2012年03月11日

島情話

島情話
しまじょうわ
shima jyoowa
島情話
語句・しま この唄では「伊江島」が舞台となっている。「しま」はウチナーグチで「村」「故郷」「島」などの意味があり「村」の意味に使われることが多い。


作詞 作曲/松田 弘一 

一 染みなちゃる里が生まり島伊江島 志情きゆ頼てぃ渡てぃ来ゃしが
すみなちゃるさとぅがんまりじまいーじま しなさきゆたゆてぃわたてぃちゃしが
suminacharu satu ga 'Nmari jima 'iijima shinasaki yu tatiti watati chashiga
心寄せたあの方の生まれた里伊江島 情けを当てにして渡って来たけれど
語句・すみなちゃる 「染める」という意味の「すみゆん」から。<すみなしゅん  染め馴れる、つまり心を寄せる関係のこと。  を。本来沖縄語の口語では「を」を用いないが、琉歌などの文語ではよく使われることがある。


二 島村ぬ屋敷 尋にやい来りば 里や肝変わてぃ すそんすゆみ
しまむらぬやしち たずにやいくりば さとぅやちむかわてぃ すそんしゆみ
shimamura nu yashichi tazuniyai kuriba satu ya chimu kawati susoN suyumi
村のお家を訪ねて来ると あの方は心変わりして私を粗末にできるのかしら
語句・すそん <すそー。「粗略」【琉辞】。すそーん。「粗末にするさま」【琉辞】。


三 夫婦ならんでぃぬ 云語れやさしが 振り捨てぃてぃ行きば 我んや如何すが
みーとぅならんでぃぬ いかたれやさしが ふりしてぃてぃいきば わんやちゃすが
miitu naraNdi nu 'ikataree ya sashiga hurishititi 'ikiba waN ya chasuga
夫婦になろうといって将来を語ったのに 私を振り捨てて行くのなら私はどうするのか


四 誰に語らりが 誰に頼らりが 船頭主に 事ゆ語てぃ
たるにかたらりが たるにたゆらりが しんどーすーに くとぅゆかたてぃ
taru ni katarari ga taru ni tayurari ga shidoo suu ni kutu yu katati
誰に語ることができようか 誰を頼りにできようか 船頭主に事情を語って
語句・ ・・かしら。・・ようか。疑問の係助詞で、自問文のなかで「疑問箇所を強調する文中助詞」【琉辞】。


五 白玉ぬ露とぅ 散り果てぃる心 城山登れ 涙びけい
しらたまぬちゆとぅ ちりはてぃてぃるくくる ぐしくやまぶぶれ なみだびけい
shiratama nu chiyu tu chirihatiru kukuru gushikuyama nuburee namida bikei
死んで白玉の露のように散り果てる心 城山を登ると涙ばかりこぼれて
語句・ぬぶれ 登ると。登れば。<ぬぶれー <ぬぶゆん 登る。ぬぶり(已然形)+わ(ば)が融合したもの。・びけい ばかり。「びかーん」「びけーん」などという場合もある。「びけい」は文語。 


六 戻る道ねらん 肝ん肝ならん 慣りん他所島ぬ 土がなゆら
むどぅるみちねらん ちむんちむならん なりんゆすじまぬ ちちがなゆら
muduru michi neeraN chimuN chimu naraN nariN yusu jima nu chichi ga nayura
戻る道もない 心もボロボロで 慣れない他所の村の土になるのかしら
語句・ちむんちむならん 直訳では「心も心にならない」。「心」すなわち精神が全く安定しない、「ぼろぼろ」の状態。よく使われる。・ちちがなゆら 死んで土になるのかしら。

「伊江島ハンドー小」という歌劇をモチーフに松田弘一氏が作詞作曲した情歌(なさきうた)。

この歌劇は真境名由康によって作られた。
辺土名のハンドー小が伊江島の加那と恋仲になったが、実は島には妻がおり、加那を頼って伊江島に渡ったハンドー小はそこで無碍に扱われ、失意のうちにタッチューと呼ばれる城山で自殺し、その怨念か加那の一族も滅んでしまうというストーリー。

この曲は、二見情話のように「五」「乙」「中」を♭にした音階で構成。




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Posted by たる一 at 11:20│Comments(2)さ行
この記事へのコメント
島情話の2番の歌詞の意味ですが、島村ぬ屋敷の島村は固有名詞の
島村家という意味と理解しておりましたが、間違いでしょうか?
この歌は、沖縄三大悲劇の「伊江島ハントウー小」を題材にして作られたと聞きました。その中で、ヒロインの恋する男は、島村家の息子で、その島村家を訪ねたら冷たくあしらわれて、タッチューで自殺してしまい、そして、島村家はヒロインの怨霊で没落するというストーリーと聞いております。
Posted by NIIMURA SHOHEI at 2014年12月30日 23:57
NIIMURA SHOHEIさん
コメントありがとうございます。

おっしゃる通りです。
島村ぬ屋敷、島村家の屋敷に違いないですね。

訂正いたします。

にふぇーでーびたん。
Posted by たる一たる一 at 2015年01月02日 10:55
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