2006年04月30日
道具の美らさ
道具の美らさ
どーぐぬちゅらさ
doogu nu churasa
○道具の美しいことよ!
語句・どーぐ 「道具」【沖縄語辞典(国立国語研究所編)】(以下【沖辞】と略す)。別のもの(性器)を言い換えた隠語。
一、(ちんとんてんとん てんとるるん)二回繰り返し
ちんとぅんてんとぅん てんとぅるるん
chiNtuNteeNtuN teentururuN
○三線の音色の擬音(以下略)
夕べのお客や島尻ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやしまじりんちゅーやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬち ゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya shimajiriNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は島尻の人だったがあのお 客の道具の美しいことよ!
語句・んちゅ 〜の人。「んっちゅ」という言い方もある。
(ちゃーし美らさや)
ちゃーしちゅらさや
chaashi churasa ya
○どうして美しいの?(以下繰り返し 省略)
語句・ちゃーし 「どうして」副詞。
一本松の緑の芯のちんたまたんねーこのたまいや のーいがさびいら(のーら んしがまし)
てぃーちゃーまーちぬみどぅりぬしんぬちんたまたんねー くぬたまいやのー いがさびーら(のーらんしがまし)
tiichaa maachi nu miduri nu shiNnu chiNtamataNnee kunu tamaiy a nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○一本松の新芽の芯の強く曲がったみたいに この曲がりは治るのでしょうか?(治らないほうが良い)
語句・ちんたまたんねー 強く反り返ったみたいに。ちん(強く)+たまたん<たまゆん(反り返る)の過去+ねー(みたいに)・のーいがさびーら治るでしょうか。<のーゆん。なおる。・のーらんしがまし治らないのがまし。治らない方がいい。のーらん<のーゆん(治る)の否定+し(前の語句を名詞化 のが)+まし(まし。良い。)
二、夕べのお客や中頭ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやなくがみんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya nakugamiNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道 具]nu churasa ya
○夕べのお客は中頭の人だったがあのお客の道具は美しいことよ!
美里前の毛のちんぬくなばのさちちりたんねーあのかぶとや
のーいがさびーら(のーらんしがまし)
'んざとぅめーぬもーぬちんぬくなーばぬさちちりたんねー'あぬかぶとぅや のーいがさびいら(のーらんしがまし)
'Nzatu mee nu moo nu chiNnuku naaba nu sachichiritaNnee 'anu kabutuya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○美里前の草原の里芋キノコの開ききったみたいに あのカブトは治るのでしょうか?(治らないほうがまし)
語句・ちんぬく里芋。・なーばきのこ。・さちちり咲ききった→開ききった。
三、夕べのお客や山原ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくややんばるんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya yaNbaruNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客はの山原の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
山原山の竹ノ子のちっとがたんねーあの尖いやのーいがさびいら(のーらんしがまし)
やんばるやまぬだちぬっくわぬちっとぅがたんねー 'あぬとぅがいや のーいがさびーら(のーらんしがまし)
yaNbaruyama nu dachinukkwaa nu chittugataNnee 'anu tugai ya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○ヤンバルの山の竹ノ子が強くとがったみたいに あのとがりは治るのでしょうか?(治らないほうがまし)
語句・ちっとぅがたんねー強くとがったみたいに<とぅがゆん(とがった)。
四、夕べのお客や宮古ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやみゃーくんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya myaakuNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客はの宮古島の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
畑の大茎種の大風吹ちにやまちりたんねーあのむでくいのーいがさびいら(のーらんしがまし)
はるぬだいけーしゅぬ'うふかじふちにやまちりたんねー'あぬむでぃくい のーいがさびーら(のーらんしがまし)
haru nu daikeishu nu 'uhukaji huchini yamachiritaNnee 'anu mu dikui nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○畑の大茎種(さとうきび)の台風が吹いてむちゃくちゃにしたように あのねじれは治るのでしょうか?(治らないほうがまし)
