2010年07月18日

移民口説

移民口説
'いみんくどぅち
'imiN kuduchi

[この歌詞は前編大和口でつくられている。アルファベット表記、発音記号は省略する。作者は普久原朝喜だといわれている。歌詞参照;「沖縄民謡大全集」]


一、ひとつ開くる此の御代は四海同胞睦まじく共に稼ぐも面白や
ひとつひらくるこのみゆにしかいどーもんむつまじくともにかせぐもおもしろや


ニ、二つ二親兄弟と別れてはるばると八重の潮路を押し渡り
ふたつふたおやきょうだいとわかれわかれ はるばると やえのしおじをおしわたり


三、三つみ国と我が家の富を増さんと雄々しくも尋ね尋ねて此の国に
みっつみくにとわがいえのとみをまさんとゆゆしくもたずねたずねてこのくにに


四、四つ夜昼時の間も忘るまじきは父母の国馴れし古里沖縄よ
よっつよるひるときのまもわすれまじきはふぼのくになれしふるさとおきなわよ


五、五つ幾年経るとても親に便りを怠るな親に孝事を忘れるな
いつついくとしへるとてもおやにたよりをおこたるなおやにこーじをわすれるな


六、六つむつびて働けよ金は世界の廻り持ち稼ぐ腕には金がなる
むっつ むつびてはたらけよ かねはせかいのまわりもちかせぐうでにはかねがなる


七、七つ那覇港の桟橋に別れ告げたるあの心いかで忘るる事やある
ななつ なはこーのさんばしでわかれつげたるあのこころいかでわするることやある


八、八つ山より尚高き立てし志望の一筋は岩をも貫く覚悟あれ
やっつ やまよりなおたかきたてししぼーのひとすじはいわをつらぬくかくごあれ


九、九つ心は張弓の緩むことなく他の国の人に勝りていそしめよ
ここのつこころははりゆみのゆるむことなくたのくにのひとにまさりていそしめよ


十、十と所は変われども稼ぐ心は皆一つエイ錦飾らん古里に親の喜び如何ばかり
とーとところはかわれどもかせぐこころはみなひとつ えい にしきかざらんふるさとにおやのよろこびいかばかり

沖縄から移民した人々の、あるいは移民にむけた思いを素朴な大和口で表現している。
1900年ぐらいからハワイ、南米などへの移民がはじまっていった。

この曲は「沖縄民謡大全集」によると昭和10年頃の収録で、この時の唄三線は宮城輝忠(こんちゅう)、ギターは普久原朝喜、バイオリンは渡慶次憲行。

移民の人々の思いをえがいた唄で有名なものに「移民小唄」があるが、この「移民口説」がベースになっているといわれ、作者も同じ普久原朝喜であろうと推測されている。

CD『生命燃えるうた 沖縄2001』の[Disc3]に知名定男さんが歌う「移民口説」があるが以下の下線部の歌詞が異なっている。


五、五つ幾年経るとても親に孝事を忘れるな親に便りを怠るな
→(上記の唄)「親に便りを怠るな親に孝事を忘れるな」

六、六つむすんで働けよ金は世界の廻り持ち稼ぐ腕には金がなる
→「むつびて」

七、七つ那覇港の桟橋に別れ告げたるあの心いかで忘るる事はなし
→「やある」

九、九つ心は張弓の緩むことなく他の国の人に勝りてはたらけ
→「いそしめ」

十、十は所は変われども稼ぐ腕には皆一つ エイ 錦重ねて帰るとき親の喜び如何ばかり
→「心は」

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Posted by たる一 at 10:04│Comments(0)あ行
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