2011年09月29日

だんく節

だんく節
だんくぶし
daNku bushi
語句・だんくぶし 昔の歌だと思われる。「だんく」の意味不詳。


一、だんく節習ゆんでぃ 名護東通てぃヨンサー 通てぃ珍らさや だんくよーだんく スーリーヌ ダンヨー ダンク(以下、カタカナの囃子言葉は省略)
だんくぶしならゆんでぃ なぐあがりかゆてぃ かゆてぃみじらさや だんくよーだんく
daNku bushi narayuNdi nagu'agari kayuti kayuti mijirasa ya daNku yoo daNku
だんく節を習うために名護東に通って通って 珍しいものだよ!だんく(不詳)よ!だんく
語句・んでぃ ために。


二、行ちゅる山道や ちんし割い所 越いてぃかしがーや ゆーり所
いちゅるやまみちや ちんしわいどぅくる くぃてぃかしがーや ゆーりどぅくる
'ichuru yama michi ya chiNshi wai dukuru kwiti kashigaa ya yuuridukuru
行く山道は膝を割る(痛める程の急な坂)所 越えてカシガー(地名?)は休む所
語句・ちんし 膝。・かしがー 不詳。地名かと思われる。・ゆーり <ゆりー 休憩。


三、ちんし割てぃ通てぃ 頭割てぃ通てぃなーひん通い欲さ だんくよーだんく
ちんしわてぃかゆてぃ ちぶるわてぃかゆてぃ なーひんかゆいぶさ だんくよーだんく
chiNshi wati kayuti chiburu wati kayuti naahiN kayuibusa daNku yoo daNku
膝を痛めて通って 頭割って通って もっと通いたいものだ だんくよ!だんく
語句・ちぶるわてぃ おそらく五の歌詞にでてくる盗賊に関係するのではないかと思う。
 なーひん さらに。もっと。<なーふぃん。


四、だんく節なかい 肝や引ち取らり 闇ぬさく坂ん車とう原
だんくぶしなかい ちむやひちとぅらり やみぬさくひらん くるまとーばる
daNku bushi nakai chimu ya hichi turari yami nu sakuhiraN kuruma toobaru
だんく節に心を奪われて 闇の急な坂道も(砂糖)車(がおけるほど平坦な)原っぱだ
語句・なかい に。・さくひら さく 谷あい。+ ひら 坂。急な谷間の坂。・くるま さとうきびから砂糖を抽出するために水牛に回転させた「甘藷圧搾車」(saataa-guruma)【琉辞】。「車とーばる」はその「甘藷圧搾車を据えるのに適した平坦な土地」【琉辞】。恋心を唄った琉歌でよく使われる歌詞。恋をしている時は会いに行く「急な坂も平坦に思える」から。

五、知りなぎな登る 安和ぬじょーが坂や 世間音高さ ふぇーれー所
しりなぎなぬぶる あわぬじょーがひらや しきんうとぅだかさ ふぇーれーどぅくる
shirinagina nuburu 'awa nu joo ga hira ya shikiN 'utudakasa hweeree dukuru
そうと知りながら登る安和の門の坂は 世間で良く知られた追い剥ぎがよくでる所だ
語句・しりなぎな 知りながら。知ってしるのに。<なぎーな …ながら。…なのに。 ・ふぇーれー 追い剥ぎ。


六、通てぃ習れ取たる だんく節でむぬ 五条ぬ松下に揃てぃ遊ばな
かゆてぃなれーとぅたる だんくぶしでむぬ ごじょーぬまちしたにするてぃあしばな
kayuti nareetutaru daNku bushi demunu gojoo nu machishita ni suruti 'ashibana
通って習い取っただんく節であるから五条の松下に揃って遊ぼうよ
語句・でむぬ ・・であるから。・あしばな 遊ぼうよ。遊びたい。 自分の意思・希望「遊びたい」と、呼びかけ「遊ぼう」両方の意味を含む。 


七、だんく節てぃしや 恋ぬ言語れか かにん面白さだんくよー だんく
だんくぶしてぃしや くいぬいかたれか かにんうむしるさ だんくよーだんく
daNku bushi tishi ya kui nu 'ikataree ka kaniN 'umushirusa daNku yoo daNku
だんく節というものは恋の語らいか それほど面白いものだ だんくよーだんく
語句・てぃしや というものは。・いかたれ <いかたれー 語らい。契り。

昔「だんく節」というものがあり、それに惚れこんで、危険な山道も省みず習うために通った、というくだりが歌になっている。

音源は知名定男さん「島唄百景」にある。

惚れこんだその肝心の「だんく節」はどんな曲だったのだろうか。

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Posted by たる一 at 09:52│Comments(2)た行
この記事へのコメント
士族の廃藩前までの流行り歌「談合節(だんぐぅぶし)」に由来するようです(詳細は琉歌古典歌詞集:川平親雲上朝彬著を参照:、ちなみに南部で流行した「だんく節」とは音曲も歌詞も異にする曲ですね。
Posted by くがなー at 2011年11月04日 08:55
くがなーさん
コメントありがとうございます。
その本は手元にはありませんが、参考にさせていただいて、また調べてみたいと思います。
いつも歌の背景についてのご教唆、助かります。
Posted by たる一たる一 at 2011年11月17日 07:17
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