たるーの島唄まじめな研究

スーシスーサー
suushi suusaa
語句・すーし 「レコードの印刷時の校正ミス」という説もある。曲名は「スーサースーサー」だったそうだ。「ヒヨドリ」の事を首里語では「ヒューシ」という。他に「ヒューサー、スーサー」ということもある。「スーシ」という呼び名があると言う方もいる。真実は不詳。・スーサー ヒヨドリ。首里では「ヒューシ」。



一、友小んまじゅん でぃちゃあがたぬヨーゲー木小けー登てシークワーサー小けーむやいだてーん持ち行かやー
どぅしぐわん まじゅんでぃちゃ'あがたぬよーげーぎーぐわ けーぬぶてぃ しーくわーさーぐわーけーむやい だてーんむっち'いかやー
dushigwaaN majuN dicha 'agatanu yoogeegiigwaa kee nubuti shiikuwaasaagwaa kee muyai dateeN mucchi 'ika yaa
○友達も一緒に　さあ　あちらの曲がった木にちょっと登ってシークワーサーをちょっともいで たくさん持って行こうね

わったーアンマーやシークワーサーいっぺーうむっさすんどーや でぃちゃでぃちゃだてーん持てくーやー
わったー'あんまーやしーくわーさー'いっぺー'うむっさすんどーや でぃちゃでぃちゃだてーんむてぃくーやー
wattaa 'aNmaa ya shiikuwaasaa 'ippee 'umussa suNdoo yaa dicha dicha dateeN mutikuu yaa
○ウチの母さんはシークワーサーとっても［面白くする］喜ぶよー さあ さあ たくさん持って来い（来よう）よ
語句・まじゅん　一緒に。・あがたあちら。・でぃちゃ　さあ。　人を誘うときなどに使う　でぃちゃ！いか！「さあ行こう！」・けー　ちょっと。　参考　赤山・むやいもいで。＜むゆん。　もぐ。　いちゅび小節・だてーん　たくさん。


二、わったーアンマーが聞かすたしが菜の花咲きば正月どんでぃ言ゆたん　たでーまけーさちょーさ菜の花摘みて遊ばやー　
わったー'あんまーがちかすたしがなーぬはなさきばしょーぐわちどーんでぃ'いゆたん　たでーまけーさちょーさなーぬはなちみてぃ'あしばやー
wattaa 'aNmaa ga chikasutashiga naanuhana sakiba shoogwachi dooNdi 'iyutaN tadeema kee sachoosa naanuhana chimiti 'ashiba yaa
○ウチの母さんが聞かせたが　菜の花咲いたら正月だと言った　たった今ちょっと咲いているさ　菜の花摘んで遊ぼうね

あがたの畑にんまんどーせー誰がだてーん摘みゆがや
'あがたぬはるにん　まんどーせー　たーがだてーんちみゆがや
'agata nu haru niN maNdoosee taa ga dateeN chimiyu ga yaa
○あっちの畑にもたくさんさ　誰がたくさん摘むかしらねえ
語句・わったーうちの家の。　ウチの。「わったー」は「わん」（私の）の複数形だが、意味は複数形の「わたしたち」だけでなく「私の家の」という単数の意味がある。ここでは「ウチの家の母さん」という意味で単数である。四番には「わったーわらばー」というところで複数がでてくる。・うむっさすん面白い。→喜ぶ　と訳した。＜うむっさん。面白い。＋　すん。する。・くー①来い。（命令形）②こよう。ここではどちらでも意味が通るが、「来ようよ」としたほうが良い。・まんどーん　たくさん。


三、月橘の実食わてゆんたくするすーさー小やうかさどある　汝や友小んうらん　胴一人あびとーるい　
ぎっちちゃぬないくぁてぃ　ゆんたくする　すーさーぐわーや'うかさどぅ'ある　'やーやどぅしぐわーん'うらん　どぅーちゅい'あびとーるい
gichicha nu nai kwati yuNtakusuru suusaagwaa ya 'ukasa du 'aru 'yaa ya dushigwaa 'uraN duuchui 'abitoorui
○月橘の実食べておしゃべりするひよどりちゃんはおかしいぞ　お前は友達もいない（で）一人で騒いでいるのか？

汝やいくちなゆがひー　わったーや七ちやんどーやー　ゆんたくすなよーすーさーぐわー
'やー'いくちなゆがひー　わったーやななちやんどーやー　ゆんたくすなよーすーさーぐわー
'yaa ya 'ikuchi nayuga hii wattaa ya nanachi yaNdoo yaa yuNtaku sunayoo suusaa gwaa
○お前は幾つになるかね？ウチは七つなんだよー　おしゃべりするなよひよどりちゃん
語句・ぎちちゃ＜ぎきじ　月橘　「潅木の名　生け垣にする。材は黄色で堅く印材、版木、櫛、かんざしにする」沖縄語辞典（国立国語研究所編）】胤森さんによると　ぎきちゃー　は与那、国頭地方の方言だとか。・うかさどぅある　おかしいことこそある→おかしいぞ！。・あびゆんわめく。騒ぐ。叫ぶ。


四、わったー童ー朝ないね　あわてて学校かい行ちゅさ　猫小や家篭いうぇんちゅ取りよーや　
わったーわらばー　'あさないねー　'あわてぃてぃ[学校]かい'いちゅさ　まやーぐわーや　やーぐまい　'うぇんちゅ　とりよーやー
wattaa warabaa 'asa nainee 'awatiti [学校]kai 'ichusa mayaagwaa ya yaa gumai 'weNchu turi yooyaa
○私達こどもは朝になると　あわてて学校に行くよ　猫ちゃんは家にこもってネズミを取っているよ

あちガマ前なちにーぶいしち　汝や迷惑やるはじどー　目んぱちぱち起きとりよー
'あちがまめーなち　にーぶいしち　'やーやみーわくやるはじどー　みーんぱちぱち'うきとーりよー
'achigama meenachi niibuisichi 'yaa ya miiwaku yaru hajidoo miiNpachipachi 'ukitooriyoo
○熱い釜の前に居て　こっくりして　お前は迷惑なはずだぞ　目もパチパチして起きていないさいよ！
語句・ねーには。時は。＜に＋や。・やーぐまい　家にこもって。やー（家）＋くまい＜くまゆん。篭る。

（コメント）
童歌で、なんともほのぼのとした子どもの様子。
「ウーマクカマデー」とよく似た感じがある。
菜の花を摘んだり、木に登ったり、ノスタルジーにふけるわけではないが、昔の子どもの遊びはもう失われていると感じる。

途中近所の人とのやりとりではおもわず顔がゆるむ。ゆんたくをおしゃべりと訳したが　寄り道して一人でおしゃべりしているという情景も面白い。最近の子どもではあまりみかけない。子どもも安心して遊べない状況もある。


▲スーサー。那覇の沖縄県立図書館で筆者撮影。2016年。