2006年02月19日

梅の香り

梅の香り
'んみぬ かおり
'Nmi nu kaori
梅の香り
語句・んみ 梅。・かおり 大和口の「香り」だろう。

作詞・作曲 新川嘉徳


一、春や花盛い野ん山ん咲ちゅい 種々ぬ花ぬ咲ちょる美らさ
(色々以下繰り返し 以後省略す)
はるやはなざかい ぬんやまんさちゅい 'いる'いるぬはなぬさちょるちゅらさ
haru ya hanazakai nuN yamaN sachui 'iru'iru nu hana nu sachoru churasa
春は花盛り野にも山にも咲いており 色々の花が咲いている美しいことよ!
語句・さちゅい さいており。「い」を、動詞の最後の「n」を取ってつけられた場合「・・しており」の意味。「弱変化の連用形」【琉辞】。・ちゅらさ なんと美しいことよ!文末で形容詞の体言止め(「・・さ」の形)は、感嘆(「なんと・・なことよ!」)。


二、朝夕水かきてぃ育てぃてる梅ぬ花咲ちゅる節や何時がやゆら
'あさゆみじかきてぃすだてぃてる'んみぬはなさちゅるしちや'いちがやゆら
'asayu miji kakiti sudatiteru 'Nmi nu hana sachuru shichi ya 'ichiga yayura
朝夕水をかけて育てている梅の花が咲く季節はいつくるのだろうか
語句・しち季節。 ・やゆら だろうか。


三、奥山ぬ花ん節まちどぅ咲ちゅる 育てぃてる梅ぬさかね居ちゅみ
'うくやまぬはなん しちまちどぅさちゅる すだてぃてる'んみぬさかね'うちゅみ
'ukuyama nu hanaN shichi machi du sachuru sudatiteru 'Nmi nu sakane 'uchumi
奥山の花も時期を待って咲くのだ 育てている梅も咲かないでいられようか
語句・さかねうちゅみ さかないでいられようか。 (咲く) さかね(さかん+や)+うちゅみ(いるか)。


四、朝夕水かきてぃ育てぃてる梅ぬ咲ちょる初花ぬ香ぬ秀らさ
'あさゆみじかきてぃすだてぃてる'んみぬ さちょるはちはなぬにうぃぬしゅらさ
'asayuu miji kakiti sudatiteru 'Nmi nu sachoru hachi hana nu niwi nu shurasa
朝夕水をかけて育てている梅が咲いている初花の香りが愛しいことよ!
語句。・すだてぃてる 育てている。<すだてぃゆん →すだてぃてーる。育てている。・さちょる さいている。さちゅん。咲く。<さちょーる。・しゅらさ かわいらしいことよ!。愛しいことよ!

そろそろ梅の季節である。

沖縄ではもう1月に桜が咲き、梅が咲く。
「梅の香り」大会というイベントもある。
歌碑もあるようだ。
嘉手苅林昌さんが歌ったこの歌が印象深い。
三線では高いポジションが出てきたり、歌も高くなる
林昌さんの声は高い部分で魅力がでてくる。

広島では、つい先日梅が開花しだしたが、例年よりかなり遅れているようだ。
寒さが早くから襲ってきたこともあるだろう。
植物は正直だ。

メロディーも非常に美しい。
歌詞は一部繰り返しがある。

たとえば

一、春や花盛い野ん山ん咲ちゅい (いるい)色々ぬ花ぬ咲ちゅる美らさ(さちゅるちゅらさ いるいるぬはなぬ)

