2006年09月12日

芭蕉布

芭蕉布
ばしょーふ
bashoo hu
芭蕉で作った布
語句・ばしょーふ (糸)芭蕉の茎の繊維を糸に加工し、織り上げたもの。琉球王朝の元では租税として上納させられた。


作詞 吉川安一 作曲 普久原恒勇


一、海の青さに空の青南の風に緑葉の芭蕉は情けに手を招く 常夏の国 我した島沖縄
【繰り返し、また大和口(やまとぅぐち;標準語)については発音を略した】
[海の青さに空の青南の風に緑葉の芭蕉は情けに手を招く 常夏の国] わしたしま'うちなー
washita shima 'uchinaa
海の青さに空の青南の風に緑葉の芭蕉は情けに手を招く 常夏の国 私たちの故郷 沖縄
語句・わした われら。 われわれ。 われらの。「わったー」に比べやや力んだ言い方。
沖縄語辞典には「われわれの」はないが、「わったー」の項にはちゃんとあるのでこちらにも追加した。
しま  ①村里。部落②故郷。出身の部落③領地。知行所④島。海にかこまれた島。
ここでは①でも②でもよいだろう。


二、首里の古城の石畳昔を偲ぶかたほとり 実れる芭蕉熟れていた 緑葉の下我した島沖縄
[首里の古城の石畳昔を偲ぶかたほとり 実れる芭蕉熟れていた 緑葉の下]わしたしま'うちなー
(発音省略)
首里の古城の石畳昔を偲ぶかたほとり 実れる芭蕉熟れていた 緑葉の下 私たちの故郷 沖縄 
語句・かたほとり ウチナーグチではないが、「周辺」「片田舎」という意味がある。


三、今は昔の首里天加那志 唐ヲつむぎ機を織り上納捧げた芭蕉布浅地紺地の我した島沖縄
[今は昔の]しゅいてぃんじゃなし とーうー[つむぎ機を織り上納捧げた芭蕉布]あさじくんじ[の]わしたしま うちなー
shuitiNjanashi toouu 'asaji kuNji
今は昔の首里王様 芭蕉の糸を紡ぎ機(はた)を織り上納捧げた芭蕉布 浅地紺地の 私たちの故郷沖縄
語句・しゅいてぃんじゃなし 首里の王を指した言い方。首里王様。<しゅい 首里。+ てぃん 天。 + がなし <かなし 愛しい上級者への敬称。連濁で「か」→「が」。「しゅいてぃんがなし」の「が ga」が「じゃ ja」に変化。cf. 「かぎやで風」→「かじゃでぃふう」。・とーうー 「うー」とは本来「苧麻」(ちょま)の繊維を糸にいたものをそう呼んでいたので、糸芭蕉で作った糸は「とーうー」(中国から渡来した「うー」の意味)と呼ばれ区別していた。発音には注意したい。ある歌手は「とぅーうー」と発音されている。・つむぎ 厳密には、芭蕉布の製作工程において「うー」を結んで長い糸にしていく過程を「苧積み」(うーうみ)と呼ぶので、「紡ぐ」(繭から糸を錘〔つむ〕にかけて、さらによりをかける工程)とは区別されるようだ。

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芭蕉布

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Posted by たる一 at 23:10│Comments(20)は行
この記事へのコメント
たるーさん
もうすぐ芸能祭ですね、
今回コバも行きますのでお会いできるのを楽しみにしています

以前から「唐ヲ」の意味が判らなくて困っていました
やっと判りました
ありがとうございます
Posted by コバ at 2006年09月13日 09:34
コバさん
芸能祭でお会いできますか!
楽しみにしています。私は明日こちらを発ちます。
でも台風、心配ですねえ。

