たるーの島唄まじめな研究

谷茶バヤシ
たんちゃ　ばやし
taNcha bayashi
（谷茶前の歌詞の発音等については「谷茶前」を参照）


一、ナンチャマシマシディアンガソイソイ　ディアンガソイソイ
谷茶前の浜に(よー)スルル小が寄ててんどー(ヘイ)　　スルル小が寄ててんどー(ヘイ)
○谷茶（の）前の浜に きびなごが集まっているぞー
語句・するるぐわ　きびなご


二、スルル小やあらん大和ミズンど やんてんどー
○きびなごではない 大和いわしというのだぞ
語句・みずん　奄美以南に分布するイワシ（琉）　「みじゅん」とも発音する。　・やんてぃんどー　というのだぞ　＜やん　・・である　＋　てぃん　・・という　（＜te ＋　juN）　＋どー　だぞ　

（ハヤシ）
谷茶浜かいサバニや着きとてぃ　今取てぃちぇーる魚揚ぎしーねー　谷茶美童うり頭かみやい　町小にいっさん殿地にハーエー
買ーんそうらに　魚買んそうれー
たんちゃはまかいさばにやちきとてぃ　なまとぅてぃちぇーる　'いゆ'あぎしーねー　たんちゃみやらび'うりちじかみやい　まちぐぁに'いっさんとぅんちにはーえー　こーんそーらに　'いゆこんそーれー
taNchahama kai sabani ya chikitoti nama tuticheru 'iyu 'agi siinee taNcha miyarabi 'uri chiji kamiyai machigwa ni 'issaN tuNchi ni haayee kooNsorani 'iyu kooNsooree
○谷茶浜にサバニ（くり舟）は着いていて　今取って来ている魚（を）あげている時には　谷茶（の）娘（は）それを頭に乗せて市場に一目散、殿地に駆け足　「買ってくださいませんか　魚買ってください！」
語句・かい　に　・とぅてぃちぇーる取ってきている　＜とぅてぃ（＜とぅゆん）　取って　＋ちぇーる　（ちゅん　来る）　きている

三、兄達や うり取いが あん小や かみてうり売いが
○兄さんたちはそれを採るために　姉さんたちは頭に乗せて売るために


四、うり売て戻いぬアン小が　匂いぬしゅらさ
'うり'うてぃもぅどぅいぬ　'あんぐわーが　にういぬしゅらさ
'uri 'uti mudui nu 'angwaa ga niwi nu shurasa
○それを売って戻った姉さんの　匂いのかわいらしさよ


（ハヤシ）
商ね出来らち　アヒ小行逢いが　やしがうぬまま魚かじゃそうてー　好かんさりゆさ　うっちゃんぎらりさ　匂いビンヂキ　そうてぃ行逢らね　買ーんそうらに　魚買んそうれー
'あちねでぃきらち　'あふぃぐわ'いちゃいが　やしが'うぬまま　'いゆかじゃそーてー　しかんさりゆさ　'うっちゃんぎらりさ　にうぃびんじき　そーてぃ'いちゃらね　こーんそーらに　'いゆこーんそーれー
'achinee　dikirachi 'ahwigwaa 'ichaiga yashiga 'unumama 'iyu kaja　sote shikaN sariyusa 'ucchaNgirarisa niwibiNjiki soti　'icharane kooNsoorani 'iyu kooNsooree
○商い成功して　兄さん（と）会いに行くために　だけど、そのまま魚臭いしていては　嫌われるよ　捨てられるよ　匂い鬢附をして　会うときには　(魚）買いませんか？魚買ってください！
語句・あちね　商い　・でぃきらち　成功して　ここでは「完売」というところか。・いちゃいが　行くために　「が」の用法に「連用形＋i 」に付く時「・・のために」となる。谷茶前「兄達や　うりとぅいが」（兄さんたちはそれを取りに）　・うっちゃんぎらりさ　捨てられる　＜うっちゃんぎゆん　うっちゃる　投げ捨てる　・びんじき　「頭髪用のねばり強い固形の油　ポマードのようなもの」（沖）　鬢附