語句・だいけいしゅサトウキビの種類で形状によって分類される名称。茎の内径が24㎜以上を大茎(だいけい)種と呼ぶ。・やまちりぐちゃぐちゃになる。やま「混乱。乱雑。ごたごた」【沖辞】。・むでぃくい 「もつれる。(糸・藤の枝などが)もつれあう」【沖辞】。<むでぃくゆん。
五、夕べのお客や八重山ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくや'えーまんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya 'eemaNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は八重山の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
名蔵の山の赤山芋のはっちりたんねー あぬふぃばりや のーいがさびいら(のーらんしがまし)
なぐらやまぬ' あかやま'んむぬはっちりたんねー 'あぬふぃばりやのーいがさびーら(のーらんしがまし)
naguranu yamanu 'akayama'Nmu nu hacchiritaNnee 'anu hwibari ya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○名蔵山の赤山芋がはちきれたみたいに あのひび割れは治るでしょうか(治らないほうがまし)
語句・はっちり「はちきれる。」【沖辞】。<はっちりゆん。・ふぃばり「干割れ。亀裂。ひび。」【沖辞】。
六、夕べのお客や首里ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやしゅいんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya shuiNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は首里の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
実れよ実れなすびのすーらぶっと ないさがたんね あのぶっと のーいがさびいら(のーらんしがまし)
なりよーなりー なーしびぬすーらぶっとー ないさがたんねー 'あぬぶっとーのーいがさびーら(のーらんしがまし)
nari yoo nari naashibi nu suura buttoo naisagataN nee anu buttoo nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○実れよ実れ ナスビの梢のコブ 実り下がったような あのコブは治るでしょうか(治らないのがまし)
語句・なーしびなすび。・すーら「こずえ。うら(末)」【沖辞】。・ぶっとぅー「丸くふくれ上ったもの。いぼ・こぶなど」【沖辞】。
七、夕べのお客や那覇ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやなーふぁんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya naahwaNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は那覇の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
庭に実らちぇる霜実いゴーヤーのぶってーふぃってー あのくちゅびやのーいがさびいら(のーらんしがまし)
にわにならちぇーるしむないごーやーぬぶってーふぃってー あぬくちゅびやのーいがさびーら(のーらんしがまし)
niwa ni naracheeru shimunai gooyaa nu buttee hwittee 'anu kuchubiya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○庭に実っている霜実り(季節はずれの)ゴーヤーがいぼいぼだらけ あのイボは治るでしょうか(治らないのがまし)
語句・しむない 霜実り=季節外れ。うらなり、ともいう。・くちゅび「いぼ。」【沖辞】。
八、夕べのお客や大和ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくややまとぅんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya yamatuNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は本土の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
寺の御門の仁王仏のくんぱたんね あのむるしや のーいがさびいら(のーらんしがまし)
てぃらぬ'うじょーぬにおーぶとぅきぬくんぱたんねー 'あぬむるしやのーいがさびーら(のーらんしがまし)
naguranu yamanu 'akayama'Nmu nu hacchiritaNnee 'anu hwibari ya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○寺の御門の仁王仏が踏ん張ったみたいに あのちからコブはは治るでしょうか(治らないほうがまし)
語句・くんぱたんねーふんばったみたいな。<くんぱゆん。しっかりふんばるさま。・むるし「かたまり」→力こぶ。
九、夕べのお客や海軍あがりの勇士やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくや[海軍あがりの勇士]やたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya [海軍あがりの勇士] yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は海軍あがりの勇士だったがあのお客の道具の美しいことよ!
