バイバイ沖縄
バイバイ沖縄
[バイバイ沖縄]
作詞・作曲 知名定男
([]は大和口.発音、意味は省略します。発音の下線は中舌母音→「つ
ぃんだら」)
一、
ぐぶりーさびたん又やーさい 島尻 中頭 山原と 海の青さに空の青 思い出 沖縄の旅 バイバイ沖縄 バイバイ沖縄 またはーりぬ チンダラヨ
ぐぶりーさびたん またやーさい しまじり なかがみ やんばる [と 海の青さに空の青 思い出 沖縄の旅 バイバイ沖縄 バイバイ沖縄 ]また はーりぬ つ
ぃんだらよー
guburiisabitaN mata yaa sai shimajiri nakagami yaNbaru mata haari nu ts
iNdara yoo
〇
失礼しました。また(お会いしましょう)ですね。島尻 中頭 山原と 海の青さに空の青 思い出 沖縄の旅 バイバイ沖縄 バイバイ沖縄 「またはーりぬ」(不明)かわいいよねえ(かわいそうだよねえ)
語句・
ぐぶりーさびたんご無礼しました <ぐ(御)+ぶりー(無礼)+すん(する)+あびーん (敬語の助動詞)の過去形 ・・しました。 失礼をわびるときなどに使う。退室には「ぐぶりーさ(しゃ)びら」(直訳すると、失礼しましょうね。おいとまします)・
またやーさい<また(又、再)+やー(ね)+さい(男性が年上に向かってかける文末の発語 女性は「たい」)・
またはーりぬ八重山民謡の「安里屋ユンタ」や「つぃんだら節」に使われる囃子言葉。一説によると「はーりぬ」には、「はりゆん(晴れる)」と関係があるとされている。ヤマトでも「ハレ」という。・
つぃんだらよー八重山口(方言)<つ
ぃんだらさーん(形)①かわいい②かわいそう+ら(らー)形容詞について・・よねえ+よー 念を押す「ねえ」。かわいい、とかわいそう、という二つの意味があるが、おそらく昔は相手への情感があることにおいて区別がなかったのではないだろうか。ちなみに沖縄の「かなさん」には「悲しい」という語意はなく「愛しい」のみ。
二、
ぐぶりーさびたん又やーさい 芭蕉姿の黒髪は 黒い瞳のカマドー小 思い出 初恋の人 バイバイ沖縄 バイバイ沖縄 またはーりぬ チンダラヨ
ぐぶりーさびたん またやーさい [芭蕉姿の黒髪は 黒い瞳の]かまどぅーぐわ[ 思い出 沖縄の旅 バイバイ沖縄 バイバイ沖縄 ]また はーりぬ つ
ぃんだらよー
guburiisabitaN mata yaa sai kamaduugwa mata haari nu ts
iNdara yoo
失礼しました。また(お会いしましょう)ですね。芭蕉姿の黒髪は 黒い瞳のカマドゥーさん(女性の童名) 思い出 初恋の人 思い出 沖縄の旅 バイバイ沖縄 バイバイ沖縄 「またはーりぬ」(不明)愛しい(悲しい)よ
語句・
かまどぅーぐわ昔は士族の女性の童名(わらびなー)のひとつ。女性の名前。「小」がついて「かまどちゃん」。
三、
ぐぶりーさびたん又やーさい ユンタ ジラバ遊びうた ハーリー エイサー 毛遊び 思い出 沖縄 島うた バイバイ沖縄 バイバイ沖縄 またはーりぬ チンダラヨ
(省略)ゆんた じらば はーりー いぇいさー もー'あしび(省略)
yuNta jiraba haarii yeisaa moo'ashibi
語句・
ユンタ ジラバ八重山民謡のジャンルで、仕事歌として歌われる「ユンタ」と仕事後にテンポよく歌われる「ジラバ」という区別があるようだ。・
ハーリー旧暦五月四日(ゆっかぬふぃー)に糸満などで行われる手漕ぎ船の競争。糸満では「はーれー」。長崎の「ペーロン」と関係がある。「竜」をあらわす「爬竜」という中国語から来ている。・
えいさー旧盆の三日間の最後の夜に先祖の「霊」を「あの世」へ送り返すために、派手に太鼓を打ち鳴らす風習。古いものでは女性だけが太鼓を打ち鳴らすものがある。現在では多く25歳くらいまでの青年が中心。「エイサー」という語源は不明(囃子言葉や「ゑさ おもろ」からきているという説もあるが定説はない)・
もーあしび「もう」は「毛」と当て字されるが「野原」のこと。昔は青年男女が夜になると集まり、酒を飲み芸能を楽しみ、男女の出会いの場所だったという。明治政府は「不謹慎な風習」として警察権力によって厳しく取り締まられた。現在では沖縄の「ビーチパーリー」や「民謡酒場」で「立派」に「毛遊び」は息づいているといえる。「草原」ではなくなったが。
(コメント)
英語と沖縄口に八重山口の混在した歌である。
知名定男氏が「ネーネーズ」に歌わせて、レゲー調で味付けをしたところ大ヒットになった。
現在でも、民謡酒場や観光地などで聴く。
ものの本によると大和人の「沖縄病」をテーマにつくったという。
たしかに沖縄から帰りの飛行機の中で、つい口に出てくるときがある。
大和人は帰りたくないのである(笑)
♪バイバイ沖縄 バイバイ沖縄 またはーりぬつんだらよー
最後の八重山民謡の囃子言葉は、実は深い意味と悲しみをも含んだ言葉だが
こうやって歌うと、どことなく陽気で、リズミカルなお囃子言葉になっている。
それも「歌」の面白さではあると思う。
沖縄音階(ドミファソシド)をふんだんに盛り込んだ曲であることも付け加えておこう。
そのあたりも知名定男氏ら、沖縄ポップスの創始者たちの技巧である。
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