2013年12月30日

二見情話 2

二見情話
ふたみじょーわ
hutami joowa

(「歌詞集 沖縄のうた」有限会社キャンパス より)
これには「二見情話(本歌)」とある。


一、(男)二見美童や だんじゅ肝美らさ 海や山川ぬ眺み美らさヨ
ふたみみやらびや だんじゅちむぢゅらさ うみややまかわぬながみぢゅらさよ
hutami miyarabi ya danju chimu jurasa ’umi ya yamakawa nu nagami jurasa yoo
二見の娘は断然心が美しい(同様に) 海や山川の眺めは美しい
語句・だんじゅ 断然、絶対。・ちむじゅらさ 心の美しさ。「ちゅらさ」は「きよらかさ」から来ている。


二、(女)二見嫁までぃや ないぶさやあしが 辺野古崎坂ぬ 上い下いヨ
ふたみゆみまでぃや ないぶさやあしが ひ(ふぃ)ぬくざちひ(ふぃ)らぬ ぬぶいくだいよ
hutami yumi madi ya naibusa ya 'ashiga h(w)inukuzachi h(w)ira nu nubui kudai yoo
二見の嫁まではなりたいけれど 辺野古崎の坂は上り下り(がとてもきつい)
語句・ないぶさ <ないぶしゃん。ないぶさん。 なりたい。・あしが ・・だけれども。


三、(男)行逢たしや辺野古 (女)語たしや 東喜 (男)想てぃ通たしや 花ぬ二見ヨ
いちゃたしやひ(ふぃ)ぬく かたたしや とーき うむてぃかゆたしや はなぬふたみよ
'ichatashi ya h(w)inuku katatashi ya tooki 'umuti kayutashi ya hana nu hutami yoo
出会ったのは辺野古 語ったのは東喜 愛して通ったのは華やかな二見
語句・いちゃたしや <いちゃゆん 出会う。 →いちゃた 出会った。+ し ・・の。+や は。 出会った場所は。・とーき 地名であろうか。不明。・はな 植物の花にたとえて、華やかな、という意味でよく使われる。琉歌では「遊郭のあった場所」という意味もある。


四、(女)行ぢちゃびら言りば 行ぢ来よい何時か ぬがし云言葉に 御縁かきがヨ
んぢちゃびらいりば んぢくよい いちか ぬがしいくとぅばに ぐゐんかきがよ
'Njichaabira 'Njikuuyooi 'ichika nugashi 'ikutuba ni guiN kaki ga yoo
行ってきますね と言えば 行って戻ってきなさいよ いつか いかに言葉に御縁をかけるのか(戻ってきてくれるように)
語句・んぢちゃびら <んじ 出る。+ちゃびら<ちゃーびら 来ましょう。行きましょうね→行きますね。自分の意思。・んじくーよーい <出て+くーよーい 来なさいね。→行って戻ってきなさいね。命令形。・ぬがし どうやって。どうして。 ・ぐゐんかきが 御縁(を結ぶ願い)を掛けるのか。疑問形。


五、(男)待ちかにてぃ居たる首里上いやしが ちわみとる朝ぬ 別りぐりさヨ
まちかにてぃうたる す(しゅ)いぬぶいやしが ちわみとるあさぬ わかりぐりさよ
machikaniti utaru s(h)ui nubui yashiga chiwamitooru 'asa nu wakarigurisa yoo
まちかねていた首里への帰還だが (出発が)決まっている日の朝は 別れ苦しいものだ
語句・まちかにてぃ まちかねて。 ・ちわみとーる <ちわみゆん 決める。→きまっている。 ・ぐりさ <ぐりさん ・・し難い。形容詞。


六、(女)節なりば忘る 戦場ぬ夢よ (男)忘してぃ忘らりみ 花ぬ二見ヨ
しちなりばわしる いくさばぬいみよ わしてぃわしらりみ はなぬふたみよ
shichi nariba washiru 'ikusaba nu 'imi yoo washiti washirarimi hana nu hutami yoo
時期がくれば忘れる戦場の夢よ (でも)忘れても忘れられないのは 華やかな二見だ
語句・しち 「季節」「二十四節気」などとも訳すが、ここでは時期とした。


すでにとりあげた二見情話であるが、気になる歌詞を見つけた。

有限会社キャンパスが発売している「歌詞集 沖縄のうた」にある。

「二見情話(本歌)」とある。

歌詞がいくつか、我々が知っている二見情話とは違っている。

歌っているのは國吉真勇さんと石原映美子さん。


沖縄県知事が2014年12月27日辺野古への米軍基地建設に繋がる辺野古埋め立て承認をした。
この歌にもでてくる辺野古崎は、新しい軍事基地が作られようとしているところ。

この歌にものこされた美しい辺野古、二見の海と人々の暮らしがどれだけ破壊され、二度ととりもどせないことになるのか。






仲井真県知事は、もう一度この歌の持つ意味を感じてもらいたい。
私は絶対に辺野古への基地建設に反対する。


美しい世界にも稀なジュゴンがやってくる辺野古の海。

(二枚の写真は「沖縄片思い日記」からお借りしました)


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二見情話 2

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Posted by たる一 at 10:50│Comments(3)は行沖縄本島
この記事へのコメント
こんにちわ 関洋さん
今日ははじめてブログを見て、大変感銘しています。ブログ歴も長いですね。
「二見情話」に関しては、名護の二見にある「碑」の詩は5番までで、デュエット曲ではありません。それが元歌と思っていましたが違うのでしょうか。
関さんの曲の紹介は400曲近くになりますが、それだけ弾けるのでしょうか。
私は将来(2,3年後)三線奏者・三線づくりの「三線塾」を開きたいと思っています。私も、関さんのブログを参考にして、三線文化の発信をしてゆきたいと思います。これからも頑張ってください。
Posted by 英光三線英光三線 at 2014年02月16日 10:52
英光三線さん、コメントありがとうございます。
400曲を超えました。
自分で弾くのが目的でやっているブログなので大概は弾きますが、弾いたこともない曲も中にはあります。
どうぞ目標に向かって頑張ってください。
Posted by たる一たる一 at 2014年03月21日 11:30
はじめまして。奈良県に住む三味線弾きです。
三線は趣味で習っていますが沖縄の民謡は節も言葉も難しいですね。時々関様のブログで勉強させていただいております。
二見情話の哀愁を帯びた旋律に惹かれてブログを拝見いたしましたところ、辺野古を唄っているということを知りました。
私も道理のない辺野古への基地移設には反対です。
このところのきな臭い動きに危機感を感じる1人として、今月末に行う私の小さなライブの三線コーナーでこの曲を演奏
しようと思っています。あと、島唄とヒヤミカチ節、計3曲。音楽を楽しめるのも平和であってこそですね。
たくさんある沖縄の民謡も少しずつ覚えていきたいなと思っておりますのでこれからもよろしくお願いいたします。
Posted by 帰山かおる at 2015年07月06日 22:38
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