戦艦大和の艦砲射撃のはじまたんね あのやなぐしのーいがさびが (絶対治らん)
[戦艦大和]ぬ[艦砲射撃]ぬはじまたんねー'あぬやなぐしのーいがさびーが(ぜったいのーらん)
[戦艦大和]nu[艦砲射撃]nu hajimataNnee 'anu yanagushi nooigasabiiga(zettai nooraN)
○戦艦大和の艦砲射撃がはじまったみたいに あの嫌な癖は治るでしょうか (絶対治らない)
語句・やな「悪い・醜い・いやな・性悪の・不正な、など」【沖辞】。・ぐし <くし。「癖」。
(コメント)
照屋林助 作詞作曲
映画「ホテルハイビスカス」(中江裕司監督)で、少しだけ照屋政雄さんが歌う。
夕べのお客を沖縄の各地、島々の人、または本土の人間、軍人という設定にし、その「道具」がいかに美しい?かを可笑しく表現する。
宴会芸では、この歌にあわせてゴーヤーを腰につけた面白い格好をしたものが踊るらしい。
ただの笑いではなく、最後に出てくるように戦艦大和の艦砲射撃をも「嫌な癖」と一笑に付する。
これを「けしからん」と怒る方がおられるかもしれない。
実は今広島、呉という戦艦大和を作った町は空前の「大和ブーム」である。
大和をテーマにした映画も作られ全国的にも静かなブームと言えるのかもしれない。
呉のお祭り「呉みなと祭」も戦艦大和の色が強くだされていた。
自衛隊、在日米軍などの音楽隊やパレードも多かった。市民の生活の中にこの「大和」が強く浸透していると感じた。不況の町は、今「大和」を町おこしのテーマとして、それが「成功」している。
戦艦大和は、1945年沖縄に上陸した連合軍と交戦するために鹿児島県沖を航行中に潜水艦や戦闘機に猛撃され沈没する。不沈空母といわれた巨大戦艦は、航空機による機動力重視に移行しつつあった20世紀の軍事技術とは逆に、巨大さを誇るばかりで攻撃の格好の的にされてあえなく沈没した。
その戦艦大和を「誇る」広島県民が多いなかで、このような歌が、戦艦大和が助けにいった沖縄の人によってつくられるのはけしからん!という人は、もう一度沖縄戦がなんであったのか、なぜ広島の原爆と同じ20数万の被害を生んだのか、その後の基地の押し付け、被害の大きさをもう一度知って欲しい。
巨大な戦艦が、守りきれなかった「平和」を、もう一度巨大な軍事力で守ろうとすることがいかに「可笑しい」ことなのか。
林助さんはこの歌で、その重みを教えてくれる。
権力を誇れば誇るほど、それは裏腹に笑いの対象となる。
チャップリンが独裁者ヒトラーを喜劇の対象としたように。
もしかしたら林助さんは、この最後の九番を歌にしたいがために、ヤンバルから先島の人々までまんべんなく、歌詞の中に盛り込み、そっと笑いのなかに痛烈な批判を込めたのかもしれない。
先週金曜4月28日は「沖縄デー」。
1946年対日講座条約が発効され、沖縄はアメリカの施政権下に入り「切り捨てられた」日なのだ。
本土の私達が忘れても沖縄の人々は忘れない。
▲映画「ホテルハイビスカス」(中江裕司監督)より。
どーぐぬちゅらさ
doogu nu churasa
○道具の美しいことよ!
語句・どーぐ 「道具」【沖縄語辞典(国立国語研究所編)】(以下【沖辞】と略す)。別のもの(性器)を言い換えた隠語。
一、(ちんとんてんとん てんとるるん)二回繰り返し
ちんとぅんてんとぅん てんとぅるるん
chiNtuNteeNtuN teentururuN
○三線の音色の擬音(以下略)
夕べのお客や島尻ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやしまじりんちゅーやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬち ゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya shimajiriNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は島尻の人だったがあのお 客の道具の美しいことよ!
語句・んちゅ 〜の人。「んっちゅ」という言い方もある。
(ちゃーし美らさや)
ちゃーしちゅらさや
chaashi churasa ya
○どうして美しいの?(以下繰り返し 省略)
語句・ちゃーし 「どうして」副詞。
一本松の緑の芯のちんたまたんねーこのたまいや のーいがさびいら(のーら んしがまし)
てぃーちゃーまーちぬみどぅりぬしんぬちんたまたんねー くぬたまいやのー いがさびーら(のーらんしがまし)
tiichaa maachi nu miduri nu shiNnu chiNtamataNnee kunu tamaiy a nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○一本松の新芽の芯の強く曲がったみたいに この曲がりは治るのでしょうか?(治らないほうが良い)
語句・ちんたまたんねー 強く反り返ったみたいに。ちん(強く)+たまたん<たまゆん(反り返る)の過去+ねー(みたいに)・のーいがさびーら治るでしょうか。<のーゆん。なおる。・のーらんしがまし治らないのがまし。治らない方がいい。のーらん<のーゆん(治る)の否定+し(前の語句を名詞化 のが)+まし(まし。良い。)
二、夕べのお客や中頭ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやなくがみんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya nakugamiNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道 具]nu churasa ya
○夕べのお客は中頭の人だったがあのお客の道具は美しいことよ!
