かつての沖永良部島の焼酎は、米を原料としたものだったでしょうか。そうであるならば、酒は泡盛のように洗米はするけれども精米はしないもの、諸白は精米した米を使ったものとは考えられないでしょうか。
Posted by 伊 謄 at 2009年03月08日 10:06
伊 謄 さん おひさしぶりです。
昔は沖縄も稲作が盛んだったらしいから
それが焼酎の原料だったことは十分考えられますね。
けれど、詳しい歴史がわからないのです。
黒糖以前が米だったことがはっきりすればいいんですがね。
昔は沖縄も稲作が盛んだったらしいから
それが焼酎の原料だったことは十分考えられますね。
けれど、詳しい歴史がわからないのです。
黒糖以前が米だったことがはっきりすればいいんですがね。
Posted by たるー at 2009年03月12日 07:29
こんにちは。
薩摩の藩政下では黒糖は使えませんでしたから、そのあたりから焼酎の流れを追っていくことになるのかなと思います。
ネット上では、鹿児島焼酎紀行の徳之島と沖永良部島の記事が興味深いので、それのURLを貼っておきますね。
薩摩の藩政下では黒糖は使えませんでしたから、そのあたりから焼酎の流れを追っていくことになるのかなと思います。
ネット上では、鹿児島焼酎紀行の徳之島と沖永良部島の記事が興味深いので、それのURLを貼っておきますね。
Posted by 伊 謄 at 2009年03月14日 18:55
伊 謄 さん
このサイト、実に興味深く読ませてもらいました。
酒の歴史、すこしゆっくり勉強したいものです。
感謝です。
このサイト、実に興味深く読ませてもらいました。
酒の歴史、すこしゆっくり勉強したいものです。
感謝です。
Posted by たるー at 2009年03月17日 23:13
仕事で沖永良部島に滞在した経験と父方が元々酒蔵の関係の私として二点指摘しますね
〇前田綾子さんの歌詞は酒を回す前の遊び呼び唄であるサイサイ節と、酒を注ぐ時の遊び唄の御酌節(手酌節、くじゃく節とも)の共通歌詞です。
これは知名字の前田さんの先輩である末山清秀さんや先田サエさんなど複数から指導されました。
〇諸白とは日本酒の古称なんですが、実際問題ではミキを過剰発酵させたアルコール分のあるドブロク、つまり天然発酵米酒を指しています。八重山などで言うミシャグです、これをノロの噛み酒だと未だに言っている方が散見されますが、実際は砕いた米や芋を水に浸けたものの中に島桑の木に天然繁殖している黒麹菌を採取して混ぜ合わせて暫く置いておいたものです、現在でも離島ではよく造られていますし、若いものはいわゆるミキとして飲み、もう暫く置くとアルコールが発生して酸味が増してきます、程度の低い簡素な泡盛とも言えるのです。
琉球王府時代に首里三箇のみでしか酒造は禁止されていた筈なのに八重山や宮古や伊江島や伊平屋伊是名などの離島で平気で泡盛が密造されていたのは島桑からアワモリクス黒麹菌が採れる事を島人が知っていたからです。
上記の過剰発酵したミキを簡略式でも蒸留すれば泡盛に限りなく近い酒が密造できたのです。
〇前田綾子さんの歌詞は酒を回す前の遊び呼び唄であるサイサイ節と、酒を注ぐ時の遊び唄の御酌節(手酌節、くじゃく節とも)の共通歌詞です。
これは知名字の前田さんの先輩である末山清秀さんや先田サエさんなど複数から指導されました。
〇諸白とは日本酒の古称なんですが、実際問題ではミキを過剰発酵させたアルコール分のあるドブロク、つまり天然発酵米酒を指しています。八重山などで言うミシャグです、これをノロの噛み酒だと未だに言っている方が散見されますが、実際は砕いた米や芋を水に浸けたものの中に島桑の木に天然繁殖している黒麹菌を採取して混ぜ合わせて暫く置いておいたものです、現在でも離島ではよく造られていますし、若いものはいわゆるミキとして飲み、もう暫く置くとアルコールが発生して酸味が増してきます、程度の低い簡素な泡盛とも言えるのです。
琉球王府時代に首里三箇のみでしか酒造は禁止されていた筈なのに八重山や宮古や伊江島や伊平屋伊是名などの離島で平気で泡盛が密造されていたのは島桑からアワモリクス黒麹菌が採れる事を島人が知っていたからです。
上記の過剰発酵したミキを簡略式でも蒸留すれば泡盛に限りなく近い酒が密造できたのです。
Posted by くがなー at 2011年03月07日 03:27
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