2006年05月06日
別れの唄
別れの唄
わかりぬ'うた
wakari nu 'uta
一、名護の名護城願立てて拝んで 願のしたわしに糸の上から
なぐぬなんぐしく がんたてぃてぃうがでぃ がんぬしちゃわしに'いとぅぬ'ういから
nagu nu naNgushiku gaNtatiti wugadi gaN nu sichawashi ni 'itu nu 'ui kara
○名護の名護城 (航海の安全という)願を立てて拝み 願の通りに絹の上をすべるように(おだやかな航海の意)
二、だんじゅかりゆしやいらでぃさしみせる 船の綱取りば 風や真艫
だんじゅかりゆや'いらでぃさしみせる ふにぬちなとぅりば かじやまとぅむ
daNju kariyushi ya 'iradi sashimiseru funi nu china turiba kaji ya matumu
○いかにもめでたい吉日を選んでなさる 船の(帆の)綱を取れば風は順風
三、出くよや産子 出ちゃりばアンマ アンマくま居とて体う願
'んじくよーやなしぐわ 'んじちゃりば'あんまー 'あんまーくま'うとーてぃからだうがん
'Njikuyoo ya nashigwaa 'Njichariba 'aNmaa 'aNmaa kuma 'utooti karada 'ugaN
○行ってこいよ 私の子どもよ 行ってきます お母さん お母さんはここに居て健康を祈るよ
四、船乗らば産子 船床に乗ゆな ぶんぬ上に上て手巾招き
ふにぬらばなしぐわー ふにゆかにぬゆな ぶんぬ'ういにぬぶてぃてぃさじまにき
funi nuraba nashigwaa funiyuka ni nuyuna buN nu 'ui ni nubuti tisaji maniki
○船に乗ったら わが子よ 船底に乗るな 甲板の上に上がって手ぬぐいを振りなさい
五、夜走らす船や北の方星目当て 我ん産ちぇる親は我んど目当て
ゆるはらすふにやにぬふぁぶしみあてぃ わんなちぇる'うややわんどぅみあてぃ
yuru harasu funi ya ninuhwabushi miati waNnacheru 'uyaya waN du miati
○夜航海する船は北極星を目当てにし 私を生んだ親は私を見ていて
六、いりなちゃぐみやうない小の情け 夜走らす船の夜とぎそり
'いりなちゃぐみやうないぐわぬなさき ゆるはらすふにぬゆとぅぎそーり
'irinachagumi ya wunaigwa nu nasaki yuru harasu funi nu yutugisori
○炒ったおこし(お菓子)は姉(妹)の情け 夜航海する船での夜のなぐさめにしてください
わかりぬ'うた
wakari nu 'uta
一、名護の名護城願立てて拝んで 願のしたわしに糸の上から
なぐぬなんぐしく がんたてぃてぃうがでぃ がんぬしちゃわしに'いとぅぬ'ういから
nagu nu naNgushiku gaNtatiti wugadi gaN nu sichawashi ni 'itu nu 'ui kara
○名護の名護城 (航海の安全という)願を立てて拝み 願の通りに絹の上をすべるように(おだやかな航海の意)
二、だんじゅかりゆしやいらでぃさしみせる 船の綱取りば 風や真艫
だんじゅかりゆや'いらでぃさしみせる ふにぬちなとぅりば かじやまとぅむ
daNju kariyushi ya 'iradi sashimiseru funi nu china turiba kaji ya matumu
○いかにもめでたい吉日を選んでなさる 船の(帆の)綱を取れば風は順風
三、出くよや産子 出ちゃりばアンマ アンマくま居とて体う願
'んじくよーやなしぐわ 'んじちゃりば'あんまー 'あんまーくま'うとーてぃからだうがん
'Njikuyoo ya nashigwaa 'Njichariba 'aNmaa 'aNmaa kuma 'utooti karada 'ugaN
○行ってこいよ 私の子どもよ 行ってきます お母さん お母さんはここに居て健康を祈るよ
四、船乗らば産子 船床に乗ゆな ぶんぬ上に上て手巾招き
ふにぬらばなしぐわー ふにゆかにぬゆな ぶんぬ'ういにぬぶてぃてぃさじまにき
funi nuraba nashigwaa funiyuka ni nuyuna buN nu 'ui ni nubuti tisaji maniki
○船に乗ったら わが子よ 船底に乗るな 甲板の上に上がって手ぬぐいを振りなさい
