2007年01月27日

宮古根3

宮古根
なーくにー

(唄三線 松田末吉 CD「ホテルハイビスカス」より  )


一 花に山嵐 月の夜に霞 かかる連りなさど浮世さらめ
はなにやま'あらし ちちぬゆーにかしみ かかるちりなさどぅ'うちゆさらみ
hana ni yama 'arashi chichi nu yuu ni kashimi kakaru chirinasa du 'uchiyu sarami
花に山嵐(が吹き) 月の夜に霞(かすみ)(がかかる)このようなつれなさこそ浮世であるぞ


二 義理と思て恋路忘しらりてから のよでふみ迷て浮名立つが
じりとぅむてぃくいじ わしらりてぃから ぬゆでぃふみまゆてぃ 'うちなたちゅが
jiri tumuti kuji washiraritikara nuyudi humimayuti 'uchinatachuga
義理と思って恋路を忘れて(しまって)から どうして踏み迷って浮名(うわさ)が立つのか


三 義理てしや何時も忍ばらんあもの 夢に我辛さ知らちあしが
じりてぃしや'いちん しぬばらん'あむぬ 'いみにわがちらさしらち'あしが
jiritishi ya 'ichiN shinubaraN 'amunu 'imi ni waga chirasa shirachi 'ashiga
義理というものはいつも忍ぶことができないものだ  夢に私の辛さを知らせたのだが


四 馴れし面影や旅までも連れて一人照る月にわんね向かて泣ちゅが
なりし'うむかじやたびまでぃんちりてぃ ふぃちゅいてぃるちちにわんね んかてぃなちゅが
narishi 'umukaji ya tabimadiN chiriti hwichui tiru chichi ni waNne Nkati nachu ga
馴染んだ(あなたの)面影を旅までも連れて 一人照る月に私は向かって泣くのか


五 月や昔から変わるごとねさみ 変わていくものや人の心
ちちやんかしからかわるぐとぅねさみ かわてぃ'いくむぬや ふぃとぅぬくくる
chichi ya Nkashi kara kawaru gutu nesami kawati 'iku munu ya hwitu nu kukuru
月は昔から変わることはないだろう? 変わっていくものは人の心

解説
(語句)

・かかる このような
・さらみ であるぞ

・じり 義理 道義 道理
・ぬゆでぃ なんで どうして
・うきな うわさ
国語辞典によると 浮き名とは
①男女間の恋愛 情事のうわさ
②根も葉もないうわさ 悪い評判 とある。

・てぃしや というものは
・しぬばらん 忍ばれない 耐えられない
<しぬぶん 忍ぶ 耐える 人目を避けて会いにいく
・あむぬ というものだ


・なりし 馴染んだ
<なりゆん 慣れる なじむ 親密になる
・うむかじや 面影を
「や」は、「は」だけでなく「を」の意味もあることに注意。
・が
自問の疑問。

・ねさみ ないだろう?
「ないだろう?」「ない」という意味まで含む。

(コメント)
宮古根の歌詞も無数にありキリはない。しかしやはり心に残る歌詞というものがある。
映画「ホテルハイビスカス」で、バスの運転手の役ででていた松田末吉の唄。
人生の無常観をよくあらわした宮古根。
五番はよく林昌が歌う。

花が咲けば、それを吹き飛ばすように嵐が吹き、美しい満月の時には霞がかかる。このような思い通りにならないことこそが世の中なのだ。
恋をあきらめて、そのあとに立つ噂。なんと無情な世間。
自分の思いが我慢できずに相手の夢にまで想いを伝えようとする。
その面影まで抱いて旅をし月に向かって一人泣く。。
月は昔から変わらないが変わっていく人の心。

以上意訳。

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Posted by たる一 at 09:16│Comments(0)な行
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