想いションガネー
想いションガネー
うむいしょんがねー
'umi shoNganee
〇
想い「ションガネー」(歌の名前)
語句・
しょんがねー 「
与那国ションガネー」、「
遊びションガネー」を参照。
作詞・作曲 前川守賢 歌 饒辺勝子
一、
かんしうむいぬすんくまれ 想いぬたきん語らんむん 我が落てぃ着ちゅみ 胸内や 逢ちゃてぃ晴りらなくぬ想い ※しゅらよー想いションガネー
かんしうむいぬすんくまれ うむいぬたきんかたらんむん わがうてぃちちゅみ んにうちや いちゃてぃはりらなくぬうむい しゅらよーうむいしょんがねー
kaNshi 'umui nu suNkumaree 'umui nu takiN kataraNmuN waga 'utichichumi Nni'uchi ya 'ichati katarana kunu 'umui shurayoo 'umi shoNkanee
〇
こんな思いを胸に込めてるなら 思いのたけを語りたいもの 私落ち着けるかしら?胸の内をあの人に会って晴らしたいなこの思い 愛しい人よ!貴方を想ってションガネー
語句・
かんし こんな。・
すんくまれ 込めるなら。秘めるなら。<すん 強調か?+くまれー<くまゆん 籠る。・
しゅらよー いとしい人よ! 囃子言葉でもある。
二、
一足ん早みてぃ逢ちゃらなや あぬ森越てぃ行ちどぅんしぇー うんじゅが居める島やしが 思いるぐとぉ逢ちゃららん ※(くりかえしー以下省略)
ちゅひさんはやみてぃいちゃらなや あぬむいくぃてぃいちどぅんしぇー うんじゃがいめるしまやしが うむいるぐといちゃららん
chuhwisaN hayamiti 'icharana ya 'anu mui kwiti 'ichiduNshee 'unju ga 'imeeru shima yashiga 'umuirugutoo 'ichararaN
〇
一足でも早く会いたいよ あの山越えて行けば貴方がいる村だけど 思うようには会えないの
語句・
ちゅひさ <ちゅ 一つ+ひさ 足。 ・
むい 山。沖縄ではあまり高い山がないため山や丘を「森」(むい)ということが多い。盛り上がった所、の意味。 ・
うむいるぐと <うむい 思い。+る<どぅ こそ。+ぐとー<ぐとぅ+や から。(「や」は強調) → 思うようには。
三、
ぬがよ淋しさしじららん ぬがよ凪々肝凪りてぃ忍び忍どぉてぃ里御側 闇路通わす恋無情 ※(くりかえし)
ぬがよ さびしさしじららん ぬがよ とぅりどぅり ちむどぅりてぃ しぬびしぬびどーてぃ さとぅうすば やみじかゆわす くいむじょー
nu ga yo sabishisa shijiraraN nu ga yo turiduri chimuduriti shinubi shinubidooti satu 'usuba yamiji kayuwasu kui mujoo
〇
どうして寂しさ耐えられない どうして凪のように心なごんで 忍んで忍んで貴方のお側へ闇路を通わす恋の無情さよ
語句・
ぬがよ どうして?。 ・
しじららん 耐えられない。<しじゆん。耐える。 ・
とぅりどぅり 凪(なぎ)。海上の風がやむ時。畳語(じょうご、語句を繰り返すこと。日々、とか
時々とか。)で、凪のたびに、くらいの意味。・
とぅりてぃ 「凪」の当て字があるが心なごむの意味。<とぅりゆん 「凪。(心が)なごむ。」【琉辞】。
四、
顔や笑らてぃん雨嵐 我胴にふぃしふぃし吹く風や行く先知らん舟心 着く方求みてぃ漕ぐばかい ※(2回くりかえし)
かうやわらてぃんあみあらし わどぅにふぃしふぃしふくかじや いくさちしらんふにぐくる ちくかたむとぅみてぃくぐばかい
kau ya waratiN 'ami'arashi wadu ni hwishihwishi huku kaji ya 'ikusachi shiraN huni gukuru chiku kata mutumiti kugu bakai
〇
顔は笑っていても雨嵐のようにわが身にひしひしと吹く風で まるで私は行く先知らない船のよう 着く所を探して漕ぐばかり
語句・・
わどぅ わが身。<わー 私。+ どぅー(胴) 体。・
ぐくる <くくる。琉歌では「・・のように」「たとえると」の意味でつかわれることが多い。 ここでは「船のよう」。
饒辺勝子さんが歌う前川守賢氏作の曲。
聴いたのは少し前だが、最近、ある沖縄のFM放送局の方からこの歌を紹介していただいた。
「たるーさんならどんな訳になるでしょうか」と。
拙訳にしかならないが上の通り。
そもそもいつもお断りしているように「直訳」が常で、意訳に踏み込むことは歌の世界では自分の解釈の世界になってしまう。
そうは言っても、どうしても意訳的要素も交えないと意味が伝わらない。
昔も今も人を想う心は同じ、なのだけれどそれを表す表現やたとえはずいぶん様変わりするものだから、置き換えも必要になってくる。
この歌、会いたいのに会えない事情がある方の「想い」なのだろうか。
とても心に染み入る曲なので、何度か聞くうちに三線に手が伸びた。
それでも饒辺勝子さんのすばらしい歌声には足元にも及ばない。
ぜひ、みなさん御聞き下さい。
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