海やから
海やから
'うみ やからー
'umi yakaraa
一、誰がし名付きたがどんどんぬガマや遊び美童ぬ忍び所
たがしなじきたが どんどん ぬ がまや 'あしびいやらびぬ しぬびどぅくる
taga shi najikitaga doNdoN nu gama ya 'ashibi miyarabi nu shinubi dukuru
('umiyakara doNdoN suuri 'ei suuri以下ハヤシ略)
○
誰が一体名付けたのかドンドンの洞窟は 遊び娘が忍び遊ぶ所
二、ドンドンガマ通てぃ 忍で ちゃさ我身や 出じみそりヤカラ 語て遊ば
どんどんがまかゆてぃ しぬでぃちゃさわみや 'んじみそり やから かたてぃ'あしば
doNdoN nu gama kayuti shinudi chasa wami ya 'Njimisori yakara katati 'ashiba
○
ドンドンの洞窟(に)通って忍んで来ちゃたさ 私は 出てきてくださいな (やから)語って遊ぼう
三、海やからに惚れてぃ かむるむんかまん 道端に泊まてぃ 親ぬ哀り
'うみやから に ふりてぃ かむるむん かまん みちばたにとぅまてぃ 'うやぬ'あわり
'umiyakara ni huriti kamuru muN kamaN michibata ni tumati 'uya nu 'awari
○
海で働く男に惚れて 食べ物(を)食べない 道端に泊まり 親は苦労(する)
四、なてぃんならりらん ぬちんぬかりらん いちゃさびが里前後ぬ事や
なてぃんならりらん ぬちんぬかりらん ’いちゃさびがさとぅめ 'あとぅぬくとぅや
natiN narariraN nuchiN nukariraN 'icha sabiiga satumee 'atu nu kutu ya
○
行くにも行けない 退くにも退けない どうしましょうか 貴方 将来の事は
解説
(語句)
・たーがしtaagasi 一体誰が
・海やからー'umiyakaraa 名詞の最後の母音をひっぱると人を表す。しかしヤカラは(働きのある人、力ある人)だからわざわざひっぱらなくてもよいのだろうが。
海ヤカラーは、海で働く人と訳した。ちなみに、海あっちゃー'umi'accaaは海を歩く人、つまり漁師。アメリカー'amerikaaはアメリカ人を指す。ただ若干敬意のない言い方なので気をつけたい。私も経験があるが、ヤマトンチュは「ないちゃーnaichaa」といわれたら気をつけたい。
・'んじゆゅん 'NjiyuN 出る
・みそーり ~misoori ~してください
・'あわり 'awari あわれ みじめさ 苦労
・なてぃんならりらん ぬちんぬかりらん
→なゆんnayuN 成る 行く。ぬちゅんnuchuN退く。
・'あとぅ'atu 将来 時間的な先の事が「あとぅ」で空間的な後(うしろ)は「くしkushi」と区別する。(cf.イサヘイヨー)
・'いちゃ さびーが 'icha・sabii・ga→ いかに・しましょう・か→どうしましょうか
(コメント)
嘉手苅林昌さんが園田青年会の地謡として歌ったものを訳した。
広島では、三原のエイサー隊がこれで踊っていた。
それを毎年のフラワーフェスティバルでの、エイサー隊共同の踊りとしていま踊っている。
海ヤカラーと娘の熱い恋、青年ならではの恋物語。
ちょっぴり教訓ももりこみ、ほどほどにしておけよと教えているようだ。
これを青年たちがエイサーで踊り、地謡が声を上げる。
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