2006年04月04日

月の夜節

月の夜節
ちちぬゆーぶし
chichi nu yuu bushi


一、月の夜も夜い闇の夜も夜いヨ 里がめる夜ど我夜さらみ
ちちぬゆんゆるいやみぬゆんゆるい(よ)さとぅがめるゆるどぅわゆるさらみ
chichi nu yu(u)N yurui yami nu yu(u)N yurui(yo)satu ga me(e)ru yuru du wayurusarami
(囃子言葉「よ」は以下省略す)
月の夜も夜か 闇の夜も夜か 貴方がいらっしゃる夜こそが私の夜である
語句・ 〜か?文末に置いて質問文を作る。・めーる いらっしゃる。<めーん 居る 行く 来る 目下の年長への敬語。(参考)同輩や目上には いめーん。さらに上位には めんせーん いめんせーん。よく使われる「めんそーれー」は、この上位にむけた「めんせーん」の命令形。すなわち「来い」をもっとも丁寧に言う言葉。


二、月の夜になれば我身忍でいもりヨ闇の夜になれば御主忍ば
ちちぬゆになりばわんしぬでぃいもり やみぬゆになりば'うんじゅしぬば
chichi nu yu ni nariba waN shinudi 'imo(o)ri yami nu yuni nariba 'uNju shinuba
月の夜になれば私を忍んでいらっしゃい。闇の夜になれば貴方を忍ぼう
語句・いもり いらっしゃい。命令形。 私に忍んでいらっしゃい。


三、里や受水のたまい水心ヨ かにらわん与所にゆくちいちゅさ
さとぅや'うきんじゅぬたまいみじぐくる かにらわんゆすにゆくち'いちゅさ
satu ya 'ukiNju nu tamai mijigukuru kanirawaN yusuni yukuchi 'ichusa
貴方は受水(稲作発祥の田)の溜まり水のよう 遮ろうとしてもよそにそれていくよ
語句・うきんじゅ  受水走水(うきんじはいんじゅ)。玉城村にある沖縄での稲作発祥の地といわれている。・かにらわん さえぎろうとしても。<かにゆん ?兼ねる?遮る + わん 〜しようとも。(例)唐旅やらわん 中国への旅であっても(チョンチョンキジムナー)。・ゆくち それて。<ゆくしゅん 誘う。「あるべき方向から横にそらす。水の流れなどにもいう。」(沖)。連用形。


四、指輪の形見さす間の形見ヨ頭髪の契り幾世までも
'いびなぎぬかたみ さすえだぬたかみ かしらぎぬちじり'いくゆまでぃん
'ibinagi nu katami sasuyeda nu katami kashiragi nu chijiri 'ikuyumadiN
指輪の形見(愛の契り)はしている間の形見 髪の毛の契りはいつの世までも


五、行けんでや云ゆしが袖や取て引ちゅいヨ 誠行けんでの肝やあらぬ
'いきんでぃや'いゆしが すでぃやとぅてぃふぃちゅい まくとぅ'いきんでぃぬちむや'あらん
'ikiNdi ya 'iyushiga sudi ya tuti hwichui makutu 'ikiNdi nu chimu ya 'araN
行けと言うが袖を取り引くの?本当に行けという本心ではない
語句・いき いちゅん。行く の命令形。・んでぃ …と。




解説
舞踊曲。「汀間とぅ」のチラシに使われる。

意訳。
一、月夜が夜だろうか?闇夜も夜だろうか?私には貴方がいらっしゃる夜だけが私の夜だわ。
二、月夜になったら私を忍んでいらっしゃい。闇夜になれば貴方を忍ぶわ
三、貴方はまるで田に貯めた水のよう さえぎってもそれて流れていってしまう
四、指輪の契りなんて している間のものだけ 貴方との髪の毛を交わした契りは永遠のもの
五、行けとはいいましたが袖を引くのね 行くといったのは誠の心ではない。


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Posted by たる一 at 18:35│Comments(1)た行
この記事へのコメント
胤森さんに質問しておいた返事が来た。

二番「いもーり」。これは「私が」ではなく「私に」と捕らえるべきである。確かにそうだ。
そのあとの「しのば」も「御主に」という意味。
これは訂正した。

 
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年04月12日 22:05
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