2006年01月14日

浦波節

浦波節
'うらなみぶし
'uranami bushi

一、浮世なだやすく渡いぶしゃあらば(よ)誠ゆい他の道や踏むな
'うちゆーなだやしくわたいぶしゃ'あらば(よー)まくとぅゆいふかぬみちやふむな
'uchiyuu nadayashiku watai busha 'araba yoo makutu yui hukanu michi ya fumuna
浮世を心安く渡りたいのであれば 誠より他の道を踏むな


二、誠する人やあとや何時までも 思う事もかなて千代の栄い
まくとぅするふぃとぅや 'あとぅや'いちまでぃん 'うむくとぅんかなてぃ ちゆぬさかい
makutu suru hwituya 'atu ya 'ichimadiN 'umukutu ya kanati chiyu nu sakai
誠をする人は将来は何時までも思う事が叶い千代の栄え



三、情けゆい他に頼むしやねらん ちくじくと浮世思てみれば
なさきゆいふかにたぬむしやねーらん ちくじくとぅ'うちゆー'うむてぃみりば
nasakiyuihukani tanumushiya neeraN chikujikutu 'uchiyuu 'umutimiriba
情けより他に頼むことはない つくづくと浮世を思ってみれば

四、成しば何事んないる事やしが成さぬ故からどならんさらみ
なしばなにぐとぅんないるくとぅやしが なさぬゆいからどぅならんさらみ
nashiba nanigutuN nairukutu yashiga nasanu yui karadu naraN sarami
実行すれば必ず何事も実ることなのに 実行しないせいで実らないであろう

解説
(語句)

・なだやしく 心安く 
 なだやっさん 心安い
・わたい 渡る watariの「r」が抜けたもの。
 ゆい  これも「よりyuri」の「r」が抜けたもので沖縄語には「r」抜けは多い。

二、
・あとぅ 後ろではなく時間的な「あと」つまり将来。


・たぬむし 頼むこと tanumu shi
この「し」は「活用する語の短縮形についてその語を名詞にするような働きをあたえる」


(コメント)
浦波節。
琉球民謡音楽協会のコンクールの最高賞の課題曲のひとつ。
なぜ題名が「浦波」なのかもわからない。
どなたか知っているかたは教えてください。

沖縄の教訓歌をいくつか知るうちに、沖縄の人々の心のなかに「情け なさきnasaki」「誠 まくとぅmakutu」「義理 じりjiri」という本土で暮らす現代人がどこかで置いてきた言葉が多くでてくる。へたをすれば時代劇や任侠の世界でしたつかわれなくなったこれらの言葉は今も沖縄では生きている。(断るが任侠の世界では言葉だけである。肯定しているわけではない)

しかし沖縄では時代の流れか若い人も使わなくなっているであろう、こういう言葉を歌の世界で学ぶことは有意義だ。
教育やマスコミや情報の氾濫するなかで、人が生きていくうえで大事にしてきた教訓がどうして失われていったのだろう。

誠より他の道、それは銭金をもけるだけの道、人をおとしめる道だろうか。
情けより他になにかに頼るとはどういうことだろう。

歌を知ると、昔の人が語りかけてくる。

時代を超えて、人々が伝えようとしたものを受け止めたい。

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Posted by たる一 at 14:36│Comments(2)あ行
この記事へのコメント
たるー兄さん、私も知りたいです。
これは別名『物知節』ですよね。
なんで名前が二つあるのでしょう?
私は金城先生が唄うこの唄がとっても好きです。
Posted by まえこ at 2006年01月15日 23:00
まえこさん
そうです、物知り節。
今度金城先生にうかがってみてくださいな。
Posted by たるー at 2006年01月15日 23:22
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