2008年04月15日

サン・サン・サン

サン・サン・サン 
さん さん さん
saN saN saN
しない しない しない
語句・さん 「する」という意味の「しゅん」「すん」の否定形。


作詞:知名定男、松田弘一
作曲:知名定男
([]は大和口)

一、何やがこの頃の唄や 受け取ったる宝物からはんでて やんでて くんでて無ぇらんしが
※決して我達やうぬ様な事や 決してさん 決してさん さんさんさんさん 決して絶対さん

ぬーやがくぬぐるぬ'うたや'うきとったるたからむんから はんでぃてぃ やんでぃてぃ くんでぃてぃ ねーらんしが
※ちしてぃわったや 'うぬよなくとぅやちしてぃさん ちしてぃさん さんさんさんさん ちしてぃ[絶対:じぇったい]さん
nuuyaga kunuguru nu 'uta ya 'ukituttaru takaramuN kara haNditi yaNditi kuNditi neeraNshiga chishiti watta ya 'unu yoona kutu ya chishiti saN chishiti saN saN saN saN saN chishiti [絶対jettai]saN
何かこの頃の唄は 受け取った宝物からはずれ、壊れて、はっきりしなくなってしまっているが決して私達はその様な事は決してしない、決してしない、しない、しない、しない、しない、決して絶対しない
語句・ぬーやが 何か。<ぬー 何。+や<やん だ。+が 疑問を表す。「何だろうか」→「何か」。・はんでぃてぃ はずれて。<はんでぃゆん はずれる。・やんでぃてぃ 壊れて<やんでぃゆん 壊れる。・くんでぃゆん はっきりしなくなって。<はんでぃゆん 「(こすれて)消える。(字・印などが)鮮明でなくなり、わからなくなる。」(沖)・ねーらんしが …してしまっているが。 動詞の連用形に「ねーん」がつくと、「無い」という意味ではなく「…してしまった」。(例)「かでぃねーん」→食べてしまった。・ちしてぃ 沖縄語辞典などにはない。大和口「けっして」を沖縄口読みしたものか。・絶対 これも同じ。CDでは「じぇったい」と発音されている。



二、確かこの頃の唄や 習れ取ったる昔手からはいしじて ゆーしじて とぅんじて無らんしが ※(繰り返し)
たしかくぬぐるぬ'うたや なれーとぅったる んかしでぃーから はいしじてぃ ゆーしじてぃ とぅんじてぃねーらんしが
tashika kunuguru nu 'uta ya nareetuttaru Nkashidii kara haishijiti yuushiti tuNjitineeraNshiga
確かこの頃の唄は習い取った昔手(奏法)に比べて お利口すぎて、良すぎて、飛び出してしまっているが
語句・んかしでぃー 昔(の)手→昔の奏法。・からから。→に比べて。 「から」は沖縄語辞典によると、?から。「空間、時間の起点を示す」?を。「通行する場所」?で。「通行手段を示す」?から。「原料・根拠などを示す」とある。ここでは?を採用し「比べて」とした。はいしじてぃ お利口すぎて。<はいしじゆん 才走る。お利口にすぎる。・ゆーしじてぃ良くできすぎて <ゆー よく。+しじゆん 過ぎる。・とぅんじてぃ飛び出して。<とぅんじゆん 飛び出す。



三、あぎじゃびよ この頃の唄や授かたる財産から喰ぇー果てて使け果てて飽き果てて無ぇらんしが
'あぎじゃびよ くぬぐるぬ'うたや さじかたる[財産じぇーさん]からくぇーはてぃてぃ ちけーはてぃてぃ 'あちはてぃてぃねーらんしが
'agijabiyo kunuguru nu 'uta ya sajikataru [財産jeesaN] kara kweehatiti chikeehatiti 'achihatitineeraNshiga
ああ この頃の唄は授かった財産でもって肥え果てて使い果てて飽き果ててしまっている
語句・あぎじゃびよ ああ。<あきさみよー。「あれぇっ。きゃあっ。助けてくれ。非常に驚いた時、悲しい時、苦痛にたえない時、救いを求める時などに発する声」(沖)。・さじかたる 授かった。 <さじゃかゆん 授かる。「さじか…」は、やや大和口に近い。・じぇーさん 財産。の沖縄口読み。財産は「ゆじぇー」(余財→財産)、「むち」(持つ)、「うぇーき」。・からでもって。上述の「から」の用法のうち?を採用。・くぇーはてぃてぃ 肥え果てて <くぇーゆん 太る。肥える。+はてぃゆん はてる。 「食べ果てて」では微妙。・あちはてぃてぃ 飽きて <あちはてぃゆん 飽きる。



四、何がよこの頃の唄や 三線てぃちからギター入って ピアノ入って ドラム入って上等やんや やしが我達やうぬ様な事や 決してさん 決してさん さんさんさんさん 決して絶対すん
ぬーがよーくぬぐるぬ'うたや さんしんてぃーちから[ギター]'いってぃ[ピアノ]'いってぃ[ドラム]'いってぃじょーとぅーやんや やしがわったや 'うぬ[様な:よな]くとぅやちしてぃさん ちしてぃさん さんさんさんさん ちしてぃ[絶対:じぇったい]さん
nuugayoo kunuguru nu 'uta ya saNshiN tiichi kara [ギター]'itti[ピアノ]'itti[ドラム]'itti jootuu yaNyaa yashiga watta ya 'unu [様なyona]kutu ya chishiti saN chishiti saN saN saN saN saN chishiti [絶対jettai]suN
何かねえ この頃の唄は三線一本からギター入れてピアノ入れてドラム入れて上等だよ けれども私達はその様なことは決してしない 決してしない しない しない しない しない決して する
語句・じょーとぅー 上等。 「じょーとー」と発音すると大和口になる。・すん する。 最後の最後だけが「さん」ではない所がミソ。



歌うのはどう見ても盗賊の男四人組。
その名も「ザ フェーレー」(盗賊)。
知る人ぞ知る民謡界の大御所四人が知名定男のプロデュースで、ネーネーズとはまったく正反対のキャラで唄う。

この唄は、ちょっと聴けば民謡の正統派が今の沖縄音楽を嘆いている。

昔の宝物を大切にしていない、作り替え、飽きたら捨てる。

そんなことは我等は絶対にしない、と。ギターを入れたり、ピアノ入れたりと、それはそれで上等だ。

だが我等はそんなことは…。という背中がこそばゆくなるような唄。

曲が「スンサーミ」や「久高万寿主」にも聞こえ、さらに太鼓で堅気なムードをかもしだす。

私も三線にギターやキーボードを入れるのは嫌いではないが、三線一本の昔堅気の民謡を聴くと背筋がのびる。

「さん」はウチナーグチで「する」の否定形。つまり「しない」。
ところが、四番の最後の最後で「絶対 すん」(絶対する)になっている。

一般論としては堅気のように新しいスタイルを拒否するんだが、
近代楽器を入れて弾く三線もちょっとなら悪くない、でしょ、と。

まあ彼らのようになんでもできる人達らが歌うから「笑える」唄なのかもしれない。


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Posted by たる一 at 17:34│Comments(2)さ行沖縄本島
この記事へのコメント
いつもありがとう。
Posted by てるお at 2008年12月24日 19:48
こちらこそ~
Posted by たるー(せきひろし)たるー(せきひろし) at 2008年12月26日 09:48
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