2012年10月08日

久米阿嘉節

久米阿嘉節
くみあかぶし
kumi 'aka bushi
久米島の阿嘉(地名)の唄
語句・くみ 久米島は那覇から西に100キロほどの東シナ海に浮かぶ周囲48キロの島。久米島は「くみじま」と読む。・あか 久米島にある地名。阿嘉部落。


一、阿嘉ぬひじ水や 上んかいどぅ吹ちゅる ユイサーユイ かまど小が肝や 上い下い ウネスーリ ユイサーユイ
あかぬひじみじや うぃんかいどぅふちゅる ゆいさーゆい かまどぅぐゎがちむや ぬぶいくだい うねすーり ゆいさーゆい
'aka nu h(w)iji miji ya 'wii Nkai du huchuru (yui saa yui) kamadu gwaa ga chimu ya nubui kudai ('une suuri yui saa yui)
※以下括弧の囃子言葉は省略
阿嘉の滝水は上に吹き上がる カマドの心は上がったり下がったり揺れている
語句・ひじみじ 滝の水。「滝」は「だち」だが、「ひじ」(または「ふぃじ」)は「髭」(ひげ)の事。滝の流れる水が「ヒゲ」のようだからそう呼ばれるのか。・かまどぅ女性の名前。伝承に「阿嘉村のカラント屋のカマドゥ」という女性がいて、番所の役人や村の青年の二人のあいだで心が揺れていたことを唄にしたものといわれている。・うぃんかい 上に。この滝の水は落下するまでに風にあおられて、下から上に吹き上げる現象がみられることから。
 

二、阿嘉黒石波や打ち重びかさび からんととぅ謝名堂御衣ぬ重び
あかぐるしなみやうちかさびかさび からんととぅじゃなどーうしゅぬかさび
'akagurushi nami ya 'uchikasabikasabi karantoo tu jahanadoo 'ushu nu kasabi
阿嘉の黒石波は幾重にも重なっているように からんと(カマド小)と謝名堂(地名)のお着物は重なっている(愛し合っている)
語句・からんと カマド小の屋号。・じゃなどー伝承では一人の青年をあらわす場合と番所の役人の出身地をあらわす場合がある。・うしゅぬかさび 直訳すれば「お着物が重なって」。お互いに愛し合っているという表現。


三、クフィン小ぬう酒 ゆらてぃ呑みなりてぃ 明日や面影ぬ立ちゅとみば
くふぃんぐゎぬうさき ゆらてぃぬみなりてぃ あちゃやうむかじぬたちゅとぅみば
kuhwiN gwa nu 'usaki yurati numinariti 'acha ya 'umukaji nu tachu tumiba
こんな少ないお酒でも寄り合って呑む習いであって 明日は面影がたつと思うから
語句・くふぃんぐゎ 少ない。<くー 少ない+ふぃん くらい。+ぐゎー 強意。ほんの。・とぅみば と思うから。と思うと。<とぅ と。+ うみば→短縮 みば。

歌詞は「島うた紀行」」(仲宗根幸市著)を参考。

久米島民謡。

本島では「久米阿嘉節」と呼ばれることが多いが、地元では「阿嘉から節」「阿嘉ぬ髭小(ひじぐゎ)節」と呼ばれる。

久米島の阿嘉部落に伝わる伝承ではカラント屋(屋号)のカマドゥ小という娘に青年達が言い寄るが、彼女は二人の男性との恋に心が揺れていたという話である。

「島うた紀行」(仲宗根幸市著)によるといくつかの伝承がある。

1、二人の男性とは、間切番所の書記をしている役人。もう一人は謝名堂部落の青年。
2、番所の役人(謝名堂出身)にカマドゥと別の女性カマーが惚れて、カマドゥ小は病気になり医者やユタも効果がなかった。
3、カマドゥにはいい名づけの青年がいたが、謝名という役人につれられて首里へ一方男性は自害した。

3番は汀間とぅ節とそっくりの設定。


ちなみに三番は「島うた紀行」には以下の歌詞になっている。

クフィン小ぬう酒 わらてぃ呑みならてぃ まさてぃ面影ぬたちゅらとぅみば
少ないお酒も笑って呑みのが習いで 強く面影がたつだろうと思うから

音源は徳原清文氏のCD「琉球民謡 徳原清文の世界」にある。
久米阿嘉節
囃子言葉と、その入れ方で若干違いがある。

「ユイサーユイ」を入れずに、最後に「ウネスーリ」を一回入れる。

2012年10月28日に久米島を訪れた。

そこで見た阿嘉のひじ水と、歌碑。
久米阿嘉節

▼ひじ水。
久米阿嘉節

昔は大量の水が落ち、北風にあおられて下までは落ちなかったと乗ったタクシーの運転手さんに教えられた。



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Posted by たる一 at 11:49│Comments(0)か行
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