いぬひな節

たる一

2012年10月20日 09:33

いぬひな節
いぬひなぶし
'inuhina bushi
いぬひな(久米島の地名)の歌
語句・いぬひな 「字具志川の原名」(「島うた紀行」)


一、いぬひなぬはんた鷲ぬ舞いどぅくる 里が舞いどぅくる 玉津真胸
いぬひなぬはんたわしぬまいどぅくる さとぅがまいどぅくる たまちまむに
'inuhina nu haNta washi nu maidukuru satu ga maidukuru tamachi mamuni
いぬひなの崖は鷲が舞う所 貴方が舞う所は玉津(人名)の胸
語句・はんた 「端[はし];崖(のふち)」【琉球語辞典】。・まむに 「胸」は「んに」であるが、ここでは「むに」。「ま」は強調の意だろう。
 

二、池ぬいびがなし だんじゅとぅゆまりる ゆゆじゅらが一本 久葉ぬ三本
いちぬいびがなし だんじゅとぅゆまりる ゆゆじらがちゅむとぅ くばぬみむとぅ
'ichi nu 'ibiganashi daNju tuyumariru yuyujura ga chu mutu kuba nu mimutu
愛しい池のイベよ 断然よく知られている クロツグが一本 久葉が三本
語句・いび 池の名前。・がなし<かなし 愛しい。「首里天がなし」など尊敬する者、愛する者へにつける。・だんじゅ「げにこそ、いかにも、なるほど」【琉辞】。・とぅゆまりる <とぅゆまりゆん 「世の評判になる」【琉辞】。<とぅゆぬん 「音に聞える」【琉辞】。・ゆゆじゅら クロツグ。沖縄方言で「マーニ」。  


三、久葉ぬ若くばがみけに 浮上がりば 肝ぬふり者や我無蔵とぅ思てぃ
くばぬわかくばがみけに うちゃがりば ちむぬふりむんや わんぞとぅむてぃ
kuba nu waka kuba ga mike ni 'uchagariba chimu nu hurimuN ya wa Nzo tu muti
久葉の若い久葉が「みけ」(不詳)に浮き上がれば 恋に気がふれたような者は自分の恋人かと思って
語句・みけ 「島うた紀行」では「不詳。三回の意か」とある。・ふりむん 「(何かに心奪われた粋狂な)馬鹿(者)」【琉辞】。

久米島の歌を続けている。

「いぬひな節」は久米島の字具志川の原名(いぬひな)で生まれたといわれている。

音源は「久米島の歌全集(古謡から新作まで)」(マルフク)。

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