五、夜走らす船や北の方星目当て 我ん産ちぇる親は我んど目当て
ゆるはらすふにやにぬふぁぶしみあてぃ わんなちぇる'うややわんどぅみあてぃ
yuru harasu funi ya ninuhwabushi miati waNnacheru 'uyaya waN du miati
○夜航海する船は北極星を目当てにし 私を生んだ親は私を見ていて
六、いりなちゃぐみやうない小の情け 夜走らす船の夜とぎそり
'いりなちゃぐみやうないぐわぬなさき ゆるはらすふにぬゆとぅぎそーり
'irinachagumi ya wunaigwa nu nasaki yuru harasu funi nu yutugisori
○炒ったおこし(お菓子)は姉(妹)の情け 夜航海する船での夜のなぐさめにしてください
解説
(語句)
一
・うがでぃ 拝んで
<うがぬん
・しちゃわしに (願の)通りに
しちゃ=下 わし(不詳) に
・いとぅぬういから 絹の上をすべるように→絹のようにおだやかな海を渡って欲しいという願い
「'いとぅ」は糸ではない。絹の意味。
二
だんじゅかりゆし 参照
三
・んじくーよー 行ってこいよ
・んじちゃりば 行ってくるならば→行ってきますよ
四
・ぶん 甲板
・まにき 招きなさい→振りなさい
<まにちゅん または まぬちゅん
五
てんさぐの花 参照
六
・はちゃぐみ お菓子の名前 もちごめを蒸し乾かして炒り砂糖を混ぜて四角にかためたもの おこし。
・うないぐわー 男の兄弟からみた姉妹 兄にたいする妹、弟にたいする姉。宗教的には男の兄弟に対する守護神。
・ゆとぎ=ゆとじ=夜伽 「夜のつれづれを慰めること」
(コメント)
名護に伝わる古謡で、船で旅立つわが子との別れを歌ったもの。
知名定繁の「別れの煙」の土台となった唄だ。
1900年前後から、沖縄から紡績工として若い女性が出稼ぎで本土に渡った。名護の城で松葉をたいて煙をのぼらせ、名護湾を北上する船に合図をする貧しい親の姿は「白い煙と黒い煙」(稲垣国三郎 愛知県出身)という話が「琉球小話」(1934年)で全国に紹介された。稲垣氏は愛知の教師をしていた人だ。
名護城には、1959年「白い煙黒い煙」の碑が建立された。
チヂン(太鼓)を伴奏にゆっくり歌われるが、後半テンポが早くなるようだ。
航海の様子をリアルに再現するだけでなく、その航海の場でも歌われたようだ。歌うことで航海の安全、旅の無事を祈らざるを得ない庶民の願いがこめられた、まさに肝(ちむ)をこめた唄のひとつ。
(参考 沖縄北部12市町村 民謡の旅 沖縄フェース出版)
(語句)
一
・うがでぃ 拝んで
<うがぬん
・しちゃわしに (願の)通りに
しちゃ=下 わし(不詳) に
・いとぅぬういから 絹の上をすべるように→絹のようにおだやかな海を渡って欲しいという願い
「'いとぅ」は糸ではない。絹の意味。
二
だんじゅかりゆし 参照
三
・んじくーよー 行ってこいよ
・んじちゃりば 行ってくるならば→行ってきますよ
四
・ぶん 甲板
・まにき 招きなさい→振りなさい
<まにちゅん または まぬちゅん
五
てんさぐの花 参照
六
・はちゃぐみ お菓子の名前 もちごめを蒸し乾かして炒り砂糖を混ぜて四角にかためたもの おこし。
・うないぐわー 男の兄弟からみた姉妹 兄にたいする妹、弟にたいする姉。宗教的には男の兄弟に対する守護神。
・ゆとぎ=ゆとじ=夜伽 「夜のつれづれを慰めること」
(コメント)
名護に伝わる古謡で、船で旅立つわが子との別れを歌ったもの。
知名定繁の「別れの煙」の土台となった唄だ。
1900年前後から、沖縄から紡績工として若い女性が出稼ぎで本土に渡った。名護の城で松葉をたいて煙をのぼらせ、名護湾を北上する船に合図をする貧しい親の姿は「白い煙と黒い煙」(稲垣国三郎 愛知県出身)という話が「琉球小話」(1934年)で全国に紹介された。稲垣氏は愛知の教師をしていた人だ。
名護城には、1959年「白い煙黒い煙」の碑が建立された。
チヂン(太鼓)を伴奏にゆっくり歌われるが、後半テンポが早くなるようだ。
航海の様子をリアルに再現するだけでなく、その航海の場でも歌われたようだ。歌うことで航海の安全、旅の無事を祈らざるを得ない庶民の願いがこめられた、まさに肝(ちむ)をこめた唄のひとつ。
(参考 沖縄北部12市町村 民謡の旅 沖縄フェース出版)
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