童神
わらびがみ
warabi gami
○
こども神
一、天からの恵受けてこの世界に生まれたる産子 我身の守い育て
てぃんからぬみぐみ'うきてぃくぬしけに'んまりたるなしぐわ わみぬむいすだてぃ
tiNkara nu migumi 'ukiti kunu shikee ni 'Nmaritaru nashigwaa wami nu mui sudati
○
天からの恵みを受けてこの世界に生まれた愛児 私が守り育て
(イラヨーヘイ イラヨーホイ イラヨー愛し思産子 泣くなよーや ヘイヨーヘイヨー)
いらよーへい いらよーほい いらよーかなし'うみなしぐわ なくなよーや へいよーへいよー
'irayoo hei 'irayoo hoi 'irayoo kanashi 'uminashigwaa nakunayoo yaa heiyoo heiyoo
○(ハヤシ省略)
愛しい愛児 泣くなよね
太陽の光受けて(ゆーいりよーや へいよーへいよー)まささあてたぼり
ティ(ー)ダぬふぃかり'うきてぃ(ゆーいりよーや へいよーへいよー)まささ'あてぃたぼり
ti(i)da nu hwikari 'ukiti yuuiriyoo ya heiyoo heiyoo masasa 'atitabori
○
太陽の光を受けて霊験あらたかになってください
二、夏の節来りば涼風ゆ送て冬の節来りば懐に抱ちょて
なちぬしちくりばしだかじゆ'うくてぃふゆぬしちくりばふちゅくるにだちょーてぃ
nachi nu shichi kuriba shidakaji yu 'ukuti huyu nu shichi kuriba huchukuru ni dachooti
○
夏の季節が来ると涼しい風を送り冬の季節が来ると懐に抱いていて
月の光受けて 大人なてたぼり
ちちぬふぃかり'うきてぃ 'うふっちゅなてぃたぼり
chichi nu hwikari 'ukiti 'uhucchu natitabori
○
月の光受けて 大人になってください
三、雨風の吹ちん渡るこの浮世 風かたかなとて産子花咲かさ
'あみかじぬふちんわたるくぬ'うちゆ かじかたかなとーてぃ なしぐわはなさかさ
'amikaji nu huchiN wataru kunu 'uchiyu kajikataka natooti nashigwaa hana sakasa
○
雨風が吹いても渡るこの世界に 風よけになって愛児の花を咲かせたい
天の光受けて 高人なてたぼり
てぃんぬふぃかり'うきてぃ たかっちゅなてぃたぼり
tiN nu hwikari 'ukiti takacchu nati tabori
○
天の光受けて(霊感)高い人になってください
解説
(語句)
一
・わみぬむいすだてぃ 私が守り育てて
<わみ 私+ぬ が+むい 守り+すだてぃ 育てて
「ぬ」には「・・の」以外に主格を示す「が」がある。(例)
・かなし 愛しい
・うみなしぐわ 思う我が子→愛児
・まささあてたぼり 霊験あらたかになってください
「勝っている」とか「優秀になる」とかいう訳も多い。
勝るは「まさゆん」
まささん(まさしゃん)は「霊験あらたかである」の意味。
こういう意味を込めて作ったと古謝美佐子さん御本人から直接うかがった。
二
・しち 季節
・しだかじ 涼しい風
<しださん 涼しい
・ゆ 文語的表現の「を」
・だちょーてぃ 抱いていて
・ちち 月
正確なウチナーグチではthichi ツィチ(ツチではない)
ところが古謝美佐子さんはここだけヤマトグチで「つきのひかり」と歌われる。少し私は不満である。
・うふっちゅなてぃたぼり 大人になってください
三
・風かたかなとーてぃ 風よけになっていて
かたか=遮蔽 さえぎるもの 庇護 かばうこと
・たかっちゅ (霊感)高い人
背の高い人に、という訳が普通だろう。
しかし、セジだかい=霊感が強い という言葉がある。
一番とのからみでそちらを採用。
どうも古謝美佐子さんはこの歌に子どもの外見や知性以外に霊感の強い子どもになってほしいという願いを込めているところが沖縄らしい。
(コメント)
作詞 古謝美佐子 作曲 佐原一哉
本土でもかなりヒットしたが、胎教に良いと、夏川りみさんなどが歌うこれがさらにヒット。健康雑誌などでもCDが付録についていた(私も買った)。
血糖値が下がり、抗体が増えるなどという研究データが載せてあったが、他の曲での比較がなく、一般的な沖縄民謡などがもたらす効果ではないのだろうか。そのへんが不思議な歌である。
歌詞の中身も、古謝美佐子さんご本人に確認したが、やはり霊感の強い子に育ってほしいという気持ちを深く込めてもいるという。
古謝美佐子さんと佐原一哉さんはご夫婦。一度広島でコンサートがあった折に地元のエイサー団体ということでお手伝いをさせていただいた。その夜打ち上げをお二人が主催してくださり、元ネーネーズの3名との歌遊びという贅沢な時間を過ごさせていただいたことがある。そこでもお聞きしたが古謝美佐子さん自身も霊感の強い方だそうである。
「ゆーいりよー」は「芯のある強い」という意味もあると伺った。
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