2007年09月30日

ソーキ骨不足

ソーキ骨不足
そーきぶにふすく
sookibuni husuku
あばら骨(が)足りない
語句・そーきぶに あばら骨 <そーき あばら +ふに 骨 連濁で「ぶに」


作詞 田場典明  作曲 我如古 盛栄


一、ゆまんぐぃになりば 心うかさりて 与所目かくりやい ズリ小ゆびが
ゆまんぐぃになりば くくる'うかさりてぃ ゆすみかくりやい ずりぐわゆびが
yumaNgwi ni nariba kukuru 'ukasariti yusumi kakuriyai zurigwa yubi ga
夕暮れになれば(なったので) 心うきうきして他人(の)目隠れて女郎買いに
語句・ゆまんぐぃ 夕暮れ 夕まぐれ ・うかさりてぃ うきうきして <うかさりゆん うきうきする ・ずり 女郎 「じゅり」とも発音する。(琉)には「“女郎”系ではなく九州諸方言[鹿児島でヂョーリ〔料理〕の影響らしい。“尾類”は単に表音のための当て字] ・ゆびが 買いに <ゆぶん 呼ぶ 招く 特に「ずり」「じゅり」の場合は金銭が発生するので「買う」と訳す。+ が ・・のために


アイエーフンヌヤー ソーキ骨不足
'あい'えー ふんぬやー そーきぶにふすく
'ai 'ee huNnu yaa sooki buni husuku
あら、おい 本当だねえ あばら骨(が)足らない


二、あねひゃみまゆ小とガマク小にふりて チブイかなぎやい とぬじ来しが
'あぬひゃ みまゆぐわとぅ がまくぐわにふりてぃ ちぶいかなぎやい とぅぬじ ちゃしが
'anuhya mimayugwa tu gamakugwa ni huriti chibui kanagiyai tunuji chashiga
あいつ目眉(美人)と 腰(美人)に惚れて 尻からげて 飛び出して来たのだが
語句・あぬひゃ あいつ ・みまゆぐわ 目眉(美人) 「みーまゆ」は「目眉」つまり表情、顔つきの意味。「ぐわ」がつくと、目眉そのもの、という意味と「目眉美人」という意味がある。・ がまくぐわ 腰つき美人 ・ちぶいかなぎやい (着物の)尻からげて <ちぶいからぎゆん 着物の裾を折りからげること(沖) ・とぅぬじ 跳ねて <とぅぬじゅん 跳ねる すっ飛ぶ(琉) [とぅんじゅん]ともいう。  


三、銭高にあてて ひつる三味線や チンダミんかわて 取てん足らん
じんだかに'あてぃてぃ ふぃちゅるさんしんや ちんだみんかわてぃ とぅてぃんたらん
jiNdaka ni 'atiti hwichuru saNshiN ya chiNdamiN kawati tutiN taraN
金額に応じて弾く三線は 調弦も変わって(金を?)取っても足らない
語句・じんだか 金額 ・ちんだみ 調弦  一説では ちるー (絃) + たみし <たみしゅん (試す) → ちるだみし → ちんだみ。



四、銭ぬある間や かなし思里前 銭ぬねんありば すそんかろん
じんぬ'あるいぇだや かなし'うみさとぅめ じんぬねん'ありば すそんかろん
jiN nu 'aru yeda ya kanashi 'umisatume jiN nu neN 'ariba susoNkaroN
お金のある間は 愛しい貴方様 お金が無くなると 粗末にする
語句・ねんありば 無くなると <ねん <ねーん 無い + あり<あん 活用語尾として ・・した の意味。「接続[音便]語幹に付いて過去終止形を作る;ヤマト語の過去のタ[ダ]が“テアリ”の縮約であるのと同様、この-anも'an[アリ]に由来する」(琉) ・すそんかろん 粗末にするさま <すそーんかろーん <すそー 粗略


五、銭ぬねんありば 夜中あとやてん 靴やひざぎやい んじりんじり
じんぬねんありば ゆなか'あとぅやてぃん ふややふぃさぎやい 'んじり 'んじり
jiN nu neN 'ariba yunaka 'atuyatiN huya ya hwisagiyai 'Njiru 'Njiri
お金が無くなれば 夜中(の後)であっても 靴をひっさげて 出ていけ 出ていけ
語句・んじりんじり 出ていけ 出ていけ <'んじゆん 出る 命令形 


六、ズリぬ家に行つし ソーキ骨不足 銭や使け果てて あわりびけじ
ずりぬやに'いちゅし そーきぶにふすく じんやちけはてぃてぃ 'あわりびけい
zuri nu ya ni 'ichushi sookibunihusuku jiN ya chikehatiti 'awaribikei
女郎の家に行くこと(は) あばら骨足らない お金は使い果てて哀れなほど
語句・ ・・こと 「活用語の下略形に付き体言[名詞]化する準体助詞[形式体言]」(琉) ・びけい ほど  < びけーい ①ばかり②ほど(琉) また「びけーい」「びかーん」びけーん」「びけい」という言い方がある。ここの「びけじ」とあるのは不明。


七、あわり苦しでん 変わるくとねらん 何時んままなゆる 我妻がなし  ソーイッチャラヤー ソーキ骨不足
'あわり くるしでぃん かわるくとぅねらん 'いちんままなゆる わんとぅじがなし そー'いっちゃらやー そーきぶにふすく
'awari kurushidiN kawarukutu neraN 'ichiN mamanayuru waNtuji ganashi soo 'icchara yaa sookibunihusuku
かわいそうに 苦しんでも変わることない 何時も自由になる私の奥様 そう あらー あばら骨足らない
語句・あわり かわいそうに! 名詞より間投詞として「ああ、かわいそうに!」と訳した。・いちんままなゆる 何時も自由になる ・わんとぅじがなし 私の奥様 「かなし」は敬意を持って琉球の王を「首里天加那志 shuitiNganashi」(首里の国王様)といった言葉から。 ・そーいっちゃらやー そう あらー <いっちゃー おや あらまあ 間投詞 女性語 



男性が女性より、一本あばら骨が足らない。
男の「愚かさ」を意味する「そーきぶにふすく」という沖縄の言葉からできた唄。

お金を握って遊郭に行く男の様子が滑稽に歌われる。
作詞が男性だから、今で言う「自虐ネタ」だ。

こっそり人目忍んで女郎遊びに行く。あれこれ気が多い尻軽い男。
女郎はお金目当て、金があれば大事にするが、無くなれば靴を持って出て行け!と言う。
かわいそうな男よ、最後は女房に泣きすがる ああ、あばら骨足らない奴。。

そういえば、キリスト教では男は肋骨が一本足りないという。
アダムの肋骨からイブが作られたというからだ。
しかし実際は男女とも同じ12対なんだそうだ。

数えてみますか?
あなたの肋骨。
もしかしたら一本足りないかも。。。

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Posted by たる一 at 11:05│Comments(0)さ行
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