2007年06月30日

赤田首里殿内節 2 (シーヤープ節)

シーヤープ節
しーやーぷーぶし
shiiyaapuu bushi
○(不明)
語句・曲名は「しーやーぷー」以外に「しーやーぶー」とか「ひーじんとー」とも言われ、子どもの手遊びを促す囃子言葉に由来しているのは確か。「幼児の遊戯の名、左右の一方の手のひらに他方のひじをのせ、離し、それを左右交互に繰り返しながら歌を歌うもの。幼児に運動させるための遊戯」(沖)


一、赤田首里殿内 黄金灯籠さぎて うりが明かがれば 弥勒う迎け
'あかたしゅんどぅんち くがにどぅるさぎてぃ 'うりが'あかがりば みるく'うんけー
'akata shuNduNchi kuganiduru sagiti 'uri ga 'akagariba miruku 'uNkee
赤田(の)首里殿内(に)黄金(色の)灯篭(を)下げて それが明るくなれば 弥勒(さまを)お迎え
語句・あかた現在の首里赤田町・しゅんどぅんち「首里の赤田にあった'amusirare(女神官)の居所」(琉) 首里ぬ殿内 shui nu tuNchi → shuNduNchi ・くがにどぅる黄金色の灯篭 灯篭は「とぅーる」→連濁で「どぅーる」→短縮されて「どぅる」・あかがりば明るくなれば <'あかがゆん 明るくなる・みるく弥勒 「釈迦入寂後の56億7千万年後にこの世に下生(来臨)が待望される菩薩〔サンスクリット語でMaitreya(<Maitri[慈愛]<mitra[友]〕沖縄では豊穣をもたらす来訪神とされ、その化身としての布袋の姿で豊年祭りに‘登場’する。」(琉)


シーヤープー シーヤープー
○不明
ミーミンメー ミーミンメー
○耳の前?
ヒージントー ヒージントー
○肘は「ふぃじげー」「ふぃじけー」。「ふぃじ」は髭の意。不明
イーユンミー イーユンミー
○魚の目?

二、大国の弥勒 我が島にいもち うかけぶせみしょり 弥勒世果報
たいくくぬみるく わがしまに'いもち 'うかきぶせみしょり みるくゆがふ
taikuku nu miruku waga shima ni 'imochi 'ukakibusemishori mirukuyugahu
大国の弥勒(さま)我が村(島)にいらっしゃって 御支配(不明)ください 弥勒世(の)果報
語句・いもちいらっしゃって <いめーん おいでになる、いらっしゃる、いる、いく、来るの敬語(沖)・うかきぶせみしょり うかき<う(御)+かきゆん(掛ける、以外に 支配する) ぶせ(「欲せ」または「栄せ」 と当て字をしたものがある)これは不明 みしょり(・・してください) ・みるくゆがふ豊年の世 弥勒様がもたらす果報=幸せだから豊年、豊作、あるいは平和といいかえてもいいだろう。


三、道々の巷 歌うたて遊ぶ 弥勒世の世果報 近くなたさ
みちみちぬちまた 'うた'うたてぃ'あしぶ みるくゆぬ ゆがふ ちかくなたさ
michimichi nu chimata 'uta'utati 'ashibu mirukuyu nu yugahu chikakunatasa
道々の巷(で)歌(を)歌って遊ぶ 豊年の世(が)近くなったよ


四、弥勒世の昔 くい戻ちなまに 御真人のまじり 遊ぶうりしゃ
みるくゆぬんかし くいむどぅちなまに 'うまんちゅぬまじり 'あしぶ'うりしゃ
mirukuyu nu NKashi kuimuduchi nama ni 'umaNchu nu majiri 'ashibu 'urisha
豊年の昔(を)くりかえし今に すべての人々(が)遊ぶ嬉しさ
語句・くいむどぅち くりもどす 繰り返す(沖) ・うまんちゅぬまじり すべての人 <うまんちゅ 人々 +まじり あるだけ すべて 一切 全体(沖)



(コメント)
子供の遊戯歌。
実は、赤田首里殿内節ということで以前にも訳した。
つまり再録。
しかし、振り返ってすこし深く見てみたい。

囃子言葉も、よく考えると意味がわからない。
遊戯の歌なので、言葉遊びの感もある。

二番は、八重山民謡の「弥勒節」。

「うかけぶせみしょり」には
「欲せ」、「栄せ」という当て字があり、
「島うた紀行」では
「どうかゆっくりと御逗留ください」と訳す。
短母音で「せ」はまずありえないので
長母音の「せー」(し+や)なのか、八重山口での「せ」なのか不明。



同じカテゴリー(さ行)の記事
さらうてぃ口説
さらうてぃ口説(2018-04-19 17:44)

安里屋ゆんた
安里屋ゆんた(2018-04-12 07:07)

門たんかー
門たんかー(2018-02-02 23:56)

じんだま
じんだま(2016-09-22 14:42)

下千鳥  6
下千鳥 6(2015-09-12 14:36)

スーキカンナー 2
スーキカンナー 2(2014-12-05 14:09)