「唐ヲ」お役に立てて嬉しいです。
こういうことも胤森さんの教えのおかげです。
ところで「しゅいてぃんじゃなし」を「首里天ではない」と思われている人も多いようです。私も習いだした頃そう思い込んでいました。
歌の思い込みはけっこう多いようですね。
Posted by せきひろし(たるー) at 2006年09月14日 06:26
ある方からのメールで
歌詞の一番が「揺れていた」ではなく
「手を招く」だとご指摘をうけました。
単純なミスですが、まじめに勉強されている方には
小さなミスも大きな迷惑だと思います。
訂正しおわびします。
Posted by たるー(せきひろし)たるー(せきひろし) at 2008年03月18日 23:28
ぜひ、私にも教えてください!!
前の方と質問が重複するのかもしれませんが、まだわからなくて・・・
現在、群馬の老母がコーラスでこの曲を歌っているのですが、
「唐ヲゥー」の「ヲゥー」はどういう意味で「を」ではなく「ヲゥー」なのか調べてくれ・・・というのです・・・。どういった言葉と受け止めればよいのでしょうか?
歌い方の注意はありますか?
ぜひ教えてください!!よろしくお願いします!!
Posted by ミズキ at 2008年11月04日 13:55
ミズキさん

>「唐ヲゥー」の「ヲゥー」はどういう意味で「を」ではなく「ヲゥー」なのか調べてくれ・・・というのです・・・。どういった言葉と受け止めればよいのでしょうか?
>歌い方の注意はありますか?

説明が重なりますが、「唐ヲゥー」と歌詞に書いてあっても、発音は「too uu」 でよいのです。
「を」なのか「ヲゥー」なのかは歌詞を書いた方の主観が混ざっているので気にせずに。

発音するときは普通の「うー」で間違いありません。
「とーうー」です。

上にも書きましたが「うー」は「芭蕉。糸芭蕉」つまり、芭蕉布の糸をとる芭蕉のことです。

ちなみに「'うー」というように、「う」の前に声帯にためた空気を軽く押し出すと、意味が変わります。目上に対する「はい」の意味になりますが、この歌では標準語が中心ですからあまり気にしなくてもよいと私は考えてます。
Posted by たるー(せきひろし) at 2008年11月05日 09:20
ありがとうございました!!大変参考になりました。実家の母にPC操作させて、このページまで行き着かせるのにものすごく労力を使いましたが・・・・。
母も、質問させていただいた以外のことも読ませていただき、あらためて知ることが多かったようです!助かりました!!

ちなみに私はダイバーで、大の沖縄好き。以前は時々慶良間や砂辺などを潜っていました。1か月だけですが、那覇の大道に住んでいた事もあります!!
私にとって沖縄はライフワークです。
またいろいろ参考にさせていただきます。ありがとうございました!
Posted by ミズキ at 2008年11月05日 14:18
ミズキさん

お役に立てたようで嬉しいです。

私も勉強しつづけていきますので
なにかまたお気づきなどありましたら
コメントください。
Posted by たるー at 2008年11月09日 12:33
長年の間違いに今日、気がつきました。
それで、確認するためにここへやって来ました。
「首里天じゃなし」を「首里天じゃない」→今は首里の天下でもあるまいし、っという意味だとずーっと思っていました。
恩納ナビーの資料を読んでいて「首里天ぢゃなし」とあるのを見て、目からウロコが落ちました。
そして、さらにたるーさんのおかげで納得「首里天加那志」なんですね。
最後になりましたが、いつも参考にさせて頂いています。
ありがとうございます。
Posted by しょうこ at 2009年02月10日 15:47
しょうこさん
言葉って難しいですね。

受取るほうは、自分の中にある言葉をあてはめる。

「じゃなし」と聞けばそう思うほうが普通です。

この歌を聴いた方の90%以上は最初、そう勘違いされると
いえばいいすぎでしょうか。

これからも末永くご愛顧ください。
Posted by たるー(せきひろし)たるー(せきひろし) at 2009年02月12日 08:39
初めまして、歌歌いのまこりんと申します。
唐ヲゥー、のことが知りたくて検索していてこちらにたどり着きました。 

唐(中国)の芭蕉、という意味なのですね。

再々質問で恐縮ですが、実際に歌う時は

>発音するときは普通の「うー」で間違いありません。
「とーうー」です。  という事は

その場所はハ長調読みで

ドドド  ドーー   と言う階名になりますが
とーー うーー   と歌うという意味でよろしいでしょうか?

