2007年09月23日

読谷山宮古根

読谷山宮古根
ゆんたんざ なーくにー
yuNtaNza naakunii
読谷山 宮古根
語句・ゆんたんざ 読谷村は1946年まで「読谷山」(ゆんたんざ)と呼ばれていた。


唄三線 照屋政雄


一、読谷山アバ小 肝持ちのゆたさ(ヨー) 志情けもゆたさ 思い深さ(ジントーナー)
ゆんたんざ'あばぐわ ちむむちぬゆたさ しなさきん ゆたさ 'うむいふかさ
yuNtaNza 'abagwa chimu muchi nu yutasa shinasakiN yutasa 'umui hukasa
読谷山(の)姉さん 心持ち(方)がなんと結構なことよ! 志情けも結構だ! 思い(の)深さ
語句・あばぐわ 姉さん ・ちむむち 「肝」(ちむ)は、大和口に直し難い言葉の一つ。辞書には①肝、肝臓②心 心情〔kukuru[心]より多用される〕(琉)とある。もとは「肝 kimo」(k→ch,mo→mu )chimuという変化したもの。一般的な「心」より、良心的な「心」、相手への思いやり、優しさを重視したものに聞えることが多い。「ちむむち」とはまさに、そういう心のあり方と指していると思われる。 ・ゆたさ なんと結構なことよ! <ゆたさん(形) 宜しい 結構な 形容詞の体言止めは「なんと・・・なことよ!」と感動を表す。


二、読谷山アバ小 水汲むるアバ小 腰小のしゅらさ 二才が惚らち
ゆんたんざ'あばぐわ みじくむる'あばぐわ がまくぐわぬしゅらさ にせがふらち
yuNtaNza 'abagwa  miji kumuru 'abagwa gamakugwa nu churasa nise ga hurachi
読谷山(の)姉さん 水汲む姉さん 腰のかわいらしいことよ!青年を惚れさせて
語句 ・がまくぐわ 腰  「腰小 がまくぐわ」に「腰つきの良い美人」という言い方もあるが、ここでは体の部分を指す ・しゅらさ かわいらしいことよ!・ふらち 惚れさせて <ふりゆん 惚れる +しゅん 使役 惚れさせる の接続形 ふらち  


三、読谷山アバ小 芋掘ゆるアバ小 くんだ小も できて ちび小ぶててぃ
ゆんたんざ'あばぐわ んむふゆる 'あばぐわ くだぐわん でぃきてぃ ちびぐわ ぶててぃ
yuNtaNza 'abagwa 'Nmu huyuru 'abagwa kuNdagwaN dikiti chibigwa buteti
読谷山(の)姉さん 芋掘る姉さん ふくらはぎも上出来 お尻(は)太って
語句。くんだぐわ ふくらはぎ ・ぶててぃ 太って <ぶてーゆん 太る、茂る 繁栄する。
 

四、読谷山アバ小 我んね 草刈や小 草刈や小 やしが まじゅな遊ば
ゆんたんざ'あばぐわ わんねくさかやぐわ くさかやぐわやしが まじゅな'あしば 
yuNtaNza 'abagwa waNne kusakayagwa kusakayagwa yashiga majyuna 'ashiba
読谷山(の)姉さん 私は草刈り人 草刈人だけど 一緒にに遊ぼう
語句・まじゅな 一緒に <まじゅん 一緒(に)


五、読谷山アバ小 薪取いなじき 二才小達と 連れて遊しびふりて
ゆんたんざ'あばぐわ たむんとぅいなじき にせぐわたとぅちりてぃ 'あしびふりてぃ
yuNtaNza 'abagwa tamuN tui najiki nisegwata tu chiriti 'ashibi huriti
読谷山(の)姉さん 薪取りは口実 青年たちと連れて遊び(に)興じて
語句・なじき ふり 口実 ・ふりてぃ  <ふりゆん 惚れる 気に入る 気が狂(ふ)れる(琉) 面白く訳するなら「遊び狂って」



