2008年12月29日

スンサーミ

スンサーミ
すんさーみ
suNsaami


一、今年作たる米や いちゆかんゆかてぃ スンサーミスンサーミ ユイユイ 蔵に積んあまち 真積真積さびら
くとぅしちゅくたるめーや 'いちゆかん ゆかてぃ (略) くらにちん'あまち まじんまじんさびら
kutushi chukutaru mee ya 'ichi yukaN yukati kura ni chiN 'amachi majiN majiN sabira
今年作った米は どのときよりも よく稔り 蔵に積み余らせ(たものは)積み上げておきましょう
語句・いちゆかん <いち 何時。 +ゆか より。+ん 強調。 どの時よりも。 ・ゆかてぃ <ゆかゆん 「おい茂る。繁茂する。また(作物が)よくできる。よくみのる。Nni nu yukatooN 稲がよくみのっている。」(沖) ・まじん 真積み。「NnimajiNと同じ」「いなむら。農家の庭先に稲を積み上げたもの。単にmajiNともいう」(沖)。「稲しり節」参照。



二、北ぬ風吹きわ 南ぬ畦枕 スンサーミスンサーミ ユイユイ 南ぬ風吹きわ 北ぬ畦枕 アッチリコージャー ンナフニ ユカラナ
にしぬかじふきわ ふぇーぬ'あぶしまくら (略) ふぇーぬかじふきわ にしぬ'あぶしまくら (略)
nishi nu kaji hukiwa hwee nu 'abushi makura hwee nu kaji hukiwa nishi nu 'abushi makura
北の風が吹けば南の畦(あぜ)を枕(にして) 南の風が吹けば北の畦を枕
語句・にし 北。・あぶしまくら 畦(を)枕にしたように、稲がよく稔り、穂をたれている様子。豊作の表現。・ふぇー 南。「へー」ともいう。ちなみに東は「'agari あがり」、西は「'iri いり」。



三、明日ら改みてぃんど でぃちゃよーびんじきこーいが スンサーミスンサーミ ユイユイ あねるびんじきぬすが 亀甲ぬじーふぁーや アッチリコージャー ンナフニ ユカラナ
'あちゃら'あらたみてぃんど でぃちゃよ びんじき こーいが (略) 'あねる びんじき ぬすが かーみなくーぬじーふぁーや (略)
'acchara 'aratamitiN doo dicha yo biNjiki kooi ga 'aneru biNjiki nu su ga kaaminakuu nu jiihwaa ya
明日は改めるぞ さあ鬢附(を)買いにいこう あのうような鬢附 どうするか? べっ甲のかんざしが
語句・あらたみてぃん <あらたみゆん 改める。調べる。検査する。 ・かーみなくー 亀甲。べっ甲。

(歌詞参照 「島うた紀行」)

「永良部シュンサーミ」に続いて「スンサーミ」。
沖縄本島中部に伝わる歌だ。
歌詞を参照した「島うた紀行」によると
「別名『作たぬ米』ともいう。稲作豊年感謝の儀礼歌」。


面白いのは、この3番に突然、「鬢附」(びんじき)が出ていて、
前回の「シュンサーミ」の5番、

「明日や首里かい行めしが 何やか欲しゃ物や 匂い鬢附 チョウ箱 かみどぅく とぅん櫛 とぅん櫛」

と歌詞が似通っている。

本島の「スンサーミ」と「永良部シュンサーミ」が同系列の歌であることは一目瞭然だが
歌のはじめは、豊年を祈念し、後半は「欲しいもの」「買いたいもの」になるという流れは面白い。
それも女性の欲しいものなのだ。

話はそれるが、そういえば、「伊計離節」でも同じ展開があった。

4、平安座美童の欲しゃむぬや何がやが
5、押し竹とひや竹 敷き板と巻板 めぐさ
6、めぐさ取てぬしゅが 布ど巻ちゅる

次回は、本島の民謡で歌われる「スンサーミ」。



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Posted by たる一 at 06:35│Comments(10)さ行
この記事へのコメント
私の部落行事ではスンサーミーを婦人会が踊ります。(我如古区)

確か無形文化財と聞いてますが、正しいでしょうか?調べてみます。

嬉しいですね~スンサーミーを取り上げていただき有難うございます。

愛郷心って大事ですよね!
Posted by CMてびち at 2008年12月29日 09:12
CMてびちさん
コメントありがとうございます。

我如古のスンサーミというのは有名なのですよね。
でも無形文化財であるかどうか、私は知りません。

この歌詞は西原町の我謝に伝わるものをとりあげているようです。
沖縄各地にもあるようですね。

ことしもよろしくおねがいします。
Posted by たるー at 2009年01月03日 22:48
有名な我如古のスンサーミあります。
Posted by yokokara at 2009年01月04日 20:03
これです
Posted by yokokara at 2009年01月04日 20:04
yokokaraさん

ありがとうございます。 拝見させていただきました。
スンサーミ以外の二曲もおさめられていて貴重な動画でした。
地謡のかたのお声もよかった〜

情報ありがとうございました!
Posted by たるー(せきひろし) at 2009年01月05日 12:50
永良部では「作田米」として歌われています。

シュンサーミ、シュンサーミ
1.くぅとぅし(今年) つくたぬめー(作たぬ米)や しいし玉ぬ ないしゅさ
(ヤイスリ しいし玉ぬ ないしゅさ ササ)

2.真南ぬ風 吹きや 真南ぬ 畦枕

3以降続く

というふうに歌われています。
Posted by 池田 真 at 2009年10月08日 14:02
永良部では「作田米」として歌われています。

シュンサーミ、シュンサーミ
1.くぅとぅし(今年) つくたぬめー(作たぬ米)や しいし玉ぬ ないしゅさ
(ヤイスリ しいし玉ぬ ないしゅさ ササ)

2.真南ぬ風 吹きや 真南ぬ 畦枕

3以降続く

というふうに歌われています。
Posted by 池田 真 at 2009年10月08日 14:02
池田真さん

コメント、情報ありがとうございます。

この歌は、各地にあって、大切な歌として歌いつがれているのですね。

そのみなさんの思いを感じます。

これからも、情報をお寄せくださいね!
Posted by たるー(せきひろし)たるー(せきひろし) at 2009年10月10日 19:19
私が住む読谷村長浜にチクタルメ―という伝統芸能が今に伝わり継がれています。永良部の「作田米」と酷似しております。過去に那覇市の小禄か近くの伝統芸能でスンサーミーという踊りを見ましたがわが村の踊りと似ておりました。違いは我方は鎌を以って踊るのに対しあちらウズンビーラを持って踊りました。

我如古や西原、永良部にもあることを知りちょっとしたショックとやっぱりという気持ちが入り混じって複雑ですが更に知りたくなりました。
ある意味「たるーさん」に感謝です。
Posted by 当真嗣清 at 2011年10月20日 16:09
当真嗣清さん
コメントありがとうございます。

読谷村長浜のチクタルメーもぜひ見てみたいと思います。

そして、みなさんが各地に伝わるスンサーミ、作たる米、チクタルメーの情報を寄せてくださることに感謝しています。みなさんそれぞれ思い入れがおありなんですね。

やっぱり「唄」や「芸能」が旅をしては、その土地に根付いていることがすばらしいことだと思っています。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by たる一たる一 at 2011年10月23日 06:58
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