美里前の毛のちんぬくなばのさちちりたんねーあのかぶとや
のーいがさびーら(のーらんしがまし)
'んざとぅめーぬもーぬちんぬくなーばぬさちちりたんねー'あぬかぶとぅや のーいがさびいら(のーらんしがまし)
'Nzatu mee nu moo nu chiNnuku naaba nu sachichiritaNnee 'anu kabutuya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○美里前の草原の里芋キノコの開ききったみたいに あのカブトは治るのでしょうか?(治らないほうがまし)
語句・ちんぬく里芋。・なーばきのこ。・さちちり咲ききった→開ききった。
三、夕べのお客や山原ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくややんばるんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya yaNbaruNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客はの山原の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
山原山の竹ノ子のちっとがたんねーあの尖いやのーいがさびいら(のーらんしがまし)
やんばるやまぬだちぬっくわぬちっとぅがたんねー 'あぬとぅがいや のーいがさびーら(のーらんしがまし)
yaNbaruyama nu dachinukkwaa nu chittugataNnee 'anu tugai ya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○ヤンバルの山の竹ノ子が強くとがったみたいに あのとがりは治るのでしょうか?(治らないほうがまし)
語句・ちっとぅがたんねー強くとがったみたいに<とぅがゆん(とがった)。
四、夕べのお客や宮古ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやみゃーくんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya myaakuNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客はの宮古島の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
畑の大茎種の大風吹ちにやまちりたんねーあのむでくいのーいがさびいら(のーらんしがまし)
はるぬだいけーしゅぬ'うふかじふちにやまちりたんねー'あぬむでぃくい のーいがさびーら(のーらんしがまし)
haru nu daikeishu nu 'uhukaji huchini yamachiritaNnee 'anu mu dikui nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○畑の大茎種(さとうきび)の台風が吹いてむちゃくちゃにしたように あのねじれは治るのでしょうか?(治らないほうがまし)
語句・だいけいしゅサトウキビの種類で形状によって分類される名称。茎の内径が24㎜以上を大茎(だいけい)種と呼ぶ。・やまちりぐちゃぐちゃになる。やま「混乱。乱雑。ごたごた」【沖辞】。・むでぃくい 「もつれる。(糸・藤の枝などが)もつれあう」【沖辞】。<むでぃくゆん。
五、夕べのお客や八重山ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくや'えーまんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya 'eemaNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は八重山の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
名蔵の山の赤山芋のはっちりたんねー あぬふぃばりや のーいがさびいら(のーらんしがまし)
なぐらやまぬ' あかやま'んむぬはっちりたんねー 'あぬふぃばりやのーいがさびーら(のーらんしがまし)
naguranu yamanu 'akayama'Nmu nu hacchiritaNnee 'anu hwibari ya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○名蔵山の赤山芋がはちきれたみたいに あのひび割れは治るでしょうか(治らないほうがまし)
語句・はっちり「はちきれる。」【沖辞】。<はっちりゆん。・ふぃばり「干割れ。亀裂。ひび。」【沖辞】。
六、夕べのお客や首里ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやしゅいんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya shuiNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は首里の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
実れよ実れなすびのすーらぶっと ないさがたんね あのぶっと のーいがさびいら(のーらんしがまし)
なりよーなりー なーしびぬすーらぶっとー ないさがたんねー 'あぬぶっとーのーいがさびーら(のーらんしがまし)
nari yoo nari naashibi nu suura buttoo naisagataN nee anu buttoo nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○実れよ実れ ナスビの梢のコブ 実り下がったような あのコブは治るでしょうか(治らないのがまし)
語句・なーしびなすび。・すーら「こずえ。うら(末)」【沖辞】。・ぶっとぅー「丸くふくれ上ったもの。いぼ・こぶなど」【沖辞】。
七、夕べのお客や那覇ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくやなーふぁんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya naahwaNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は那覇の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
庭に実らちぇる霜実いゴーヤーのぶってーふぃってー あのくちゅびやのーいがさびいら(のーらんしがまし)
にわにならちぇーるしむないごーやーぬぶってーふぃってー あぬくちゅびやのーいがさびーら(のーらんしがまし)
niwa ni naracheeru shimunai gooyaa nu buttee hwittee 'anu kuchubiya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○庭に実っている霜実り(季節はずれの)ゴーヤーがいぼいぼだらけ あのイボは治るでしょうか(治らないのがまし)
語句・しむない 霜実り=季節外れ。うらなり、ともいう。・くちゅび「いぼ。」【沖辞】。
八、夕べのお客や大和ん人やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくややまとぅんちゅやたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya yamatuNcu yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は本土の人だったがあのお客の道具の美しいことよ!