Posted by たる一 at 08:05│Comments(12)さ行
この記事へのコメント
いつも、まじめに見させていただいてます。
囃子ことばのシーヤ-プの所は両手で赤ちゃんをだっこする動作だそうですよ!
以前、沖縄在住の時、仲良くなったウチナーの友人から、幼い頃、おばあに唄ってもらった、とおしえてもらいました。
わらべ歌だから地域性で様々なうたいかたがあるでしょうが・・・
三線弾いて孫と遊んでいます。
Posted by あーちゃん at 2007年07月01日 18:18
あーちゃんさん
まじめなお仲間が増えるのはとても嬉しいです。

シーヤープーの動きで私がみたことがあるのは
腰に手をやる動作ですね。

そうですか、赤ちゃんを抱っこする動作というのは初耳です。

関連して
ミーミンメーでは耳をつまみ
ヒージントーではひじをなぜる
イーユヌミーでは手のひらをぐりぐりしてましたね。

こういう情報はいろいろ教えてほしいものです。
みなさん。
Posted by せきひろし at 2007年07月01日 18:47
ミーミンメーは耳たぶを反対の手でつまむ
右の耳は左手で、左の耳は右手で・・・

ヒージントーも同じく右のひじは左の手のひらで・・

イユヌミーは手のひらに反対の手の人差し指をちょんちょんと2回
つつく。左右交互にします

先日、あつい西原からもどってきたばかりで、興奮さめやらず・・なり
今後も島唄情報 楽しみにしてます。
Posted by あーちゃん at 2007年07月01日 19:02
ぼくの子どもが保育園で習ったのは「しーやーぷー」では反対側の手のひらを指で押さえました。「ミーミンメー」と「ヒージントー」はあーちゃんと同じですが、「イーユヌミー」は目を指します。
疑問もあるんですが、「しーやーぷー」を「仏様の徳がありますように」と言っているところもありました。だけど、そんな日本語ってあるかなあ。
参考になればと下記のサイトを紹介します。

http://okinawa.rik.ne.jp/contents/okinawa/matsuri/miruku/index.html
Posted by コロリ at 2007年07月01日 20:53
あーちゃんさん
あら。西原で暑い三日間を過ごした仲間でしたか?
どちらのあたりのかただったのでしょうか。

また情報をありがとうございました。
今後ともよろしくです。
Posted by せきひろし at 2007年07月01日 21:07
コロリさん
おひさです。

コロリさんの子供さんって沖縄の保育園?
うーむ。ヤマトでもそのような遊戯をするのでしょうか。

シーヤープー。

さてどのような意味があるのでしょうかねえ。
Posted by せきひろし at 2007年07月01日 21:09
大里村古堅に「ミーミンメー」という豊年祭があるようですが、
この歌の歌詞が由来だそうですね。

そういえば、沖縄出身のレゲエユニット、U-DOU&PLATYが
この囃子とメロディを取り入れた『ミーミンメー』という曲を発表しています。
Posted by kta at 2007年07月02日 10:37
先日のライブでみんなでこの曲をやってきました。

今回はデイケアセンターで車椅子や足腰の弱った方も多かったので、カチャーシーは無理があったので振りがあるこの歌は楽しんでもらえたと思います。

双方通行が沖縄音楽の楽しみですものね。

ライブの模様ブログにアップしましたのでトラックバック張らせて頂きました。
Posted by POCHI at 2007年07月02日 23:21
ktaさん
情報ありがとうございます。
大里村古堅の「豊年祭」に残っているのですね。
ひさしぶりに友人の書いた記事を読ませてもらいました。
こどもたちがかわいかった。
Posted by せきひろし at 2007年07月03日 06:01
POCHIさん
ブログ拝見しました。
がんばっておられますね~
ご近所ですね。

シーヤープーの替え歌で
「ぼけない小唄」というのを神谷幸一さんが歌っています。
これもおもしろいですよ。

またブログも読ませてもらいます~
Posted by せきひろし at 2007年07月03日 06:03
はじめまして。
たるーさん。
三線の練習しながら、歌詞の意味がわからないときとか、
すごく助かっています、ありがとうございます。

私は奈良で三線のサークルに入っています。

今度、秋のイベントで、この曲をみんなで演奏することに。

「みるくゆがふ」がテーマです。
でも、難しい。

困っています、正直。
テーマが広範すぎて。

けれど、できる範囲で沖縄への思いを奈良や関西の人に
伝えたいと思います。

たるーさんの、このサイトにはいつも、お世話になっているので
一度、感謝の意を表したいと思い書き込みました。

この曲は、イベントで演奏するのですが、
童唄として、子どもと楽しく触れ合いたくなる感じなので、
子どもたちと歌いながら演奏できたら、いいなと思っています。

参考にするべき演奏、などあれば、おしえていただけませんでしょうか。
Posted by まつ at 2010年05月25日 01:48
まつさんコメントありがとうございます。

唄の意味を伝えることは非常に大事ですね。

ただ、いつも書いていますがすべて「理解」できるわけではないと心得て
伝えていけるところは伝えていく、ということが大事ではないかとも思います。

このサイトをひとつの参考になさって、さらにいろいろな方からご意見を伺われることを希望しています。
がんばってくださいね。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by たる一たる一 at 2010年05月30日 13:51
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。