2005年11月08日

由絃の謡

由絃の謡
ゆいげんぬ 'うた
yuigeN nu 'uta

作詞 上江州由孝 
作曲 普久原恒勇



一、唄と三味線や 心明がらす 御真人も嬉しゃ (ハイヤ)我胴も嬉しゃ
'uta tu saNsiNya kukuru 'akagarasu 'umaNcuN 'urisya (haiya)waduN 'urisya
'うたとぅ さんしんや くくるあかがらす 'うまんちゅん 'うりしゃ (はいや)わどぅん 'うりしゃ
唄と三線は心明るくする 万人も嬉しいことよ! 私もうれしいことよ!
語句・'うまんちゅ 人民。 万人。 ・うりしゃ <うりしゃん うりさん 嬉しい。口語では「うっしゃん」「うっさん」。 ・わどぅ <わーどぅー <わー 私。+ どぅー 体。自身。 私自身。 


二、唄情けてぃしや 節々に込めて 誠義理情け 人に込めて
'utanasaki tisiya husibusini kumiti makutu zirinasaki hwitu ni kumiti
'うたなさきてぃしや ふしぶしにくみてぃ まくとぅじりなさき ふぃとぅにくみてぃ
唄情けというものは節々に込めて 誠義理情けは人に込めて
語句・てぃし というもの。ということ。 ・ふしぶし 曲々。


三、梅桜蘭の匂い染みるごとに 唄情け心 肝に染めて
'NmisakuraraNnu niwii sumirugutuni 'utanasakigukuru cimuni sumiti
'んみさくららんぬ にうぃすみるぐとぅに 'うたなさきぐくる ちむにすみてぃ
梅桜蘭の匂い染みるように 唄情け心は心に染めて
語句・にうぃ 匂い。発音に注意したい。「にうい」niui ではなく「にうぃ」niwi である。沖縄口では「ui」と「wi」をきちんと区別する。


四、節や三味線に 声や吟立てて 由絃の歌声 世界に知らさ
husiya saNsiN ni kuiya ziNtatiti yuigeNnu 'utagui sikee ni sirasa
ふしやさんしんに くいやじんたてぃてぃ ゆいげんぬ 'うたぐい しけにしらさ
節(曲)は三線に 声は吟立てて(歌声を響かせて)由絃會の歌声世界に知らせたい
語句・ふし 曲。 ・ 主格をあらわす「や」 は。 ・じんたてぃてぃ いわゆる「吟じる」の「ぎん」であろう。「たてぃてぃ」<たてぃゆん は色々な意味に使われる言葉で、(標準語でも同じ。「旅にたつ」「煙がたつ」「匂いたつ」などなど)「吟立てて」とは、歌声を響かせる、ような意味だろう。

解説

由絃會の会歌。

会を主宰する上江州由孝先生の作詞。あの普久原恒勇氏の作曲。
曲の最後に瀧落としのような三線の合奏インストゥルメンタルが大変面白い。
大勢でやると壮観だ。

2番の、歌情けは節に込めて、誠の義理情けは人に込めなさいという歌詞が好きである。唄を歌うものの心得、唄がうまければいい、芸能にたけていればいいということではなく、実際の生活において、人と人との関係を大事にすることがもっとも大事なのだ、といわれているように受け取る。

歌の道を志すものが心にとめておきたい心がけが歌われている。



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Posted by たる一 at 23:02│Comments(3)や行
この記事へのコメント
はいさい、ろくです。

先日お話したとおり、先生のブログへリンクを張らせてもらいました。ここは勉強になりますね。あれだけの文章をこつこつと入力されるというのは、ご自身が学ぶ場でも有るんでしょうか・・

さて、新しい教室もスタートしたのですが、僕自身沖縄民謡にどっぷりとはまってみるつもりです。 これからもよろしくお願いします。
Posted by ろく at 2005年11月10日 22:38
はいさい ろくさん
いらっしゃいませ。もちろん自分が学ぶためのブログです。
知っているようで知らないことはたくさんあります。
唄の世界の奥の、奥の、奥を見てみたい。

どっぷりとはまってくださいね。
Posted by たるー at 2005年11月11日 00:20
すこし加筆しました。

明日のおさらい会で、みなさんとこれをやります。
いい唄です。
Posted by たるー(せきひろし)たるー(せきひろし) at 2009年02月14日 08:22
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