2010年06月26日

ウムカジ(面影)

ウムカジ(面影)
'うむかじ
'umukaji
面影(おもかげ)

作詞・作曲 知名定男 
唄 ネーネーズ

1、梯梧の花咲ちゅるうりずんの頃や 変わてぃあうみ里がなちかさぬならん ちりなさや ちりなさや 里が情き
でぃぐぬはなさちゅる'うりずんぬくるや かわてぃ'うみさとぅが なちかさぬならん ちりなさや ちりなさや さとぅがなさき
digu nu hana sachuru 'urizuN nu kuru ya kawati 'umisatu ga sachikasanu naraN chirinasa ya chirinasa ya satu ga nasaki
デイゴの花咲くうりずん(旧暦2~3月)の頃はとりわけて愛しいあの人が懐かしくてならない つれないことよ つれないことよ あの人の情け
語句・でぃぐ <でぃーぐ 梯梧。沖縄の県花。 ・うりずん 「うりじん」とも発音する。「旧暦2~3月、麦の穂の出るころのこと。waka'urijiNともいう。那覇では'urujiNという。」(沖)。石垣では「うりぃじぃん」('urïjïN)。 ・かわてぃとりわけ。格別。特に。【沖縄語辞典】・ちりなさ <ちりなさん 「つれない。情けない」【沖辞】。


2、月ぬ山ぬ端にあがるゆまんぎや 肝にひしひしとぅさびさうやちらさ うびじゃすさ うびじゃすさ里が姿
ちちぬやまぬふぁに'あがるゆまんぎや ちむにふぃしふぃしとぅ さびさ'うらちらさ 'うびじゃすさ 'うびじゃすさ さとぅがしがた
chichi nu yama nu hwa ni 'agaru yumangi ya chimu ni hwishihwishi tu sabisa 'urachirasa 'ubijasusa 'ubijasusa satu ga shigata
月が山際にあがる夕方は 心がひしひしとさびしいことよ! うら悲しいことよ! 思い出すよ 思い出すよ あの人の姿
語句・ゆまんぎ <ゆまんぐぃ 'yumaNgwi。「夕まぐれ。'yusaNdiなどの語に比べ、一種の寂寥感のある語。」【沖辞】。・ふぃしふぃし 「①ずきずき。脈打つように痛むさま。」「②ひしひし。びしびし(非難などが)胸にこたえるさま。」【沖辞】。・さびさ <さびっさん 「①さびしい」「②口さびしい」【沖辞】。形容詞が文末で「-sa」で終わるときは感嘆的表現となる。「なんと・・なことよ」。・うびじゃすさ <うびんじゃしゅん 'ubiNjashuN 「思い出す」【沖辞】。「ん」が省略されて「うびじゃしゅん」とも言う。+さ よ。
 

3、磯端ぬ千鳥たんでぃ泣ち呉るな ただねちょん寂さしちょーてぃ暮らちょしが 暮らさらん 暮らさらん 里が事思れ
'いすばたぬちどぅり たんでぃなちくぃるな ただねちょんさびさしちょーてぃくらちょしが くらさらん くらさらん さとぅがくとぅ'うむれ
'isubata nu chiduri taNdi nachikwiruna tadanee choN sabisa sichooti kurachoshiga kurasaraN kurasaraN satu ga kutu 'umure
磯端の千鳥よ 頼むから鳴いてくれるな ただでさえ寂しく暮らしていくのだが あの方の事を想うと暮らしていけない 生きていけない
語句・たんでぃ どうかお願いだから。・ただね <ただ 「ただ。」「いたずらに。むなしく。」+ねー ように。ごとく。・ちょん <ちょーん <「すら。さえ」【沖辞】。・くらさらん 暮らすことができない。生きていけない、くらいの意味。・うむれ <うむゆん 思う。+wa  すれば。→融合して「うむれー」。


4、千鳥ちゅいちゅいな 我身んただ一人 共に泣ちあかち 里ゆしぬばなや ちゅいちゅいな ちゅいちゅいな 偲でぃちゅいちゅいな  ちゅいちゅいな ちゅいちゅいな 共にちゅいちゅいな
ちどぅりちゅいちゅいな わみんただふぃちゅい とぅむになち'あかち さとぅゆしぬばなや ちゅいちゅいな ちゅいちゅいな しぬでぃちゅいちゅいな ちゅいちゅいなちゅいちゅいな とぅむにちゅいちゅいな
chiduri chuichuina wamiN tada hwichui tumu ni nachi 'akachi satu yu sinubana yaa chuichuina chuichuina shinudi chuichuina chuichuina chuichuina tumuni chuichuina
千鳥がチュイチュイと鳴いている 私はただ一人 一緒に泣き明かしあの人のことを慕いたいよねえ チュイチュイと泣いてあの人を慕い 共にチュイチュイと泣いてはあの人を思い 泣いている
語句・ちゅいちゅいな 舞踊曲「浜千鳥」の中で浜にいる千鳥の鳴き声を模して「チュイチュイナ」という囃子から。「ちゅい」は「ひとり」という意味も掛けている。・ を。・しぬばなや (思い出を)慕びたいよねえ。<しぬぶん 「①忍ぶ。堪える。こらえる」「②ひそむ。かくれる。ひそかに行く。(男女が)かくれて通う。あいびきする。」【沖辞】にはこうある。しかし「慕ぶ」(しのぶ)、追憶するという意味もあるのではないだろうか。ここでは「慕う」を採用したい。「しぬばな」(偲びたいよ)に「やー」(ねえ)がついた形。

知名定男さんが作詞作曲し、初代ネーネーズが歌っている。
初代ネーネーズ解散コンサートを収録したCD「オキナワ~メモリアルネーネーズ」におさめられている。

歌詞は琉歌風だが、八、八、八、八、五、五、六文字という構成。
雑踊り「浜千鳥」の囃子言葉「ちゅいちゅいな」(ひとりきり、という意味も掛けて)を効果的に盛り込みつつ、
別れたあの人への思いが募る女心を唄っている。



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Posted by たる一 at 11:46│Comments(1)あ行
この記事へのコメント
歌詞を聞き取りで書いたのですが、3番「ただね」の部分を間違えていました。
修正しました。
Posted by たる一たる一 at 2012年03月17日 09:45
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