揚デンサー節 (「伊佐ヘイヨー」のちらし)
揚デンサー節
あぎでんさーぶし
agi densaa bushi
(「伊佐へいよー」のちらし)
(女)
鷄唄てば里前あんしあわてぃみせる かじりせる鐘ぬ鳴らばいもり里前
とぅい'うてーばさとぅめー'あんし'あわてぃみせーる かじりしゅるかにぬならば'いもーりさとぅめー
tui 'uteeba satumee 'aNshi 'awatimiseeru kazirishuru kani nu naruha 'imoori satumee
〇(
ニワトリが鳴くと貴方はそんなにおあわてになられる 時をしらせる鐘が鳴ればお行きください貴方
語句・
うてーば唄うと。ニワトリなので「鳴くと」 <うたゆん 唄う。+ ば 。・
あんし そんなに。そうして。文末は連体形に。→「みせる」。・
かじりせる 期限を知らせる。時刻を知らせる。・
いもり お行きなさい。<いめーん 「行く」「来る」の敬語。
(男)
鷄ん鳴き終てぃやがてぃ夜ん明きゆい 他所ぬ目ぬしじさ急じ行かい我んね
とぅいんなちしまてぃやがてぃゆーん'あきゆい ゆすぬみーぬしじさ 'いすじ'いかいわんねー
tuiN nachi shimati yagati yuunu 'akiyui yusu nu mii nu shijisa 'isuji 'ikai waNnee
〇
ニワトリが鳴き終わるとやがて 夜があけるよね 他人の目が多いので急いで行くよ 私は
語句・
あきゆい あきゆん 明ける + い(助詞。よ。ねえ。) 明けるよね。・
しじさ 多いことよ!<しじさん 多い。ここでは「多いよ。だから」くらいの意味。・
いかい 行くよ。<いちゅん 行く。→いか 行こう。行きたい。+い よ。ねえ。
(女)
情きどや手巾
nasaki doo ya tiisaaji
なさき ど や てぃーさーじ
〇
私の情けだよ 手ぬぐい
語句・
どー 「ぞ。だぞ」【沖辞】。
(男)
形見どや指輪
かたみどーや'いびなぎ
katami doo ya 'ibiinagi
かたみ どー や 'いびーなぎ
〇
契りのしるしだよ 指輪
語句・
かたみ 「男女の契り。また。契りとして取り交わすもの」【沖辞】。昔は「髪の毛」も。指輪など。
(男女)
また行逢るまでぬ契りさや たげに
mata 'icaru madi nu chijirisaya tagee ni
また 'いちゃる までぃ ぬ ちじりさや たげ に
〇
又出会うまでの固い約束をしようよ互いに
明治期に作られた歌劇「泊阿嘉」(とぅまいあーかー)の劇中歌として「伊佐ヘイヨー」のチラシ(二曲続けて歌うときの後の歌)。
この歌劇は我如古弥栄(がにくやえい)が作った。
八重山民謡の「でんさー節」の曲に、替え歌をのせたもの。
当時は、八重山民謡などに本島の歌詞をのせて歌劇などでうたわれるものが多かった。
関連記事