かいされー


一、読谷山アバ小 目笑小のしゅらさ 思出しばめぐる(アネ ジントーヨー)通いぶさん
ゆんたんざ'あばぐわ みわれぐわぬしゅらさ 'うみ'んじゃしばみぐる かゆいぶさん
yuNtaNza 'abagwa
読谷山(の)姉さん 微笑のかわいらしいことよ!思い出せばめぐる 通いたい
語句・みわれぐわ 微笑み <みーわれーぐわー mii(目)waree(笑)gwaa(小) 
 

二、読谷山アバ小 遊びぶさあても 親の目の光ちゃて 自由ならんね
ゆんたんざ'あばぐわ 'あしびぶさ'あてぃん 'うやぬみぬふぃちゃてぃ じゆならんね
yuNtaNza 'abagwa 'ashibibusa'atiN 'uya nu mi nu hwichati jiyunaraN ne
読谷山(の)姉さん 遊びたい(と思って)も親の目が光って自由ならんみたい
語句・ふちゃてぃ 光って <ふぃちゃゆん 光る ・ね ように みたい <ねー 助詞。比喩の意味で 終止形につく (・・する[した])よう[みたい]に (琉)


三、読谷山アバ小 三線小の鳴りば 肝も肝ならん 出て行ちゅんど
ゆんたんざ'あばぐわ さんしんぐわぬなりば ちむんちむならん 'んじてぃ'いちゅんど
yuNtaNza 'abagwa saNshiNgwa nu nariba chimuN chimu naraN 'Njiti 'ichuN do
読谷山(の)姉さん 三線が鳴れば 気が気でない 出ていくぞ
語句・ちむんちむならん 気が気でない 慣用句で「与那国ションカネー」にもある。


四、読谷山アバ小 うち惚れて我身や 通るがな通る 恋のアブシ
ゆんたんざ'あばぐわ 'うちふりてぃわみや かゆるがなかゆてぃ くいぬあぶし
yuNtaNza 'abagwa 'uchihuriti wami ya kayuruganakayuti kui nu abushi
読谷山(の)姉さん(に)惚れて私は通うだけ通って恋の畦(道)
語句・あぶし 畦(道) 


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いつもの照屋政雄さんとは違う声のトーン。

歌詞が、すべて「読谷山アバ小」で始まる、読谷の女性を歌い上げたもの。
「芋堀い宮古根」にもあるように、アバ小は「芋堀り」、私は「草刈り」という設定が面白い。

親の目をぬすんで、アバ小は青年たちと遊ぶ。
私は、彼女にほれている。
三線の音が聞えると気もそぞろになる娘。
私は通えるだけ通う。
さて、恋の結末は・・・

読谷は夜は海風が心地よい、丘のようになったところからは、海が見下ろせる。
「いちゅび小」にでてくる毛遊びの名所 「喜名の番所」は、この読谷山(かつてはこう呼んだ)の番所のこと。
読谷の中心地だったようだ。
毛遊びの名所でもあったようだ。


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Posted by たる一 at 09:48│Comments(5)や行
この記事へのコメント
ナークニー続けていただけて嬉しいです。

そういいば、ザ・フェーレーの「アラ!不思議ナークニー~カイサーレー」は意味はわからないけど大笑いしてしまいました。
 
Posted by POCHI at 2007年09月24日 22:51
POCHIさん
ナークニー、これからも、いろいろ載せていきますね。
あれものせたい、これものせたい気持ちをおさえつつ。。

その「アラ!・・」の歌詞はお持ちですか?
Posted by せきひろし at 2007年09月26日 06:04
歌詞は持っていないのですが、入手は可能だと思います。

もし宜しければ・・・。
Posted by POCHI at 2007年09月27日 01:06
歌詞は持っていないのですが、入手は可能だと思います。

もし宜しければ・・・。
Posted by POCHI at 2007年09月27日 01:06
もしよければ、いただけるとうれしいです。
Posted by 関洋(せきひろし)関洋(せきひろし) at 2007年09月29日 11:59
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