2006年05月27日

月眺み節

月眺み節
ちちながみぶし
chichi nagami bushi
月眺め


作詞 冨着よし
作曲 普久原恒勇



1、(女)照り美らさあむぬ うし連りら里前 水釜の浜や月見所
てぃりじゅらさ'あむぬ 'うしちりらさとぅめ みじがまぬはまやちちみどぅくる
tirijurasa 'amunu 'ushichirira satume mijigama nu hama ya chichi midukuru
月が照り美しいから 一緒に連れていくかしら 貴方は 水釜の浜は月を見る所よ


かなしヨイヨイヨイ(ハヤシ (以下略)



2、(男)月やあまくまに眺みてる見ちゃる ぬすがいたづらに浜に下りる
ちちや'あまくまにながみてぃるんんちゃる ぬすが'いたじらにはまに'うりる
chichi ya 'amakuma ni nagami tiru Nncharu nusuga 'itajirani hama ni 'uriru
月はあちこちから眺めてみるものだ 何をするか無駄に浜に下りたりして



3、(女)情けてし知らぬ月眺め知らぬ 明日からぬ明後日我んね知らぬ
なさきてぃししらん ちちながみしらん 'あちゃからぬ'あさてぃ わんねしらん
nasaki tishi siraN chichi nagami siraN 'acha karanu 'asati waNnesiraN
情けというものを知らない 月を眺めることを知らない 三日後を私は知らない(私は何もしらない)



4、(男)水釜の月も照る月や一つ 草花のなびく森に行かな 
みじがみぬちちんてぃるちちやふぃとぅち くさばなぬなびくむいに'いかな
mijigami nu chichiN titu chichi ya hwituchi kusabana nu nabiku mui ni 'ikana
水釜の月も照る月も一つ 草花のなびく丘に行きたいな



5、(男女)森登て来れば照り美らさ勝て此処居とて互げに語れあしば
むいぬぶてぃちゃりば てぃりじゅらさまさてぃ くま'うとぅてぃたげにかたれ'あしば
mui nubuti chariba tirijurasa masati kuma 'ututi katare 'ashiba
丘に登って来たので照り美しさは強くなって ここに居て互いに語り遊ぼう




解説
(語句)

あむぬ あるのに 
①あるものを ②あるのに ③あるので
みじがま現在は嘉手納町にある浜辺。比謝川の河口南側。


あまくま あちこち
ながみてぃる んんちゃる 眺めてこそ見るもの
<ながみゆん(眺める)+どぅ(強調の係助詞)+んんずん(見る)の連体形
係り結びの法則


あちゃからぬあさてぃ 三日後
<あちゃー(明日)+からぬ(からの)+あさてぃ(明後日)
つまり 明日(一日後)の明後日(二日後)=三日後

ちなみに 「しあさって」は あさてぃんなーちゃ'asatiN naaca
=明後日の翌日


・むい 盛り上がったところ 森、杜という文字を当てる。山、丘。
山は「林」。
タキ(ダキ)は拝所のあることろをいう。(小浜節


(コメント)
作詞 冨着よし
作曲 普久原 恒勇

男女のコンビ歌であるが、女性だけのグループが歌っていたのを聞いた。

女性が浜に下りて月を眺めたいという。男性が浜に下りてどうするかと。
女性は「情けも知らない、月を眺めることも知らない、三日後も知らない」という。これは不満を言ったものか。すると男性は「むい」に行こうという。浜よりも丘(むい)に誘う。
そして二人で丘で月を眺める、というのである。

「ぬすがいたずらに浜におりる
「浜下り」(はまうり)というのは沖縄では神聖な行事である。
旧暦の3月3日「厄払い」のために女性が浜に下りるという行事が昔からある。
「白砂」を踏むということが「厄払い」になるという伝説もあるが、「浜」自体が神聖な場所で、家に鳥が飛び込んできたら「不幸の予兆である」として浜で清める。現在では、旧暦3月3日は家族で潮干狩りをやるという形に変わっている。

そういえば「小浜節」で、小浜島は「大岳を後に、白浜を前にしている」ので「果報の島」であるという。

最初どうしてか、よくわからなかったが、この「浜=神聖な場所」「ダキ=神聖な山」という意味が含まれているのではないだろう。

そう考えると、男性の発言も少し意味が分かる。

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Posted by たる一 at 11:06│Comments(0)た行沖縄本島
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