2005年12月07日

伊佐ヘイヨー

伊佐ヘイヨー
'いさヘイヨー
'isa heiyoo


(男)イサヘイヨー(ハヤシ・以下略)いったー家や まーぬまんぐらが
'いったー やー や まーぬ まんぐらが
'ittaa yaa ya maa nu maNguraga
おまえさんの家は どの辺りか?
語句・いったー 'ittaa  おまえたち。おまえさん。ここではおまえさん。 ・まんぐらmaNgura あたり 辺り。・まーどこ。 まーぬ・・が  どこの・・・か?。


(女)道ぬあじまーゆーなぬ下ど
みちぬ'あじまー ゆーなぬしちゃどー
michi nu 'ajimaa yuuna nu sicha doo
道の四ツ角(にある)ユーナ(の木)の下だよ
(イサヘイヨーヤラシクイクイ・ハヤシ以下略)
語句・あじまー 'ajimaa 四つ角 交差点。・ゆうな 「はまぼう。おおはなぼう。しまはまぼう。黄槿。あおい科の灌木。花は黄色。葉は円形で厚く、農村で食べ物を乗せたり、ちりがみの代用にしたりする」【沖辞】。・やらし 囃子言葉で意味は不明だが、沖縄語辞典では やらしー、「旅の平安を祈る時の踊りの名。日本本土、中国などに旅に出ている人の家で、旅の平安を祈る唄を歌う際、畳を上げ、大ぜいの女が輪を作り、床を踏みとどろかせて回ること。親類中の女が集まって行った」【沖辞】。とある。


(男)津堅とぅ久高とぅ船橋掛きてぃ津堅ぬ美童わたしぶしゃん
つぃきんとぅくだかとぅふなばしかきてぃ つぃきんぬみやらびわたしぶしゃん
thikiN tu kudaka tu hunabashi kakiti thikiN nu miyarabi watashi busaN
津堅(島)と久高(島と)に船橋掛けて津堅(島)の美しい娘を渡してみたいものだ
語句・ふなばしhunabashi 船をつないで橋としたもの。


(男)いったーやーとぅ隣やとてぃ 今日ん明日んかたれぶしゃん
'いったーやーとぅとぅないやとぅてぃちゅーん'あちゃんかたれーぶしゃん
'ittaa yaa tu tunai yatuti cuuN 'acaN kataree bushaN
おまえさんの家と(私は)隣ならば n今日も明日も恋の語らいをしたいものだ


(男)好かんどぅ我んね後なち立ちょーるい
しかんどぅわんね くしなちたっちょーるい
shikaN du waNnee kushi nachi taccoorui
嫌いだからこそ私に背を向けて立ってるのか?
語句・くしなち 背をむけて。

(女)好かのーあらんさ 肝ちゃーがなさぬ(男)あんやりわどぅやる
しかのー'あらんさ ちむちゃーがなさぬ あんやりわどぅやる
shikanoo 'araNsa chimucaaganasanu 'aN yari wa du yaru
嫌いなのではないよ うら寂しい そうであるなら私もだよ
語句・ちむちゃーがなさんぬ<ちむちゃーがなさん  「 うら悲しい、さみしい」【沖辞】

男女の掛け合い歌。コンビ歌ともいう。
続けて「ちらし」に「揚デンサー節」を歌う。

我如古弥栄が作った歌劇「泊阿嘉」(とぅまいあーかー)の劇中歌として歌われた。
この歌劇は、主人公「樽金」(たるがにー)と「鶴」(ちるー)の悲恋物語。
浜下りにきていた鶴を一目惚れした樽金は99日鶴の家に通い、恋仲となるが樽金の父が恋に没頭する息子の将来を案じて伊平屋島勤務を命ずるが、その間に鶴は病死、その死を後に知った樽金も死ぬという悲恋がテーマ。

