読谷山宮古根
ゆんたんざ なーくにー
yuNtaNza naakunii
○
読谷山 宮古根
語句・
ゆんたんざ 読谷村は1946年まで「読谷山」(ゆんたんざ)と呼ばれていた。
唄三線 照屋政雄
一、読谷山アバ小 肝持ちのゆたさ(ヨー) 志情けもゆたさ 思い深さ(ジントーナー)
ゆんたんざ'あばぐわ ちむむちぬゆたさ しなさきん ゆたさ 'うむいふかさ
yuNtaNza 'abagwa chimu muchi nu yutasa shinasakiN yutasa 'umui hukasa
○
読谷山(の)姉さん 心持ち(方)がなんと結構なことよ! 志情けも結構だ! 思い(の)深さ
語句・
あばぐわ 姉さん ・
ちむむち 「肝」(ちむ)は、大和口に直し難い言葉の一つ。辞書には①肝、肝臓②心 心情〔kukuru[心]より多用される〕(琉)とある。もとは「肝 kimo」(k→ch,mo→mu )chimuという変化したもの。一般的な「心」より、良心的な「心」、相手への思いやり、優しさを重視したものに聞えることが多い。「ちむむち」とはまさに、そういう心のあり方と指していると思われる。 ・
ゆたさ なんと結構なことよ! <ゆたさん(形) 宜しい 結構な 形容詞の体言止めは「なんと・・・なことよ!」と感動を表す。
二、読谷山アバ小 水汲むるアバ小 腰小のしゅらさ 二才が惚らち
ゆんたんざ'あばぐわ みじくむる'あばぐわ がまくぐわぬしゅらさ にせがふらち
yuNtaNza 'abagwa miji kumuru 'abagwa gamakugwa nu churasa nise ga hurachi
○
読谷山(の)姉さん 水汲む姉さん 腰のかわいらしいことよ!青年を惚れさせて
語句 ・
がまくぐわ 腰 「腰小 がまくぐわ」に「腰つきの良い美人」という言い方もあるが、ここでは体の部分を指す ・
しゅらさ かわいらしいことよ!・
ふらち 惚れさせて <ふりゆん 惚れる +しゅん 使役 惚れさせる の接続形 ふらち
三、読谷山アバ小 芋掘ゆるアバ小 くんだ小も できて ちび小ぶててぃ
ゆんたんざ'あばぐわ んむふゆる 'あばぐわ くだぐわん でぃきてぃ ちびぐわ ぶててぃ
yuNtaNza 'abagwa 'Nmu huyuru 'abagwa kuNdagwaN dikiti chibigwa buteti
○
読谷山(の)姉さん 芋掘る姉さん ふくらはぎも上出来 お尻(は)太って
語句。
くんだぐわ ふくらはぎ ・
ぶててぃ 太って <ぶてーゆん 太る、茂る 繁栄する。
四、読谷山アバ小 我んね 草刈や小 草刈や小 やしが まじゅな遊ば
ゆんたんざ'あばぐわ わんねくさかやぐわ くさかやぐわやしが まじゅな'あしば
yuNtaNza 'abagwa waNne kusakayagwa kusakayagwa yashiga majyuna 'ashiba
○
読谷山(の)姉さん 私は草刈り人 草刈人だけど 一緒にに遊ぼう
語句・
まじゅな 一緒に <まじゅん 一緒(に)
五、読谷山アバ小 薪取いなじき 二才小達と 連れて遊しびふりて
ゆんたんざ'あばぐわ たむんとぅいなじき にせぐわたとぅちりてぃ 'あしびふりてぃ
yuNtaNza 'abagwa tamuN tui najiki nisegwata tu chiriti 'ashibi huriti
○
読谷山(の)姉さん 薪取りは口実 青年たちと連れて遊び(に)興じて
語句・
なじき ふり 口実 ・
ふりてぃ <ふりゆん 惚れる 気に入る 気が狂(ふ)れる(琉) 面白く訳するなら「遊び狂って」
かいされー
一、読谷山アバ小 目笑小のしゅらさ 思出しばめぐる(アネ ジントーヨー)通いぶさん
ゆんたんざ'あばぐわ みわれぐわぬしゅらさ 'うみ'んじゃしばみぐる かゆいぶさん
yuNtaNza 'abagwa
○
読谷山(の)姉さん 微笑のかわいらしいことよ!思い出せばめぐる 通いたい
語句・
みわれぐわ 微笑み <みーわれーぐわー mii(目)waree(笑)gwaa(小)
二、読谷山アバ小 遊びぶさあても 親の目の光ちゃて 自由ならんね
ゆんたんざ'あばぐわ 'あしびぶさ'あてぃん 'うやぬみぬふぃちゃてぃ じゆならんね
yuNtaNza 'abagwa 'ashibibusa'atiN 'uya nu mi nu hwichati jiyunaraN ne
○
読谷山(の)姉さん 遊びたい(と思って)も親の目が光って自由ならんみたい
語句・
ふちゃてぃ 光って <ふぃちゃゆん 光る ・ね ように みたい <ねー 助詞。比喩の意味で 終止形につく (・・する[した])よう[みたい]に (琉)
三、読谷山アバ小 三線小の鳴りば 肝も肝ならん 出て行ちゅんど
ゆんたんざ'あばぐわ さんしんぐわぬなりば ちむんちむならん 'んじてぃ'いちゅんど
yuNtaNza 'abagwa saNshiNgwa nu nariba chimuN chimu naraN 'Njiti 'ichuN do
○
読谷山(の)姉さん 三線が鳴れば 気が気でない 出ていくぞ
語句・
ちむんちむならん 気が気でない 慣用句で「
与那国ションカネー」にもある。
四、読谷山アバ小 うち惚れて我身や 通るがな通る 恋のアブシ
ゆんたんざ'あばぐわ 'うちふりてぃわみや かゆるがなかゆてぃ くいぬあぶし
yuNtaNza 'abagwa 'uchihuriti wami ya kayuruganakayuti kui nu abushi
○
読谷山(の)姉さん(に)惚れて私は通うだけ通って恋の畦(道)
語句・
あぶし 畦(道)
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