与論小唄

たる一

2008年12月13日 09:39

与論小唄
よろんこうた
yoroN ko uta
(意味略 以下同じ)


木の葉みたいな我が与論 何の楽しみないところ
konoha mitaina waga yoroN naN no tanoshimi nai tokoro
好きなあなたが居ればこそ 嫌な与論も好きとなる
sukina anata ga ireba koso iyana yoroN mo sukito naru


思えば去年の今頃は 与論赤碕海岸で
omoeba kyoneN no imagoro wa yoroN akasaki kaigaN de
共に手を取り語りしが 今は別れて西東
tomo ni te wo tori katarishiga ima wa wakarete nichihigashi


私が貴方を思う数 山の木の数星の数
watashi ga anata wo omou kazu yama no ki no kazu hoshi no kazu
三千世界の人の数 千里浜辺の砂の数
saNzeNsekai no hito no kazu seNri hamabe no hoshi no kazu


あなたあなたと焦がれても あなたにゃ立派な方がある
anta anata to kogaretemo anatanya rippana kata ga aru
いくら私が焦がれても 百合ヶ浜辺の片思い
ikura watashi ga kogaretemo yurigahamabe no kata omoi


飛んで行きたいあの島へ 飛んで行くには羽がない
toNde ikitai ano shima e toNde iku niwa hane ga nai
歩いて行くには道がない 星空ながめて泣くばかり
aruite iku ni wa michi ga nai hoshizora nagamete nakubakari


思ったばかりじゃいけません いつか貴方と話する
omotta bakarija ikemaseN itsuka anata to hanashi suru
話ばかりじゃいけません いつか貴方と縁むすぶ
hanashi bakarija ikemaseN ituka anata to eN musubu


(NHK「ジャッジⅡ」より)

木の葉みたいなこの与論 何の楽しみないところ
konoha mitaina kono yoroN naN no tanoshimi nai tokoro
想い願いは幾度なく 会えぬ月日は幾日か
omi negai wa ikudonaku aenu tsukihi wa ikunichi ka


泣いて暮らすも50年 笑って暮らすも50年
naite kurasumo gojuuneN waratte kurasumo gojuuneN
泣いて暮らすも笑うのも 心ひとつのおきどころ
naite kurasumo waraunomo kokoro hitotsu no okidokoro


五十、六十が蕾なら 七十、八十は花ざかり
gojuu rokujuu ga tsubomi nara shichijuu hachijuu wa hanazakari
私の人生これからと希望の花をさかせましょう
watashi no jinsei korekara to kibou no hana wo sakasemasyou



与論小唄をとりあげた。

歌詞は、100%近くヤマト口である。
一部ウチナーグチを残した部分があるがウチナーグチを知らなくても理解は容易だ。

たとえば下の歌詞中、下線の「しが」のみウチナーグチである。

思えば去年の今頃は 与論赤碕海岸で
共に手を取り語りしが 今は別れて西東

与論小唄は、その名前の通り与論島の歌である。
標準語で歌われるのは理由がある。

「島うた紀行」などによると、明治の末に日本で流行した「ラッパ節」をもとに歌詞を載せている。
その歌詞は、明治末期の台風の影響で壊滅的打撃を受けた与論島の人々が長崎へ集団疎開をし、
炭鉱で重労働だけでなく差別も受ける。その頃流行した「ラッパ節」に想いを載せて「与論小唄」が
生まれたという。
当初は「与論ラッパ節」といわれた。
それが本土にも広がり、「十九の春」へと変わっていく。
そういう事情もあり、歌詞はヤマト口になっている。
歌詞の種類はさまざまあるようだ。曲調も多種。

さて、与論小唄を最近聴いたのは、NHKの連続ドラマ「ジャッジⅡ」の最終回。
奄美島と思われる「大美島」に赴任してきた、島でたった一人の裁判官の物語だ。
中央権力がつくった「法律」というものが、国の周辺である南の島で果たして
そのまま適用できるのか。
島の人々の暮らしのなかにある「人情」や「心」と、「法律」の
はざまで裁判官が悩み、苦しみ、道を見出していくというストーリー。

「浜下り」の歌遊びに、出会った裁判官が、与論小唄を聞く。
その歌詞も載せておいた。


このblogでは、いままで大和口のみの歌はとりあげていなかった。
芭蕉布や新安里屋ユンタなどのように、
一部の歌詞または囃子ににウチナーグチが入って
その理解が重要だと思う場合はのぞいて。

しかし、「島唄」、民謡を愛する者にとって、欠かせない歌がある。
この「与論小唄」もそのひとつ。

もうひとつ理由がある。
最近、このブログの海外からの読者からメールをいただくことがある。
日本語が読めなくても、発音がアルファベットでかかれているからわかりやすいという。
ヤマトグチの歌は、発音を記していなかったが、そういう方にもわかりやすいのであれば
一応書いておこうと思う。









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