沖縄三大歌劇(「奥山の牡丹」「伊江島ハンドー小」を加えて)とも、四大歌劇(「薬師堂」を加えて)とも言われるほど人気がある。

この「伊佐ヘイヨー」には、「いさへいよー」「やらしくいくい」などの囃子言葉が特徴的であるが、意味は上述したように意味は不明。

歌劇「泊阿嘉」の中で、「鶴」の家が「伊佐殿内」(いさどぅんち)が関係しているのかもしれない。

チラシの「デンサー節」は八重山民謡であるが、この「伊佐ヘイヨー」の元歌がどのようなものだったのか、オリジナルなのかわからない。

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Posted by たる一 at 21:22│Comments(7)あ行
この記事へのトラックバック
結局、土曜と日曜で「伊佐ヘイヨ」を200回くらい聞きました。流しっぱなしで、じっくりじゃないけど…^_^;やっと、唄と三線のアウトラインを覚えてきました。ふぅ〜(-_-;)(脳が…)...
イサヘイヨぉ〜【海翁】at 2006年03月06日 12:30
この記事へのコメント
びっくりしました。すごく勉強してるようですね。私も島唄、民謡大ファンで日々勉強してます。実は今月中旬よりFMなはにて島唄の番組をネットでどこからでもアクセスできるようになります。内容は私の師匠の小浜司氏による島唄解説、歴史その唄者について語っていだだき、島唄イベント情報、大御所、若手唄者をスタジオに招きトークを楽しむ30分番組。FMなはのHPから入れますよ。広島では沖縄芸能などが数多く活動してるときています。たるーさん来沖の際は是非、島唄を多くの人聴いてもらいましょう。
Posted by べーやん at 2005年12月09日 00:41
べーやんさん、コメントありがとうございます。
島唄ブームといわれながら、島唄の良さはなかなか伝わらない現状があります。
古い曲は当然ですが、本土の方は見向きもしない方もいます。一方で、ポップスなどは聴きやすく、歌詞も分かりやすいから、どうしてもそちらに流れるのでしょう。
でも、そういう方にも知ってもらいたい良さがあります。
琉歌は、短い八八八六という形式に思いを畳み込みます。「詰め込む」ではありません。驚くほどコンパクトに、そして情感を残して。こういうセンスは世界に誇れるものです。
日本の俳句や和歌もそうです。
その中に世界があります。
私はそういう島歌にほれました。
Posted by たるー at 2005年12月09日 00:55
こんにちは。
教室で新しい課題曲を頂いたので、懲りずに日記にしております。
相変わらずふざけた内容で申し訳ありませんが、引用させていただきましたのでTBさせていただきました。よろしくお願いします。

しかし、初心者の私にとって、この唄は難しいです。
でも、何度も何度も繰り返し聞いて
たるーさん(失礼!)の訳を拝見して
だんだん好きになってきました。
最初は聴き難さを感じていたのですが今は頭の中を駆け回っています。(笑)
Posted by 海翁 at 2006年03月06日 12:40
海翁さん、コメントありがとうございます。
好きになること、これに勝る歌の秘訣はありませんね。
しかし、意味の分からない曲でも、不思議に惹かれる曲というものもあります。メロディーに惹かれるのでしょうか。

「意味がわからんのに歌えるのか?」といわれると
「そうですねえ」
と答えるしかありません。
でもどちらでも「好き」に変わりはありません。
今後ともお役にたてれば嬉しい限りです。
Posted by たるー at 2006年03月06日 18:02
意味、わからないで聴いてたのばかりです。
恥ずかしい。
いつも勉強ですね。

いい解説を毎日ありがとうございます。
とてもためになっています。

沖縄の先人達に感謝致します。
ヤマトの私達が、琉球から学ばせて頂いています。
ありがとうございます。
かりゆしでーびる。
Posted by gabaizu at 2006年03月07日 22:32
gabaizuさんコメントありがとうございます。
意味がわからず聞いていたのは私も同じですよ。
ずっと人の訳に頼り、納得しながらも落ちないものもありました。
ほんとうに教えられることばかりですね。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年03月08日 06:28
加筆、訂正しました。
Posted by たる一たる一 at 2013年01月14日 22:41
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