2006年07月09日

アンマ形見の一番着物

アンマ形見の一番着物
'あんまーかたみぬ'いちばんじん
'anmaa katami nu 'ichibaNjiN
母さんの形見の一番着物


一、アンマー匂ひぬ残とんど昔アンマーが糸つぃなぢ 藍染め紺染めの着物つぃくて肩にかきたる一番着物
'あんまーにうぃぬぬくとーんど 'んかし'あんまーが'いとぅちなじ'あいずみくんずみぬちんちゅくてぃ かたにかきたる'いちばんじん
'aNmaa niwi nu nukutooN doo 'Nkashi 'aNmaa ga 'itu chinaji 'aizumi kuNzumi nu chiN chukuti kakitraru 'ichibaNjiN
お母さんの匂いが残っているぞ 昔お母さんが糸を繋ぎ藍色染め、紺色染めの着物を作り肩にかけた(着た)一番(最初の)着物


二、我んに渡ちぇるこの着物や袖ゆ広げてながみれば 我ったアンマ匂ひの深々と肝に染まゆさ藍の色
わんにわたちぇるくぬちんや すでぃゆふぃるぎてぃながみりば わった'あんまにうぃぬふかぶかとぅちむにすまゆさ'あいぬいる
waN ni watacheeru kunu chiN ya sudi yu hwirugiti nagamiriba wattaa 'aNmaa niwi nu hukabuka tu chimu ni sumayusa 'ai nu 'iru
私に渡したこの着物は袖を広げて眺めればうちのお母さんの匂いのしみじみと心に染めるよ 藍の色


三、うぬ着物着ちょてアンマーが生きちょる姿覚んぢゃち 真心うちこめて織いなちぇる情の着物の美らさよ
'うぬちんちちょーてぃ'あんまーが'いちちょるしがた'うびんぢゃち まぐくる'うちくみてぃ'ういなちぇるなさきぬちんぬちゅらさよ
'unu chiN chichooti 'aNmaa ga 'ikichooru shigata 'ubiNjachi magukuru 'uchikumiti 'uinacheru nasaki nu chiN nu churasa yo
その着物を着ていてお母さんが生きている姿を思い出し 真心込めて織りなした情けの着物の美しさよ


四、アンマーがつぃむぢゃるこの着物や またとねらぬ形見なて 買うてん買うららぬ藍染めのアンマー形見の一番着物
'あんまーがちむじゃるくぬちんや またとぅねらん かたみなてぃ こーてぃんこららん'あいずみぬ'あんまーかたみぬ'いちばんじん
'aNmaa ga chimujaru kunu chiN ya mata tu neeraN katami nati kootiN koraraN 'aizumi nu 'aNmaa katami nu 'ichibaNjiN
お母さんが紡いだこの着物は 二度とない形見であり 買おうとしても買えない藍染めのお母さん形見の一番着物

解説
(語句)

・あんまー 平民のお母さん
士族は あやー('ayaa)
・ちなぢ 繋いで
・ちゅくてぃ 作って


・うぬ その
指示代名詞を書いておく
この くぬ
その うぬ
あの あぬ

・ちむぢゃる 紡いでいる
・こーてん こーららん 買っても買えない

(コメント)
作詞 浦崎芳子
作曲 普久原 恒勇

沖縄で戦後ヒットしたウチナー歌謡曲。
お母さんの匂いがする着物、それを大事にして受け継ごうとする子ども。
島唄も同じではないだろうか。
昔の沖縄民謡に染み付いたアンマーたちのにおい。それは私たちナイチャーには分からない。
けれども、想像は出来る。
ウチの親が洗濯しながら歌っていた歌。もう思い出せないけれど、人間の気持ちは普遍的。沖縄と内地と、アジア、世界と違うわけが無い。
いやいや、ウチナーには独特のものがある、という方も多いかも。
しかし、赤ちゃんとお母さんの関係だけはどこも同じ。

そうではあるが、
こういう歌が歌われるのはウチナーだけの特色だろう。内地ではもうない。

同じカテゴリー(あ行)の記事
アカバンタ
アカバンタ(2022-09-21 09:31)

浅地紺地
浅地紺地(2020-05-17 10:49)

御年日ぬ唄
御年日ぬ唄(2020-05-10 12:56)

親心
親心(2020-02-05 09:08)

恩納ナビー
恩納ナビー(2019-07-10 07:34)


Posted by たる一 at 21:30│Comments(8)あ行
この記事へのコメント
この歌は、『形見』という言葉にどうも目がいくんですが。
本当は、反戦歌かなとか。
Posted by gabaizu at 2006年07月10日 22:57
はじめまして。金魚小と申します。
知らぬ間にカワイイイラストに変わりましたね。
島唄の書きおこしは大変な作業だと思います。書き尽くす(というところまで)まで頑張って下さい。
Posted by 金魚小 at 2006年07月11日 14:51
gabaizuさん
たぶん、この場合の「形見」は、あの「かたみ節」の(恋愛の交歓物)とは違うようです。しかし、母親の形見ということは十分に「戦争の遺物」という意味を含んでいるとは思います。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年07月11日 23:39
金魚小さん
はじめまして。「カワイイ」というのはどうでしょうかねえ。。。おっさんですから(笑)

できればライフワークのようにコツコツとしていきたいと思っています。
またなにか気づきがあれば教えてくださいね。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年07月11日 23:41
ありがとうございます。
私は島唄を聴くのが好きなだけで、とてもお役に立てるとは思えませんが、今後ともよろしくお願い致します。
Posted by 金魚小 at 2006年07月12日 08:59
金魚小さん
私もただ、好きでやっています。
好きって、その道を生きるのに必要な栄養素だと思います。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年07月13日 00:21
初めて沖縄に行ったときにカラオケ行って「お土産代わりに沖縄民謡1曲覚えて帰りなさい」とこの曲を教えてもらいました。
「あんまー」って意味わかる?の問いに「マッサージ?」と言うととてもウケてました。
Posted by ふーちゃん at 2006年07月14日 08:01
ふーちゃんさん
お土産かわりの民謡っていいですね。

こんどそれをやってみましょう。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年07月15日 01:52
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。