2007年09月02日

宮古根~ハンタ原 (普久原朝喜)

(宮古根)

一、(女) 三線小むぬいいなちしみてぃ(ひゃ)傍に居る里や唄や知らに
さんしんぐゎー むぬいいなち しみてぃ(ひゃ) すばに うる さとぅや うたやしらに
saNshiNgwa munu 'iinachi shimiti (hyaa) suba ni uru satu ya 'uta ya shirani
○三線というものはものを言いながら泣くように響かせて 近くに居る貴方は唄は知らないの?
語句・むぬいいなち 「ものを言いながら泣くこと。泣きながら言うこと。」【沖縄語辞典】(以下【沖辞】と略す。)。・しみてぃ。させて。<しみゆん。させる。



二、(男) (さー)唄んすらアバ小 しんじんとあびり(ひゃー)なかちらす唄や聴ちんならん
(さー)うたんすら'あばーぐゎー しんじんとぅあびり (ひゃー) なかちらすうたやちちんならん
'utaN suraba 'abagwa shiNjiN tu 'abiri nakachirasu 'uta ya chichiN naraN
○唄も唄うなら 姉さん しみじみと歌え 中を切る唄は聴けない 
語句・あばーぐゎー 「姉。ねえさん」【沖辞】。・しんじんとぅ 「しとやかにしているさま。静粛に控えているさま。しみじみとの転意か」【沖辞】。 ・なかちらす 中を切らす。途中で息を切ることだろうか。



(ハンタ原)

一、(すりさー)ハンタ原 居とてぃ吹ち降るす(すーりー)風に(ひゃ)伝い持た(ありひゃぐわ ありひゃぐわ)ちゃしが 届け居たみ(けーゆいゆい けゆいゆい)
(すりさー)はんたばる うとてぃ ふち'うるすかじに'いやいむたちゃしが とぅどぅけうたみ
surisaa haNtabaru utooti huchi'urusu suri kaji ni hyaa 'iyai muta 'ari hyaa gwaa 'ari hyaa gwaa chashiga tudukeutami keeyuiyui chii yuiyui
○ハンタ原で吹き降ろす風に伝言を持たせたが 届いて居たか?
語句・はんたばる 崖のうえにある原っぱ。「はんた」は端っこ。崖の淵。昔モーアシビが行われた場所。



二、月見ればさやか 年読めば17今咲かん花ぬな何時咲ちゅが
ちちみりばさやか とぅしゆみば じゅうしち なまさかん はなぬな'いちさちゅが
chichi miriba sayaka tushi yumiba jyushichi nama sakaN hana nu na 'ichisachuga
○月(を)見るとさやか 年数えると17才 今咲かない花がもう何時咲くのか?
語句・さやか はっきりしているさま。 ・ゆみば(歳を)数えれば。<ゆぬん。数える。(参考)「てぃんさぐぬ花」。



三、三線小や三丁アバ小が五人 遊ぶたる毛小に思い残ち
さんしんぐゎーやさんちょー'あばぐゎーがぐにん 'あしぶたるもーぐゎーに'うむいぬくち
saNshiNgwa ya saNcho 'abagwa ga guniN 'ashibutaru mogwa ni 'umui nukuchi
○三線は三丁 姉さんが五人 遊んだ野原(毛遊び)に思い残して



四、七、八居とて 持ちゅる夫やしが タンメー頼るがきて今ど持ちゅんで
しちはちうとてぃ むちゅるうとぅやしが たんめたるがきてぃなまどぅむちゅんで
shichihachi utoti muchuru utu yashiga taNme tarugakiti nama du muchuN dee
○(10歳と)7、8で持つ夫だけど おじいさん あてにして今持つなんて
語句・・たるがきてぃ あてにして <たるがきゆん 頼みにする あてにする ・むちゅんで 持つとは。 持つなんて。<むちゅん 持つ + で=でー di + ya ・・とは 文末では、予想外の結果、嘆くニュアンス。


けっけれぐゎー うっとぅばち そーみなぐゎー かっちかでぃ おーぬやま ふぃぐどぅやる
けっけれぐゎー うっとぅばち そーみなぐゎー かっちかでぃ おーぬやま ふぃぐどぅやる
kekkeregwa 'uttubachi soominagwa kacchikadi 'oonuyama hwigu du yaru
○スミレをすっ飛ばし メジロひっつかんで 奥武山のヘゴである
語句・けっけれぐゎー スミレ。 または隠語として「女性の外陰部の小さな突起の意」(「琉球列島植物方言集」 天野鉄夫著)。・うっとぅばち すっ飛ばし <うっとぅばしゅん すっ飛ばす。 ・そーみなぐゎー メジロ。(ちゃん) <そーみな メジロ。 ・かっちかでぃ ひっつかんで <かっちかぬん 引っつかむ ・おーぬやま 奥武山。 那覇市にある、現在公園になっている。 ・ふぃぐ ヘゴ シダ科の植物で、大きいものは数メートルになる。


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Posted by たる一 at 08:40│Comments(6)な行
この記事へのコメント
ハンタ原の
けっけれぐゎ〜は
ちょっと違う意味なんです。『けっけれぐゎ』だけなら『のどぼとけ』の意味ですが
ここでは夜の営みの話しです。
これこそ歌えたら
ベテランではないでしょうか
Posted by ななし at 2007年09月13日 17:37
ななしさん そうですね・・・ここでは言えない言葉ですねっ

たるーさんにその説明をしてたところです。
ブログのコメントにはのせられないと・・・(*_*)
Posted by MAGIMAGI at 2007年09月14日 14:07
ななしさん
ありがとうございます。

そうですか。
夜の営み。
のどぼとけ、が何かをあらわしているということですね。

そうするとMAGIさんから教えてもらったことが、納得。

ところで、
林昌さんがよく使う

スンチナビゲー スクミドゥミーユル スクヨー スク シチャ ウヤギリ

は、逆に男性の・・ 元気ない様子なのでしょうかねえ(笑)

こんな歌は昼間っからは歌えませんなあ。はは。
Posted by 関洋(たるー) at 2007年09月14日 18:52
MAGIさん
あの説明の信憑性がでてきたねえ。

ケッケレグヮ、 のどぼとけ ってよくつかうのかな?
辞書にはまったくでてこないけど。
Posted by 関洋(たるー) at 2007年09月14日 18:56
他の曲でも聞いたような気がします。

そりゃ~~辞書にでない言葉でしょうね・・・・
辞書では表せない言葉があるのがうちな~民謡に歌って
いる言葉でもあるんじゃないかな・・・
Posted by MAGI at 2007年09月19日 11:52
MAGIさん
そうでしょうねえ。

でも。。。
辞書も、あなどれないんだよ。
けっこうな、昔の言葉ものっている。
いまどきの人が知らないような(たぶん)。

いい勉強になりました。
Posted by 関洋(せきひろし)関洋(せきひろし) at 2007年09月23日 15:23
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