大好きな歌なので、正確に覚え歌いたいので、教えて頂きたいのです。

よろしくお願い致します。
 
Posted by まこりん at 2010年04月18日 00:50
たるーさん久しぶり (* ̄ー- ̄)ノやっ  ヾ(´▽`;)。o{誰だっけ…}
横レス失礼します。

糸芭蕉のことを沖縄方言でとーうー(唐芋)とかうーっていいますね。

とーー うーー のところは
みなみ のーー や
むかし をーー のところと同じ歌い方ですよ。
Posted by ふーちゃん@なら at 2010年04月18日 22:06
まこりんさん

はじめまして。

はい、その通りで歌われて間違いありません。

ただ、人によっては、「う」の頭ちょこっとをオクターブ下のド(前の「とー」と同じ)にしておいて、「うー」と歌いはじめたらすぐにオクターブ上のドに上げるテクニックをされる方もいます。こちらも聞いていて悪くありません。

いずれにせよ、新唄でもありますし楽しく自由に歌われたらよいのではないでしょうか。
Posted by たる~ at 2010年04月20日 09:48
ふーちゃん@ならさん
お久しぶりですね〜 

>横レス失礼します。

いえ、ありがとうございます。

おっしゃる通りですね。
Posted by たる~ at 2010年04月20日 09:52
ふーちゃん@なら さん、わかりやすい説明をありがとうございます。

たるーさん、ハイテクニックの説明まで感謝致します。

綺麗なうたですよね、皆で楽しく歌いたいと思います。

ありがとうございました (^o^)♪
Posted by まこりん at 2010年04月25日 00:48
はじめまして。唐ウーのことですが、わたしの知識では、ウーは元々あった苧麻(ちょま)のことを指していて、現在、石垣や宮古で上布として織られています。(現地では、ブーとよぶ)その後、唐から入ってきた芭蕉をウー(苧麻)と区別するため、唐ウーと言ったと聞いております。作詞された方は、織りの専門家ではないため、お年寄りが口にした、唐ウーという言葉を覚えていて、歌詞に入れたみたいですが、現在は、単に“ウー”と言います。ちなみに、わたしは、芭蕉布に携わっておりますが、ウーは、(苧麻も)“紡ぐ”ではなく、“績む(うむ)”(ウー績み)といい、紡ぐ作業とは異なり、ひたすら繊維を結び、1本の長い糸にしていきます。
Posted by bluebird at 2010年12月08日 22:18
bluebirdさん
コメントありがとうございます。

実際に私自身、作業を見たこともなくこのブログを書いているので、関係者の方からのご指摘はありがたいです。

ご指摘のとおり、「うー」は苧麻(ちょま)のことで、宮古、八重山では「ブー」といいますね。(「張水のクイチャー」のところでとりあげています)。
一方、芭蕉は仰る通り「うー」と区別するために「唐うー 」と呼んだそうですが、現在では単に「うー」ともいうようです。

ご指摘があって初めて「うー績(う)み」について感心をもったのですが、「紡ぐ」と、この「績む」とは違う作業を意味しているのですね。

「紡ぐ」は「綿や繭、羊毛」の繊維を引き出し縒りをかける作業。
「績む」は苧麻(ちょま)の繊維を長く繋いでよりあわせる作業。
繊維を繋いでいく作業ははるかに厳しいものだったようです。

bluebirdさん、おかげで芭蕉布をつくる作業が少し見えて、自らの不勉強を恥じております。
機会がありましたら喜如加の芭蕉布会館などを直接おじゃまして勉強してみたくなりました。

ご指摘ありがとうございました。
Posted by たるー at 2010年12月11日 08:17
いつも楽しく拝見させていただいております。
一つ気になったところがございまして、
芭蕉布の作詞者の名前は、吉川安 「市」 ではなく、安 「一」 ではないでしょうか。
Posted by 仲田 at 2012年01月19日 04:14
仲田さん
ご指摘ありがとうございました。

作者のお名前を間違えるとは、あってはならないことでした。

早速訂正しました。

今後もお気付きなどありましたらよろしくお願いします。
Posted by たる一たる一 at 2012年01月20日 07:27
たるー   いつも楽しく拝見させていただいています。
 名曲芭蕉布を聞くたび、どうしても気になることがありましてお尋ねしたいのですが、50年ぐらい前 初代芭蕉布をうたっていた 当山たつ子さんどうしていらっしやるのか たしか読谷出身だったと記憶しています。
Posted by 喜友名喜美子 at 2012年05月24日 22:19
喜友名喜美子さま

コメントありがとうございます。
残念ながら当山たつ子さんの事は私は存じません。

どなたかご存知の方がおられましたらコメントください。
Posted by たるー at 2012年06月02日 13:05
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