2005年11月23日

世宝節

世宝節
ゆたからぶし
yutakara bushi
〇(意味不明)

作詞作曲 普久原朝喜


一、真夜中どやしが夢に起くされて(よ)覚めて恋しさや ありが姿 (サヨナありが姿)
まゆなかどぅやしが 'いみに'うくさりてぃ(よ) さみてぃくいしさや 'ありがしがた(さよなありがしがた)
mayunaka du yashiga 'imi ni 'ukusarithi samiti(yo) kuishisa ya 'ariga shigata(sayona 'ari ga shigata)
〔括弧は以下省略〕
真夜中でこそあるが 夢に起こされて 目覚めて恋しいのはあの人の姿
語句・うくさりてぃ起こされて。 <うくしゅん 'ukushuN 起こす。・ありが あの人の。 ありが'ariga gaは①人名代名詞について主格②属格の「の」の用法がある。ここでは②。あの人の。


二、一人手枕に明かす夜の辛さ あり(無蔵)が手枕に明かちみぶさ
ふぃちゅいてぃまくらに 'あかすゆーぬちらさ 'あり(んぞ)がてぃまくらに 'あかちみぶさ
hwichui ti(i)makura ni 'akasu yu(u)nu chirasa 'ariga timakura ni 'akachi mibusa
一人手枕で明かす夜の辛さ あの人(彼女)の手枕で夜を明かしてみたい
語句・みぶさ みたい。 み+ぶさん、ぶしゃん。・・したい。


三、無蔵が寝座敷に梅の花咲かち 鶯になやい忍でみぶさ
んぞがにざしちに 'んみぬはなさかち 'うぐいしになやい しぬでぃみぶさ
Nzo ga nizashichi ni 'Nmi nu hana sakachi 'uguishi ni nayai shinudimibusa
貴女の寝間に梅の花(を)咲かせ 鶯になって忍んで(行って)みたいものだ


四、鳥やちょん飛ばん島とめて 無蔵と二人かながなと暮らちみぶさ
とぅいや ちょんとぅばん しまとぅめてぃ んぞとぅたいかながなとぅ くらちみぶさ
tui ya cho(o)N tubaN shima tumeeti Nzo tu tai kanagana tu kurachi mibusa
鳥ですら 飛ばない 島求めて 貴女と二人仲良く暮らしたい
語句・ちょーんcooN  すら。 さえ。・とぅめてぃ求めて。探して。 <とぅめーゆんtumeeyuN 求める。・たい 二人。「【futa(r)i の頭音節消失】」【琉球語辞典】。つまり「ふたり」の「ふ」が消え、「り ri」の「r」が消えたため「tai」(たい)になった。ちなみに「一人」のほうは「頭音節消失」で「ちゅい」とも言うし、「ふぃちゅい」とも言う。

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2005年11月11日

豊節

豊節
ゆたかぶし
yutaka busi


一、朝夕笑れ福い福ゆうち招き年毎の繁盛お願げさびら
あさゆーわれーふくい ふくゆ 'うちまにち とぅしぐとぅぬ はんじょー 'う にげーさびら
'asayuu waree hukui huku yu 'uchimanichi tushigutu nu haNjoo 'unigee sabira
朝夕笑い喜び福をうち招き毎年の繁盛(を)お願いしましょう


(遊びの美らさ 人衆の揃わい 踊て遊ば)
'あしびぬちゅらさー にんじゅぬすなわい うどぅてぃ 'あしば
'ashibi nu churasaa niNju nu sunawai uduti 'ashiba
遊びの美しさは 全員が揃う事 踊り遊ぼう
(ハヤシ以下略)

二、世果報年迎て去年ゆいん今年栄けていく村の風水清らさ
ゆがふどぅし'んけーてぃ くじゅゆいん くとぅし さけーてぃ'いくむらぬ ふんし じゅらさ
yugahudushi 'Nkeeti kuju yuiN kutushi sakeeti'iku muranu huNshijurasa
豊作(の)年(を)迎えて去年よりも今年(と)栄えていく村の風水(は)良い


三、作る毛作いん万作ゆたぼち ミルク世のしるし 神の恵み
ちゅくるむじゅくいん まんさくゆたぼーち みるくゆーぬしるし かみぬみぐみ
chukuru mujukuiN maNsaku yu taboochi mirukuyuu nu shirushi kaminu migumi
作る農作物も 万作を下さって 豊年の前兆 神の恵み


四、重なゆる お祝い ミルク世の印 互にうちはりて 踊て遊ば
かさなゆる'うゆぅえー みるくゆーぬ しるし たげーに 'うちはりてぃ うどぅてぃ'あしば
kasamayuru 'uyuwee mirukuyuu nu shirushi tagee ni'ucihariti uduti 'ashiba
重なるお祝い 豊年の前兆 たがいに 心すっかり晴れて 踊り遊ぼう


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Posted by たる一 at 23:15Comments(5)や行

2005年11月08日

由絃の謡

由絃の謡
ゆいげんぬ 'うた
yuigeN nu 'uta

作詞 上江州由孝 
作曲 普久原恒勇



一、唄と三味線や 心明がらす 御真人も嬉しゃ (ハイヤ)我胴も嬉しゃ
'uta tu saNsiNya kukuru 'akagarasu 'umaNcuN 'urisya (haiya)waduN 'urisya
'うたとぅ さんしんや くくるあかがらす 'うまんちゅん 'うりしゃ (はいや)わどぅん 'うりしゃ
唄と三線は心明るくする 万人も嬉しいことよ! 私もうれしいことよ!
語句・'うまんちゅ 人民。 万人。 ・うりしゃ <うりしゃん うりさん 嬉しい。口語では「うっしゃん」「うっさん」。 ・わどぅ <わーどぅー <わー 私。+ どぅー 体。自身。 私自身。 


二、唄情けてぃしや 節々に込めて 誠義理情け 人に込めて
'utanasaki tisiya husibusini kumiti makutu zirinasaki hwitu ni kumiti
'うたなさきてぃしや ふしぶしにくみてぃ まくとぅじりなさき ふぃとぅにくみてぃ
唄情けというものは節々に込めて 誠義理情けは人に込めて
語句・てぃし というもの。ということ。 ・ふしぶし 曲々。


三、梅桜蘭の匂い染みるごとに 唄情け心 肝に染めて
'NmisakuraraNnu niwii sumirugutuni 'utanasakigukuru cimuni sumiti
'んみさくららんぬ にうぃすみるぐとぅに 'うたなさきぐくる ちむにすみてぃ
梅桜蘭の匂い染みるように 唄情け心は心に染めて
語句・にうぃ 匂い。発音に注意したい。「にうい」niui ではなく「にうぃ」niwi である。沖縄口では「ui」と「wi」をきちんと区別する。


四、節や三味線に 声や吟立てて 由絃の歌声 世界に知らさ
husiya saNsiN ni kuiya ziNtatiti yuigeNnu 'utagui sikee ni sirasa
ふしやさんしんに くいやじんたてぃてぃ ゆいげんぬ 'うたぐい しけにしらさ
節(曲)は三線に 声は吟立てて(歌声を響かせて)由絃會の歌声世界に知らせたい
語句・ふし 曲。 ・ 主格をあらわす「や」 は。 ・じんたてぃてぃ いわゆる「吟じる」の「ぎん」であろう。「たてぃてぃ」<たてぃゆん は色々な意味に使われる言葉で、(標準語でも同じ。「旅にたつ」「煙がたつ」「匂いたつ」などなど)「吟立てて」とは、歌声を響かせる、ような意味だろう。  続きを読む

Posted by たる一 at 23:02Comments(3)や行