油断しるな

たる一

2006年07月21日 17:55

油断しるな
ゆだん しるな
yudaN shiruna
語句・ゆだんしるな油断するな。「しるな」はヤマトグチ「するな」を元にしたウチナーグチ的表現ではないだろうか。「する」の意味である「しゅん」「すん」の否定形は「しゅな」「すな」となる。

作詞 比嘉盛雄 
作曲 登川誠仁



一、年や馬の走い なす事や多さ 明日のあんと思て油断するな
とぅしや'んまぬはい なすくとぅや'うふさ 'あちゃーぬ'あんとぅむてぃゆだんしるな
tushi ya 'Nma nu hai nasukutu ya 'uhusa 'achaa nu 'aN tumuti yudaN shiruna
年は馬が走るように早く過ぎ去る、することは多いことよ!明日があると思って油断するな
語句・んまぬはい 馬の走り。早いことのたとえ。「んま」の発音は注意したい。・うふさ<うふさん。多い。その活用で、「 多いことよ! 」。形容詞が「さ」で終わる時は「とても・・だよ」と感嘆の意味を含む。・あちゃー 明日。・あん ある。・とぅむてぃ と思って。


サー心合わちょてうみはまら 働かな
さーくくる'あわちょーてぃ'うみはまら はたらかな
sa kukuru 'awachooti 'umihamara hatarakana
さー 心を合わせて励みたいな 働きたいよ
(繰り返し・以下省略)
語句・くくる心。・あわちょーてぃ 合わせて。ウチナーグチで「合わせる」は「あーしゅん」、「いちゃーしゅん」、「うちゃーしゅん」などがあるが「あわちょーてぃ」はヤマトグチを意識した造語だと思われる。・うみはまら <うみはまゆん。励む。の志向形で「・・したい」の形。・はたらかなー はたらきたい。<はたらちゅん。+な「動詞の未然形に付いて希望の意を添える」【沖縄語辞典(国立国語研究所編)】(以下【沖辞】と略す)「うみはまら」と同じで、「はたらか」で未然形、それに「な」が付いて「働きたいよ」。本土では「働かないといけない」みたいな受け止めをしがちだがそれは間違い。



二、春夏の節や巡て繰い返し 戻て来ぬものや人の若さ
はるなちぬしちや みぐてぃくいかいし むどぅてぃくんむぬや ふぃとぅぬわかさ
harunachi nu shichi ya miguti kuikaishi mudutikuN munu ya hwitu nu wakasa
春夏の季節は巡り繰り返す 戻ってこないものは人の若さ
語句・しち 季節。・ は。・くん 来ない。<ちゅーん。来る。の否定形。



三、男んでいゆみ 女んでいゆみ 銭金ど力今の世間や
うぃきが'んでぃ'いゆみ うぃなぐ'んでぃ'いゆみ じんかにどぅちからなまぬしけーや
wikiga 'Ndi 'iyumi winagu 'Ndi 'iyumi jiNkani du chikara nama nu shikee ya
男というか 女というか (誰にとっても)銭金こそ力だ今の世界は
語句・うぃきが 男。・んでぃ と。・いゆみ いうか。<ゆん。言う。+み。か?。・じんかに 銭金。・しけー 世界。「世間」は「しきん」。「しけー」の方が広い範囲のイメージ。



四、汗流ち互に働ちゅるうちに日々の暮らしがた楽になゆさ
'あしながちたげにはたらちゅる'うちに ふぃびぬくらしがたらくになゆさ
'ashi nagachi tage ni hatarachuru 'uchi ni hwibi nu kurashigata raku ni najusa
汗流して働いているうちに日々の暮らし向きが楽になるよ
語句・あし 汗。・ながち <ながしゅん。流す。・たげに互いに。



五、心持ち次第に姿まで変わて年寄らんごとに笑て暮らし
くくるむちしでーにしがたまでぃかわてぃとぅしゆらんぐとぅにわらてぃくらし
kukuru muchi shidee ni shigatamadi kawati tushi yuraN gutu ni waratikurashi
心の持ち方次第で姿まで変わって 年を取らないように笑って暮らせ
語句・しでー 次第。・しがた 姿。・ぐとぅに ように。・くらし 名詞とも取れるが、「くらしゅん」(暮らす)の命令形にも取れる。


(コメント)


CD「登川誠仁&知名定男」2004年にも収録されて入る。

キレの良い本調子早弾き。六、七を効果的に使った作曲、さすが登川誠仁先生。
作詞は二番と四番が誠小先生の作詞である。交互に作詞されている。

あらためて意味を調べて五番の意味に少しはっとした。
「年寄らんぐとに」とは「年寄らないように」という訳になる。
まあ、年も気持ちから老いる、というから、気持ちが若ければ年も取らないということ。
そして笑って暮らす、と言うことが非常に難しいのである。その極意は、と誠小先生にお伺いしたかったが2013年にお亡くなりになられた。
この曲を弾いて歌うことで少しでも先生のお気持ちに近づけたら、と思う。





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