というふうに、語句を重ねてメロディーにあわせてある。それが効果的で、熱い想いをうまく表現している。

さて題名の「梅の香り」。
「かおり」はあきらかに大和口。
三母音の原則からも「お」が残ることはない。

「かうり」となるが、そういう発音ではおそらく沖縄では通じない。

「匂い」は かじゃ。 にうぃ。 にうい。
「いい匂い」は かばしゃ。 かばかざ。
となり、「かおり」「かうり」はそもそもない。

しかし、そのイキな表現をするためにヤマト口が導入されたのだと推測する。




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Posted by たる一 at 00:45│Comments(10)あ行
この記事へのコメント
先日は失礼しました。Hiテンションのまま書き込んでしまいご不快な思いをさせたことと思います。「まじめな研究」のタイトルにふさわしくないコメントでしたね。時々ああして狂うのです。お許しください。
さて、その後、「土着的なるもの」と「日本的叙情性」についての私見を振り返ってみました。そして「島唄」を巡るわたしの意見はあれに尽きているのではないかと思いました。
わたしとしては、あのあと、日本全体に勃興しつつある「ナショナリズム」が「沖縄の土着」にどう影響するのかを提示し、「日本的叙情性」がいかに「ナショナリズム」に変質しやすいのかを論理的に述べ、ご意見を伺うつもりでした。
しかしそれは政治的な言説と受け取られかねないもので(わたしは政治嫌いです。関心は大いにありますが)、また、「島唄研究」の範疇を逸脱するもののように受け取られかねないものだと感じました。
そこでこれ以上のコメントは差し控えます。いずれ、このことに関連した話題が出てくるかも知れません。その時は改めて試験を述べ、ご意見を賜りたいと存じますのでどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by Hi Shy at 2006年02月19日 09:51
そうですね。「におい」は「にうい」もしくは「かじゃ」ですよね。「かばしゃ」は「芳(かんば)しさ」ですね。
「かじゃ」については楽しい思い出があります。
かつて上方落語の桂枝雀さんの滑稽噺を聞いたことがあります。その中で、何かの匂いが漂ってくる場面で「変なかざがするなぁ」という表現がありました。
そうなんです。上方口に沖縄の「かじゃ」に似た表現で「かざ」という言葉があったのです。やはり、言葉の古層でヤマトと沖縄が繋がっているのだと感じた一瞬でした。
ちなみに上方口の「口」はウチナー口、ヤマトゥ口の「口」と一緒で「言葉」という意味があるのですよね。広辞苑にもちゃんと載っていますね。
Posted by Hi Shy at 2006年02月19日 10:12
この曲は、昭和十四、五年頃、大阪で生まれた作品で、作者は新川嘉徳(故人)氏。沖縄南部出身で、沖縄は自動車会社でエンジニヤをしていたが、のちに大阪に渡った人と思います。「匂い」という、大和口が入っているのかも。  
Posted by ウチナー ムーク at 2006年04月01日 23:20
Hi Shyさん
落語はまだ昔の日本語の形を残しているのでしょうねえ。

辞書には「かじゃ」におい、niwiともいう。niwiはおとなのつかう上品な語。とあります。

ウチナームークさん
そうなんですか、教えていただいてありがとうございます。
どこかにヤマトの梅のイメージがありますね。
もう梅も散る時期。桜(ソメイヨシノなど)が咲き出しました。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年04月02日 11:33
内地は桜の季節ですね、2,3日前は、平安座の海中道路も浜下りで人が、いっぱいしていました。こちらは、やがて「うりずん」の季節、白ユリ、デイゴの季節です。唄にもありますね。先日、小浜司氏の新しいお店の開店祝いに行ってきました。
Posted by ウチナー ムーク at 2006年04月02日 19:00
今日はあるライブで「うりずんの唄」「梅の香り」
など聴いてきました。
広島ではまれな沖縄ライブでした。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年04月02日 23:26
はじめまして!!せきさん!!
私は沖縄の西原町在住のおねえさんです!!

梅の香りを検索していたら、あなた様のブログ拝見!!
実は、今週の土曜日に「梅の香り」うた遊び大会というイベントがありまして
私はその実行委員です。

今回、そのイベントの紹介です。
遠い広島でまじめな島唄研究をされているそうで・・・

今大会では、奈良県や大阪市、北九州市、太宰府市の方たちが
参加されます。今大会も全国的になってきました。
せきさんも、次回はぜひ、参加されてくださいね。

西原町小那覇というところでやっています。
楽しいですよ!!

すべて、小那覇の人たちがスタッフです。
詳しくは、小那覇公民館へお問い合わせを・・・!
Posted by たかちゃんねーねー at 2006年04月24日 21:47
たかちゃんねーねーさん
西原の方ですね。今年正月に訳あって浦添と西原を2往復しました。あのサンエーで着替えも(笑)
なぜか西原は知り合いが多いです。
梅の香り大会も、西原ゆかりの人が紹介しています。
私の元生徒も今実家、西原に。

いつか、出てみたいものですねえ。
ほんと。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年04月25日 00:38
そういえば、6月末のコンクールは西原公民館。
私は7月2日に出ていると思います。
よかったら見に来てください。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年04月25日 00:39
一部訂正、修正しました。
Posted by たる一たる一 at 2010年11月27日 19:07
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