寺の御門の仁王仏のくんぱたんね あのむるしや のーいがさびいら(のーらんしがまし)
てぃらぬ'うじょーぬにおーぶとぅきぬくんぱたんねー 'あぬむるしやのーいがさびーら(のーらんしがまし)
naguranu yamanu 'akayama'Nmu nu hacchiritaNnee 'anu hwibari ya nooiga sabiira (nooraNshi ga mashi)
○寺の御門の仁王仏が踏ん張ったみたいに あのちからコブはは治るでしょうか(治らないほうがまし)
語句・くんぱたんねーふんばったみたいな。<くんぱゆん。しっかりふんばるさま。・むるし「かたまり」→力こぶ。
九、夕べのお客や海軍あがりの勇士やたしがあのお客の道具の美らさや
ゆーびぬ'うちゃくや[海軍あがりの勇士]やたしが'あぬ'うちゃくぬ[道具]ぬちゅらさや
yuubi nu 'uchaku ya [海軍あがりの勇士] yatashiga 'anu 'uchaku nu [道具]nu churasa ya
○夕べのお客は海軍あがりの勇士だったがあのお客の道具の美しいことよ!
戦艦大和の艦砲射撃のはじまたんね あのやなぐしのーいがさびが (絶対治らん)
[戦艦大和]ぬ[艦砲射撃]ぬはじまたんねー'あぬやなぐしのーいがさびーが(ぜったいのーらん)
[戦艦大和]nu[艦砲射撃]nu hajimataNnee 'anu yanagushi nooigasabiiga(zettai nooraN)
○戦艦大和の艦砲射撃がはじまったみたいに あの嫌な癖は治るでしょうか (絶対治らない)
語句・やな「悪い・醜い・いやな・性悪の・不正な、など」【沖辞】。・ぐし <くし。「癖」。
(コメント)
照屋林助 作詞作曲
映画「ホテルハイビスカス」(中江裕司監督)で、少しだけ照屋政雄さんが歌う。
夕べのお客を沖縄の各地、島々の人、または本土の人間、軍人という設定にし、その「道具」がいかに美しい?かを可笑しく表現する。
宴会芸では、この歌にあわせてゴーヤーを腰につけた面白い格好をしたものが踊るらしい。
ただの笑いではなく、最後に出てくるように戦艦大和の艦砲射撃をも「嫌な癖」と一笑に付する。
これを「けしからん」と怒る方がおられるかもしれない。
実は今広島、呉という戦艦大和を作った町は空前の「大和ブーム」である。
大和をテーマにした映画も作られ全国的にも静かなブームと言えるのかもしれない。
呉のお祭り「呉みなと祭」も戦艦大和の色が強くだされていた。
自衛隊、在日米軍などの音楽隊やパレードも多かった。市民の生活の中にこの「大和」が強く浸透していると感じた。不況の町は、今「大和」を町おこしのテーマとして、それが「成功」している。
戦艦大和は、1945年沖縄に上陸した連合軍と交戦するために鹿児島県沖を航行中に潜水艦や戦闘機に猛撃され沈没する。不沈空母といわれた巨大戦艦は、航空機による機動力重視に移行しつつあった20世紀の軍事技術とは逆に、巨大さを誇るばかりで攻撃の格好の的にされてあえなく沈没した。
その戦艦大和を「誇る」広島県民が多いなかで、このような歌が、戦艦大和が助けにいった沖縄の人によってつくられるのはけしからん!という人は、もう一度沖縄戦がなんであったのか、なぜ広島の原爆と同じ20数万の被害を生んだのか、その後の基地の押し付け、被害の大きさをもう一度知って欲しい。
巨大な戦艦が、守りきれなかった「平和」を、もう一度巨大な軍事力で守ろうとすることがいかに「可笑しい」ことなのか。
林助さんはこの歌で、その重みを教えてくれる。
権力を誇れば誇るほど、それは裏腹に笑いの対象となる。
チャップリンが独裁者ヒトラーを喜劇の対象としたように。
もしかしたら林助さんは、この最後の九番を歌にしたいがために、ヤンバルから先島の人々までまんべんなく、歌詞の中に盛り込み、そっと笑いのなかに痛烈な批判を込めたのかもしれない。
先週金曜4月28日は「沖縄デー」。
1946年対日講座条約が発効され、沖縄はアメリカの施政権下に入り「切り捨てられた」日なのだ。
本土の私達が忘れても沖縄の人々は忘れない。
▲映画「ホテルハイビスカス」(中江裕司監督)より。
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