2016年04月08日

今帰仁ミャークニー (2/5)

今帰仁ミャークニー
なちじん みゃーくにー
nachijiN myaakunii
今帰仁のミャークニー(宮古の音)
語句・なちじん 現在の沖縄県国頭郡今帰仁村を指す。琉球王朝時代の17世紀の頃、今帰仁間切はほぼ本部半島全域だったが18世紀の初めに本部間切と今帰仁間切に分離された。

参考;「今帰仁ミャークニー歌詞選集」(作成・記録 平成二十五年五月 平良哲男氏)より。


だんじゅとゆまりる 仲宗根の島や黄金森くさてぃ 田ぶく前なち
だんじゅとぅゆまりる なはじゅにぬしまや くがにむいくさてぃ たーぶっくめーなち
daNju tuyumariru nahajuni nu shima ya kugani mui kusati taabukku meenachi
いかにも世間に有名な仲宗根という村は美しい森を背に 田んぼを前にしている
語句・だんじゅ「なるほど。いかにも。げにこそ。」【沖縄語辞典(国立国語研究所編)】(以下【沖辞】と略す)。・とぅゆまりる「世間に鳴り響く。評判になる」【沖辞】。<とぅゆまりゆん。とぅゆまりいん。・なはじゅに仲宗根(今帰仁の地名。現在は字。) 「なかずに」と首里では呼ぶが、今帰仁地方では「k」が「h」に変わる。・くがにむいくさてぃたーぶくめーなち 村を褒める美辞。「くがに」は金を表すが「むい」(丘。山。「森」に対応する。)を褒める美辞。「たーぶっく」は「田んぼ」を意味し「たーぶっくゎ」ともいう。



仲宗根の東 水車建てて 潮ぬぬちゃがりば とりてぃ立ちゅさ
なはじゅにぬあがり みじぐるまたてぃてぃ うすぬぬちゃがりば とぅりてぃたちゅさ
nahajuni nu 'agari mijiguruma tatiti 'usu nu nuchagariba turiti tachusa
仲宗根の東に水車を作り、潮が満ちてくると 回るのを止めて立っている
語句・ぬちゃがりば 上がってくる。<ぬちゃがゆん。ぬちゃがいん。「抜けてあがる。抜けて上に出る」【沖辞】。・とぅりてぃ <とぅりゆん。とぅりいん。「凪ぐ。風がやむ」【沖辞】。ここでは水車が回るのを止める、だろう。



越地川ぬ水や 砂かみて湧ちゅさ 越地美童ぬくんだ美らさ
ふぃじがーぬみじや しなかみてぃわちゅさ ふいじみやらびぬ くんだちゅらさ
hwijigaa nu miji ya shina kamiti wachusa hwijimiyarabi nu kuNda churasa
越地の井戸の水は砂の下から湧くよ。越地村の娘のふくらはぎの美しさよ!
語句・ふぃじがー 今帰仁の字。「がー」は「かー」(井戸。泉。)・くんだ ふくらはぎ。



島やまが童 今帰仁ぬ天底 美らく生まりたる花ぬわらび
しまやまーがわらび なちじんぬあみすく ちゅらくんまりたるはなぬわらび
shima ya maa ga warabi nachijiN nu 'amisuku churaku 'Nmaritaru hana nu warabi
出身の村はどこだ?子どもよ。今帰仁の天底。美しく生まれた花のような子ども
語句・しま 「しま」には「㊀村落。部落」「㊁故郷。出身の部落。」【沖辞】などがある。ここでは㊁であろう。・あみすく 今帰仁の字。



運天ぬ嫁や ないぶさやあしが あだん葉ぬたむん 取いぬくちさ
うんてぃんぬゆみや ないぶさやあしが あだんばーぬたむん とぅいぬくちさ
'uNtiN nu yumi ya naibusa ya 'ashiga 'adaNbaa nu tamuN tui nu kuchisa
運天の家の嫁にはなりたいが アダン葉の薪は取るのが苦しいことよ!(だから遠慮したい)
語句・うんてぃん今帰仁の東部の字。・ないぶさ なりたい。・あだんばー 海岸に生えているタコノキ科の常緑樹。葉にはトゲがあり、採集が難しい。薪に利用する他、筵や笠、帽子などの原料となる。・たむん 「たきもの。たきぎ。まき。」【沖辞】。・くちさ 難しい。<くちさん。辛い。



今帰仁ミャークニーの歌詞を平良哲男さんのまとめられた「歌詞選集」から。
今帰仁の間切にあった村は、今帰仁村の字となり、合併したりして消えた村もある。
その村の情景を謡うとともに自然と人への讃歌でもある。
と同時に歌う人の個人的な思い出や心情をのせる叙情性もある。



たまたま昨日(2016/4/7)今帰仁村教育委員会の方から、今帰仁ミャークニー大会のパンフレットや資料を送っていただいた。
全てPDFなので、このブログで紹介することも可能である。



研究論文などもあるので非常に貴重な資料でもある。
随時紹介していきたい。



▲。字仲宗根(なはじゅに)の公民館に設置されている歌碑。
だんじゅとゆまりる 仲宗根の島や黄金森くさてぃ 田ぶく前なち



▲仲宗根公民館。


▲公民館の裏手に小高い丘がある。そこ「黄金森」からの眺め。「むい」に「森」という当て字がされているが、「盛り」つまり小高い丘という方が当てはまる。


仲宗根の東 水車建てて 潮ぬぬちゃがりば とりてぃ立ちゅさ 水車があったとされるあたり。大井川と呼ばれる川。今帰仁の中心あたりに南北に流れている。



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Posted by たる一 at 10:03│Comments(0)な行沖縄本島
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