2006年07月15日

トゥガレ節(中城情話)

トゥガレ節(中城情話)
とぅがれぶし(なかぐしくじょーわ)
tugaree bushi (nakagushiku joowa)
語句・とぅがれ 宮古民謡「とーがにあやぐ」からきているという「トーガニー」と同系の曲。トーガレーともいう。



(女)思切りよーやー イエー兄小 二人や儘ならん悪縁とむてぃ だーあんせー我身ぬゆむ肝や浅地なてぃねらん
'うみちりよーやー 'えー'あふぃぐわー たいやままならん'あくいぃんとぅむてぃ だー'あんせーわみぬゆむじむや'あさじなてぃねらん
'umichiri yoo yaa 'ee 'ahwigwaa tai ya mama naraN 'akuyiN tumuti daa'aNsee wami nu yumu jimu ya 'asaji natineeraN
別れてね ねえ兄さん 二人は儘ならない腐れ縁だと思って ねえ だから 私の嫌な心は浅地(薄まった愛情)になってしまった
語句・うみちりよーあきらめてよ<うみちゆん あきらめるの命令形・ゆむじむ 嫌な心 ゆむ=悪罵、嫌悪の意味を表す接頭辞。ゆむ+ちむ 連濁で「じむ」・だーねえ ・あんせーそれでは 別れの言葉などで・浅地 染め方の「紺地」に対する表現。しかしここでは比喩。色の薄さが「相手への気持ちが薄くなってしまった」と比喩。・ねーらん動詞のあとについて「・・してしまった」という表現。「・・ではない」と間違えやすい。



(男) 浅地紺地や イエー無蔵よ 染みなちどぅすゆる 心引き戻ち 二人が結でる糸に染みかいちとぅらし
'あさじくんじや 'えーんぞよ すみなちどぅすゆる くくるふぃちむどぅち たいが むしでぃる 'いとぅにすみかいちとぅらし
'asajikuNji ya 'ee Nzo yo suminachi du suyuru kukuru hwichi muduchi tai ga musidiru 'itu ni sumikaichi turashi
浅地紺地は、ねえお前 染めなすものだ 愛情を引き戻し二人が結んでいる糸に染め直しておくれ
語句・ふぃちむどぅち引き戻し・たい二人 ・すみかいち 染め替えて・とぅらし<とぅらすん 与える してやる 命令形で「しておくれ」「くいゆん」より丁寧ないい方



(女)袖にかかやい泣ちゃんてまん だーあんせー我身ぬゆむ肝や浅地なとせ 二人や悪縁とぅむてぃ思切やい呉りよ
すでぃにかかやいなちゃんてまん だー'あんせーわみぬゆむじむや'あさじなとーせ たいや'あくいぃんとぅむてぃ 'うみちやいくぃりよ
sudi ni kakayai nachaNtemaN daa'aNsee waminu yumu jimu ya 'asaji natoosee tai ya 'akuyiN tumuti 'umichiriyai kwiei yoo
(貴方が)袖にすがりついて泣いったって ねえお別れよ 私の嫌な心が浅地になったのだよ 二人は悪縁だと思ってあきらめてくださいよ


(男)いちぐままとぅむてぃ 言語れんさしが心変わてぃ無蔵がゆむ肝や浅地なたみ
'いちぐままとぅむてぃ 'いかたれんさしがくくるかわてぃ んぞがゆむじらやあさじなたみ
'ichigu mama tumuti 'ikatareN sashiga kukurukawati Nzo ga yumu jira ya 'asaji natami
一生思い通りだと思って 男女の契りもしたが 心変わってお前の嫌な心は浅地になったのか
いちぐ 一期 一生・まま まま 通り 言うなり・いかたれー 男女の契り 会話・さしが したが しゅん(した)の過去形「さん」+しが・なたみなったのか?疑問文

(コメント)
作詞 親泊興照
曲 中城情話

CD「チコンキーふくばる」で普久原朝喜が赤嶺きく子と歌う。
こういう情け歌でも、複雑な心境を表したものがどうも気になる。

男女の出会い、別れは世の常。
月や昔から変わる事ねさみ かわてぃいくむぬや人の心
と歌に歌われるが、月こそ宇宙の法則で軌道や形すら変化する。
人間というものは、そのあり方は昔からほとんど変わらない、というのも真理だ。

一生の恋だと思っていても、ほんのきっかけでその糸がほどけてしまう。
お互いの糸を染める。「染める」これは沖縄民謡に実に多い表現比喩だ。
人の心を糸に例えるというのはどうしてしっくりくるのだろうか。

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Posted by たる一 at 12:02│Comments(3)た行な行沖縄本島
この記事へのコメント
「誇らしや島唄」で唄三線を聴かせていただきました。遅くなりましたが、最高賞おめでとうございます。今後の一層のご活躍をお祈り致します。
Posted by 金魚小 at 2006年07月16日 10:48
金魚小さん
ありがとうございます。

未熟な歌三線ゆえに、受賞もボイスブログもまったく恥ずかしい限りなのですが、今後も気を引き締めて楽しみながら精進したいものです。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年07月16日 14:12
訳を少し訂正しました。
Posted by せき ひろし(たるー) at 2007年03月04日 11:43
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